俺はパソコンの履歴を消して、電源を落とす。
持ってきた荷物をDバッグに入れて背負う。手袋をする前に触った可能性のある、ドアのあたりをウェットティッシュでふき取り、医療用の手袋を外した。
ポケットに手袋をしまって、代わりにハンカチを取り出して、ドアを直接触らないように気を付けながらドアを開けて外に出た。
ネットカフェからちょっと離れた場所に移動して、髭やカツラ、眼鏡の変装を解いてタクシーを拾い、部屋に帰った。
4時まではまだ2時間ほどあるのでアラームをセットしてベッドに横になった。
興奮して寝れないかもしれないと思ったが、疲れが溜まっていたのかすぐに眠りについた。
翌朝、寝不足の顔のまま事務所に顔を出した。
「あら、早いわね。おはよう」
と朝から元気な江島さんだ。きっと血圧が高いに違いない。
「ああ、おはよう。昨日の結果を報告しようと思ってね。」
「それより、ねね、おもしろいニュースがあるの。聞いて聞いて」
まったく、朝から騒々しい、仕事をしてくれ。
「マイケルジャクソンが、生きていたらしいのよ。いろんなメルマガのニュースで号外がすごいわよ」
「でも、肝心のマイケルの写った写真へのリンクがつながらないのよね」
どうやら今もクリックして確認しているようだ。
「ああそれ?俺の作ったニセメルマガだからね。へえ、江島さんのところにも行ってただ。」
江島さんは手を止めて、俺を見上げる。
「え?順平くんか?でも今朝のニュースでも言ってたわよ。」
「あれおかしいなあ。ニセメルマガと有名な掲示板に書いただけだけど?」
「ちょっとした騒ぎよ。一部のサイトにアクセスが集中してネットワークに障害が起きてるみたい」
2010年2月1日月曜日
2010年1月25日月曜日
第3話「ウェブサイトの恐怖 漏洩情報を排除せよ」#8
その他のサイトは、Dos攻撃によるサイトダウンで、サービスを停止させるしかないか。
まずは、それぞれのサイトでDos攻撃の標的とする適当な画像のURLを特定する。
画像のサイズは、できるだけ大きい方がサイトに負荷を掛けることができるが、ファイル名でどんな画像か特定しにくいものが良い。
Dos攻撃にもいろいろ種類があるが、今回はダイレクトメールを使った手口を使ってみる。
ブラックマーケットから1GBほど、メールアドレスを買ってきた。
購入金額は、数千円と安いが、これらが犯罪者の活動資金の一部になると思うとあまり良い気はしないが、この際、しょうがない。
先ずは、購入したメールアドレスをjpとかcom、chとかドメインごとにファイルを分割する。
ドメインごとにメールの文面の言語を変えるためだ。
jpなら日本語chなら中国語、sp・br・mxなどスペイン語圏はスペイン語で、ukとcom・netの3文字ものはまとめて英語といった具合だ。
これで、ダイレクトメールを受け取った人のクリック率が上がるだろう。
世界10カ国に6つの言語で発信する。
各国のメールの文面は、exciteとGoogleの翻訳サービスを使って翻訳する。
先ずは、日本語の文面を英語に翻訳し、英語から各国語に翻訳する。
やはり英語はビジネスの公用語であるので、日本語からの翻訳に比べ翻訳の精度が高いかだ。
文面はyahooやMSNの様なニュースメールを送っている有名な会社のメールになりすます。
ぱっと見た感じでは判らないし、送信元のメールアドレスもきっちり改竄しておく。
有名企業なら各国言語のサイトを持っているので、メールアドレスもそれに合わせて、日本語ならjp、韓国語ならkrといった具合にメールアドレスも改竄する。
元々正規に送信されている文面を使って、改竄すれば見分けはつかないはず。
後は、タイトルに興味を引く文面があれば、オッケーだ。
各国語で書いたメールの文面と、メールアドレスをダイレクトメール送信プログラムに登録する。
最近のメールサーバは、同一送信元から短時間に大量にメールを送ると迷惑メールとして排除される可能性がある。
このダイレクトメール送信プログラムは、それに引っかからないレベルで、時間を掛けて、大量のメールを送ってくれる優れものだ。
送信時間を、4時間後、日本時間の朝の4時にセットする。
これで後は結果を待つだけだ。
まずは、それぞれのサイトでDos攻撃の標的とする適当な画像のURLを特定する。
画像のサイズは、できるだけ大きい方がサイトに負荷を掛けることができるが、ファイル名でどんな画像か特定しにくいものが良い。
Dos攻撃にもいろいろ種類があるが、今回はダイレクトメールを使った手口を使ってみる。
ブラックマーケットから1GBほど、メールアドレスを買ってきた。
購入金額は、数千円と安いが、これらが犯罪者の活動資金の一部になると思うとあまり良い気はしないが、この際、しょうがない。
先ずは、購入したメールアドレスをjpとかcom、chとかドメインごとにファイルを分割する。
ドメインごとにメールの文面の言語を変えるためだ。
jpなら日本語chなら中国語、sp・br・mxなどスペイン語圏はスペイン語で、ukとcom・netの3文字ものはまとめて英語といった具合だ。
これで、ダイレクトメールを受け取った人のクリック率が上がるだろう。
世界10カ国に6つの言語で発信する。
各国のメールの文面は、exciteとGoogleの翻訳サービスを使って翻訳する。
先ずは、日本語の文面を英語に翻訳し、英語から各国語に翻訳する。
やはり英語はビジネスの公用語であるので、日本語からの翻訳に比べ翻訳の精度が高いかだ。
文面はyahooやMSNの様なニュースメールを送っている有名な会社のメールになりすます。
ぱっと見た感じでは判らないし、送信元のメールアドレスもきっちり改竄しておく。
有名企業なら各国言語のサイトを持っているので、メールアドレスもそれに合わせて、日本語ならjp、韓国語ならkrといった具合にメールアドレスも改竄する。
元々正規に送信されている文面を使って、改竄すれば見分けはつかないはず。
後は、タイトルに興味を引く文面があれば、オッケーだ。
各国語で書いたメールの文面と、メールアドレスをダイレクトメール送信プログラムに登録する。
最近のメールサーバは、同一送信元から短時間に大量にメールを送ると迷惑メールとして排除される可能性がある。
このダイレクトメール送信プログラムは、それに引っかからないレベルで、時間を掛けて、大量のメールを送ってくれる優れものだ。
送信時間を、4時間後、日本時間の朝の4時にセットする。
これで後は結果を待つだけだ。
2010年1月18日月曜日
第3話「ウェブサイトの恐怖 漏洩情報を排除せよ」#7
次は、有名なブログやSNSで検索してみる。
ブログやSNSなど動的に生成されるコンテンツの場合、検索エンジンでは見つからないケースが多いからだ。
映像ファイルのファイル名で20件ほどヒットした。
1つづつ見てみるが、同じ映像ファイルはなかった。
海外の有名なSNSで同じように調べると、3つのサイトから同じ映像ファイルが見つかった。
「こりゃ、今夜は徹夜かな?」
大きなため息をつきながら、記録をUSBメモリに記憶していく。
ほぼ、自宅でやるべき作業は終わったので、また、ネットカフェで攻撃だ。
先に、事務所に連絡をいれるか。
「はい。滝沢探偵事務所です」
江島さんの声だ。
「順平です。あれからいろいろ探してみたら、20件弱のサイトで同じ映像ファイルが公開されているのを見つけました。なんで、これからネットカフェに行って、またつぶせるかどうか試してみます。」
「あら、大変ね。もう遅いわよ。明日にしたら?」
「明日は、会社があるからムリっすよ。会議があるから休めないし。」
「そう。大変。じゃあ後で差し入れに行ってあげる。」
「期待しない待ってますよ。お店は三宮駅の高架沿いを元町方面に行ったところにあるネットカフェナンバーワンです。たぶん3時ぐらいまでに終わらなかったらあきらめて帰ります。」
と言って携帯を切ると、もう一度出かける準備を始めた。
近くのネットカフェは使い尽くしたので、電車で三宮まで移動する。
高架沿いに西に移動すると「ネットカフェナンバーワン」の看板がある。
先ほどのネットカフェと同じように変装し、指紋を隠して、偽名で受付に登録する。
同じく個室を借りて、ネットカフェのPCを立ち上げる。ここも最新機種を置いていたので、動作は軽い。
USBメモリで、先ほど調べた動画ファイルを置いているサイトのURLリストと、レンタルPROXYのリストを取り出し、設定していく。
結局、20のサイトが候補としてあったので、その一つづつを確認していく。
いずれも、問題の動画ファイルを公開している。
問題は、個人サイトはなく、商用サイトしかないことだ。プロバイダのサイトや、有償のASP業者や動画共有サイトも含まれている。
個人サイトなら忍び込める可能性はあるが、商用サイトでは難しい。
どうやら、作戦を切り替えなければならないようだ。
先ずは、動画共有サイト、2サイトについて、正式に削除依頼を出すことにする。
盗撮であることは、判るので、よほどのことがない限り削除の依頼は受けてくれるだろう。
依頼者の顔写真もあるので、いざとなれば、本人の依頼であることを示すこともできる。
ブログやSNSなど動的に生成されるコンテンツの場合、検索エンジンでは見つからないケースが多いからだ。
映像ファイルのファイル名で20件ほどヒットした。
1つづつ見てみるが、同じ映像ファイルはなかった。
海外の有名なSNSで同じように調べると、3つのサイトから同じ映像ファイルが見つかった。
「こりゃ、今夜は徹夜かな?」
大きなため息をつきながら、記録をUSBメモリに記憶していく。
ほぼ、自宅でやるべき作業は終わったので、また、ネットカフェで攻撃だ。
先に、事務所に連絡をいれるか。
「はい。滝沢探偵事務所です」
江島さんの声だ。
「順平です。あれからいろいろ探してみたら、20件弱のサイトで同じ映像ファイルが公開されているのを見つけました。なんで、これからネットカフェに行って、またつぶせるかどうか試してみます。」
「あら、大変ね。もう遅いわよ。明日にしたら?」
「明日は、会社があるからムリっすよ。会議があるから休めないし。」
「そう。大変。じゃあ後で差し入れに行ってあげる。」
「期待しない待ってますよ。お店は三宮駅の高架沿いを元町方面に行ったところにあるネットカフェナンバーワンです。たぶん3時ぐらいまでに終わらなかったらあきらめて帰ります。」
と言って携帯を切ると、もう一度出かける準備を始めた。
近くのネットカフェは使い尽くしたので、電車で三宮まで移動する。
高架沿いに西に移動すると「ネットカフェナンバーワン」の看板がある。
先ほどのネットカフェと同じように変装し、指紋を隠して、偽名で受付に登録する。
同じく個室を借りて、ネットカフェのPCを立ち上げる。ここも最新機種を置いていたので、動作は軽い。
USBメモリで、先ほど調べた動画ファイルを置いているサイトのURLリストと、レンタルPROXYのリストを取り出し、設定していく。
結局、20のサイトが候補としてあったので、その一つづつを確認していく。
いずれも、問題の動画ファイルを公開している。
問題は、個人サイトはなく、商用サイトしかないことだ。プロバイダのサイトや、有償のASP業者や動画共有サイトも含まれている。
個人サイトなら忍び込める可能性はあるが、商用サイトでは難しい。
どうやら、作戦を切り替えなければならないようだ。
先ずは、動画共有サイト、2サイトについて、正式に削除依頼を出すことにする。
盗撮であることは、判るので、よほどのことがない限り削除の依頼は受けてくれるだろう。
依頼者の顔写真もあるので、いざとなれば、本人の依頼であることを示すこともできる。
2010年1月11日月曜日
第3話「ウェブサイトの恐怖 漏洩情報を排除せよ」#6
念のため、操作画面を記録したムービーをUSBメモリに移しておく。
俺がハッキングした証拠になるが、俺自身が見つかるような痕跡は残していないはずだ。
念のためUSBメモリは指紋認証つきのものを使っている。
とりあえず、ここでの用事は済んだので、また来た時のように変装して、ネットカフェを後にした。
さて、これで一段落した。
事務所に電話を入れる。
「順平です。」
「あら順平くん」
江島さんが出た。
「例のWebサイトの件だけど、ご指定のサイトのファイルは消しときました。」
「あら、早かったわね。もう一件落着かしら?」
「いやあ、そうもいかないよ。たぶん他のサイトにも広まっている可能性があるから、今から家に帰って調べてみるよ。」
「そう?いろいろ難しいのね。それじゃ、終わるまで待ってるわ」
「どれくらいかかるか分かんないよ。見つかったら、またネットカフェに行かなきゃなんないし。どっちにしてもまた連絡するね。」
「了解。良い連絡待ってるわ」
順平は電話を切ると、Dバッグを背負い、自転車をアパートに向けて走らせた。
アパートにつくと早速、PCを立ち上げた。googleで検索してみる。
キーワードはこれまでに採取した「ファイル名」「タイトル」「フォルダ名」「バックアップ名」などを使ってやってみた。
1000件ほどヒットした。
丹念に見て廻り、1件だけ映像ファイル名が一致するサイトで今回の依頼主の映像を見つけた。
個人で運営している英語サイトで、アダルトコンテンツの1つとして掲載されていた。
ご丁寧に、サムネイルや説明文もついている。
「ありゃ、これじゃ結構、広まってるなあ」
URLを控えておく。
さっきのサイトから収集したサムネイル画像を使って、googleの画像検索をやってみた。3件ほど見つかった。
1件は画像だけ、1件は画像から映像ファイルにリンクしている。
もう1件は画像にリンクがあるが、リンク切れしている。
これらのURLも控えておく。
俺がハッキングした証拠になるが、俺自身が見つかるような痕跡は残していないはずだ。
念のためUSBメモリは指紋認証つきのものを使っている。
とりあえず、ここでの用事は済んだので、また来た時のように変装して、ネットカフェを後にした。
さて、これで一段落した。
事務所に電話を入れる。
「順平です。」
「あら順平くん」
江島さんが出た。
「例のWebサイトの件だけど、ご指定のサイトのファイルは消しときました。」
「あら、早かったわね。もう一件落着かしら?」
「いやあ、そうもいかないよ。たぶん他のサイトにも広まっている可能性があるから、今から家に帰って調べてみるよ。」
「そう?いろいろ難しいのね。それじゃ、終わるまで待ってるわ」
「どれくらいかかるか分かんないよ。見つかったら、またネットカフェに行かなきゃなんないし。どっちにしてもまた連絡するね。」
「了解。良い連絡待ってるわ」
順平は電話を切ると、Dバッグを背負い、自転車をアパートに向けて走らせた。
アパートにつくと早速、PCを立ち上げた。googleで検索してみる。
キーワードはこれまでに採取した「ファイル名」「タイトル」「フォルダ名」「バックアップ名」などを使ってやってみた。
1000件ほどヒットした。
丹念に見て廻り、1件だけ映像ファイル名が一致するサイトで今回の依頼主の映像を見つけた。
個人で運営している英語サイトで、アダルトコンテンツの1つとして掲載されていた。
ご丁寧に、サムネイルや説明文もついている。
「ありゃ、これじゃ結構、広まってるなあ」
URLを控えておく。
さっきのサイトから収集したサムネイル画像を使って、googleの画像検索をやってみた。3件ほど見つかった。
1件は画像だけ、1件は画像から映像ファイルにリンクしている。
もう1件は画像にリンクがあるが、リンク切れしている。
これらのURLも控えておく。
2010年1月4日月曜日
第3話「ウェブサイトの恐怖 漏洩情報を排除せよ」#5
念のため、サングラスと付け髭で変装する。
万が一ネットカフェが特定された場合、監視カメラに証拠が残らないようにするためだ。
指紋を残さないために、すべての指先には瞬間接着剤を塗って乾かしておく。
キーボードが打ちにくくなるが、手袋をして店員に怪しまれるよりましだ。
ネットカフェにはいると、初めてなので会員登録をする。
この様なときを想定して、所長から偽造保険証をもらっているので、それを使った。建部憲次郎ってオッサンみたいな名前だ。
保険証に記載した住所を書き、適当な電話番号を書く。
店員も不審に思うこともなく手続きを進める。作業を人に見られたくないので、個室を頼んだ。昼間の時間はほとんど人がいないが、念のためだ。
個室に入ると、個室に監視カメラがないかチェックする。問題ないと判ってから、サングラスと付け髭を外し、DバッグからノートPCと依頼書を取り出した。
ネットカフェのPCは、比較的新しい。3Dゲームを快適に使えるようにとの配慮か、上位機種がそろっている。
先ずは、ブラウザ立ち上げて目的のサイトの管理画面にアクセスしてみる。念のため、事前に探しておいたフリープロクシを3段ほど繋いでアクセスをする。
先ほど同様、ログイン画面が現れた。
さてと、パスワード辞書にあるID、パスワードで幾つか試してみる。か、結局デフォルトのID、パスワードで、すんなりログインできた。
「これで、仕事終わったかな?」
管理画面から、映像ファイルを削除して、映像ファイルURLを叩いて、削除されたのを確認する。ついでに操作ログを全部削除しておく。
これで、映像ファイルはネットから見れなくなったので、とりあえずの仕事は完了だ。
折角なのでSSHでのアクセスもやってみるか?
こちらも事前にtelnetでログインできるサーバーを用意している。
こちらも3カ所を経由して、最後のサーバーからSSHでログインを試みる。
パスワード辞書で何件か試してみるが繋がらない。
もしやと思い、CMSのIDとパスワードを使ってみたらログインできた。ついでにroot権限になるためのパスワードを探してみるがこちらは見つからない。
CMSのパスワードとも違うようだ。
あきらめて、CMSの権限でいろいろ見ていると、サイト全体と思われるバックアップがいくつか見つかった。
多分、映像ファイルもこのバックアップに含まれているだろう。
あぶないあぶない。
と、バックアップを全部消して、同じ名前の空のファイルを作っておく。
root権限があれば、日付も属性も判らないようにしてやるが、しかたない。
アクセスしたログも取られているだろうが、root権限がないからどうしようもない。
もう一度、軽く、見て回って、もう映像ファイルが無さそうだと判断したので、ログアウトした。
経由したホストのログが取られていないのを念のため確認して、通ってきた経路を順にログアウトしていく。
万が一ネットカフェが特定された場合、監視カメラに証拠が残らないようにするためだ。
指紋を残さないために、すべての指先には瞬間接着剤を塗って乾かしておく。
キーボードが打ちにくくなるが、手袋をして店員に怪しまれるよりましだ。
ネットカフェにはいると、初めてなので会員登録をする。
この様なときを想定して、所長から偽造保険証をもらっているので、それを使った。建部憲次郎ってオッサンみたいな名前だ。
保険証に記載した住所を書き、適当な電話番号を書く。
店員も不審に思うこともなく手続きを進める。作業を人に見られたくないので、個室を頼んだ。昼間の時間はほとんど人がいないが、念のためだ。
個室に入ると、個室に監視カメラがないかチェックする。問題ないと判ってから、サングラスと付け髭を外し、DバッグからノートPCと依頼書を取り出した。
ネットカフェのPCは、比較的新しい。3Dゲームを快適に使えるようにとの配慮か、上位機種がそろっている。
先ずは、ブラウザ立ち上げて目的のサイトの管理画面にアクセスしてみる。念のため、事前に探しておいたフリープロクシを3段ほど繋いでアクセスをする。
先ほど同様、ログイン画面が現れた。
さてと、パスワード辞書にあるID、パスワードで幾つか試してみる。か、結局デフォルトのID、パスワードで、すんなりログインできた。
「これで、仕事終わったかな?」
管理画面から、映像ファイルを削除して、映像ファイルURLを叩いて、削除されたのを確認する。ついでに操作ログを全部削除しておく。
これで、映像ファイルはネットから見れなくなったので、とりあえずの仕事は完了だ。
折角なのでSSHでのアクセスもやってみるか?
こちらも事前にtelnetでログインできるサーバーを用意している。
こちらも3カ所を経由して、最後のサーバーからSSHでログインを試みる。
パスワード辞書で何件か試してみるが繋がらない。
もしやと思い、CMSのIDとパスワードを使ってみたらログインできた。ついでにroot権限になるためのパスワードを探してみるがこちらは見つからない。
CMSのパスワードとも違うようだ。
あきらめて、CMSの権限でいろいろ見ていると、サイト全体と思われるバックアップがいくつか見つかった。
多分、映像ファイルもこのバックアップに含まれているだろう。
あぶないあぶない。
と、バックアップを全部消して、同じ名前の空のファイルを作っておく。
root権限があれば、日付も属性も判らないようにしてやるが、しかたない。
アクセスしたログも取られているだろうが、root権限がないからどうしようもない。
もう一度、軽く、見て回って、もう映像ファイルが無さそうだと判断したので、ログアウトした。
経由したホストのログが取られていないのを念のため確認して、通ってきた経路を順にログアウトしていく。
2009年12月29日火曜日
第3話「ウェブサイトの恐怖 漏洩情報を排除せよ」#4
「依頼者は、前回ホテルのビデオの隠し撮りされて恐喝されていた人よ。持田兼良52歳。あの事件の被害者の一人よ。で、その人の隠し撮りされたビデオがネットに流出したの。そのビデオがある個人サイトから公開されているので、それを何とかして欲しいっていう依頼なの。ドメインは.toだからトンガ王国?まあサーバはどこにあるか判らないわよね?」
「えーそんなの無理でしょ。」
と言う俺に
「まあ、お得意さまだから、それほどむげにはでしないし。」
とのたまう江島さん。
「多分、個人のサイトを潰すぐらいだったらDos攻撃でつぶれるけど、データセンターに入ってるPCだと、Dos攻撃対策されているかもしれないしなあ。それに潰してもバックアップがあればいくらでもコピーサイトが作れるしね。断れば?」
そう言う俺に、江島さんは、
「流石に、いくら潰しても新しいサイトがいくらでも立つ可能性があるのは理解してたわよ。だから前金で10万、1サイト潰す毎に20万だって。結局潰せなくても、努力するだけで10万なんだからやってみたら?所長はその気で引き受けるつもりみたいよ。」
と江島さんに言われるとその気になってくる。
「じゃあ、やるだけやってみるかなあ?」
「よかった。じゃ、依頼主にオッケーの返事しておくわね。」
「了解、じゃよろしく。とりあえず、当面のターゲットは依頼書に書かれたここのサイトだよね。じゃ、家で調べてみて、何か判ったら連絡するよ。」
先ずは、情報収集だ。
自宅に帰ると、PCを立ち上げて、そのサイトに行ってみる。
確かに素人が作ったっぽいシンプルなデザイン。
報告書にあった映像ファイルのあるURLを入れてみる。ダウンロードを開始した。確かにそこに実体はあるようだ。
念のため、ムービーソフトで再生してみる。
問題なく再生できた。前に見たファイルが編集され、1つのファイルになっていて、自動的に画面が切り替わり、BGMも入っている。誰かが、販売目的で編集したのかもしれない。そうなると完全回収はほぼ不可能だな。
そのサイトを検索して見たが他にムービーファイルは置いていなかった。個人のサイトで、気に入ったムービーファイルを紹介してダウンロードフリーにしていると言った感じか?
用意したUSBメモリに映像ファイルのバックアップを取る。
なんとなく、フリーのCMS使ってそうな臭いがするなあと思って心当たりのあるフリーCMSの管理画面のディレクトリを入れてみる。案の定、ログイン画面が表れた。
これ以上の作業は危険だ。ここから先の作業は、回線が特定されても支障のない場所で続けよう。
表示したログイン画面のハードコピーをとって、画面を閉じた。
念のため、映像ファイルのファイル名で検索してみると、5件ほどヒットした。もう既にこのサイト以外にも漏れているようだ。
一旦ノートPCを閉じて、Dバッグに入れると、Dバッグを背負って近所のネットカフェに向かった。
「えーそんなの無理でしょ。」
と言う俺に
「まあ、お得意さまだから、それほどむげにはでしないし。」
とのたまう江島さん。
「多分、個人のサイトを潰すぐらいだったらDos攻撃でつぶれるけど、データセンターに入ってるPCだと、Dos攻撃対策されているかもしれないしなあ。それに潰してもバックアップがあればいくらでもコピーサイトが作れるしね。断れば?」
そう言う俺に、江島さんは、
「流石に、いくら潰しても新しいサイトがいくらでも立つ可能性があるのは理解してたわよ。だから前金で10万、1サイト潰す毎に20万だって。結局潰せなくても、努力するだけで10万なんだからやってみたら?所長はその気で引き受けるつもりみたいよ。」
と江島さんに言われるとその気になってくる。
「じゃあ、やるだけやってみるかなあ?」
「よかった。じゃ、依頼主にオッケーの返事しておくわね。」
「了解、じゃよろしく。とりあえず、当面のターゲットは依頼書に書かれたここのサイトだよね。じゃ、家で調べてみて、何か判ったら連絡するよ。」
先ずは、情報収集だ。
自宅に帰ると、PCを立ち上げて、そのサイトに行ってみる。
確かに素人が作ったっぽいシンプルなデザイン。
報告書にあった映像ファイルのあるURLを入れてみる。ダウンロードを開始した。確かにそこに実体はあるようだ。
念のため、ムービーソフトで再生してみる。
問題なく再生できた。前に見たファイルが編集され、1つのファイルになっていて、自動的に画面が切り替わり、BGMも入っている。誰かが、販売目的で編集したのかもしれない。そうなると完全回収はほぼ不可能だな。
そのサイトを検索して見たが他にムービーファイルは置いていなかった。個人のサイトで、気に入ったムービーファイルを紹介してダウンロードフリーにしていると言った感じか?
用意したUSBメモリに映像ファイルのバックアップを取る。
なんとなく、フリーのCMS使ってそうな臭いがするなあと思って心当たりのあるフリーCMSの管理画面のディレクトリを入れてみる。案の定、ログイン画面が表れた。
これ以上の作業は危険だ。ここから先の作業は、回線が特定されても支障のない場所で続けよう。
表示したログイン画面のハードコピーをとって、画面を閉じた。
念のため、映像ファイルのファイル名で検索してみると、5件ほどヒットした。もう既にこのサイト以外にも漏れているようだ。
一旦ノートPCを閉じて、Dバッグに入れると、Dバッグを背負って近所のネットカフェに向かった。
2009年12月22日火曜日
第3話「ウェブサイトの恐怖 漏洩情報を排除せよ」#3
「お疲れさん。」
サバゲー後は恒例でスーパー銭湯につかって汚れを落とし、そこで生ビールで乾杯。
「いやーお疲れさん。久々の夜戦は新鮮だねえ。」
と所長は顔を上気させて楽しそう。
「せっかくだから、今度の夜戦のために暗視鏡を買っておこうかと思って。」
と、サバゲーグッズの話に展開していく。こりゃ話が長くなりそうだなと話題を変えてみる。
「そういえば、所長あれから俺のできそうな仕事はないですかねえ。しばらく暇なんでよ。」
グッズの話ができなくて残念そうだが、こっちの話にのってくれた。
「そうだなあ。今のところ、特にないけど。あ、そうだ昨日来ていた案件、順平くんにお願いしなけりゃと思ってたんだよ。つまんない案件かもしれないけど、明日暇だった事務所においでよ」
「じゃ明日行きますね。どんな案件ですか?」
「この前解決してもらった隠し撮りビデオと同じ依頼者からで、うーん詳しい話は明日と言うことで。そうそう、さっきに話だけど、オークションに暗視スコープの掘り出し物が出品されててさあ。どうやら米軍の放出品らしいんだよね。」
とグッズの話に戻ってしまった。
話は長そうだ。順平は生ビールをクピッと飲んだ。
「机の上に依頼書があるから見ておいてくれ。」
と、所長が机の上を指しながら言った。
サバゲーの翌日、朝から事務所に行くとソファーに所長が寝ていた。
二日酔いなのか気分が悪そうだ。
「Webサイトがらみだから、順平くん担当で良いだろ?報酬はまた相談するから、今はそっとしておいてくれ」
と言って、頭から毛布をかぶってしまった。
しょうがないなあ。と思いながらも、依頼に興味があったので早速、依頼書を見てみる。
「あら、順平くんこんにちは」
奥から江島さんが出てきた。
「ちょっと聞いてよ。昨日大変だったんだから。」
近所の話好きなおばちゃん状態で江島さんが近づいてきた。
「順平くんが帰ってから、私が助っ人してあげた電電探偵事務所の面々がやってきて、本当の決着付けるんだってジガーバーに行って、ウォッカのショット対決だって。で、たった15杯目でこの有様よ。まったくもう。その続きは、私が20杯ほどで、後の全員が倒れたから、うちの事務所の勝ちだけどね。」
で、そんなに飲んで江島さんは、何ともないのか?不死身の肝臓だ。
「その後、帰りはタクシーに連れ込むのをバーテンダーさんに手伝ってもらったり、事務所まで運ぶのをタクシーの運転手さんに手伝ってもらったりで大騒ぎだったのよ。まったく。」
話が止まらなさそうだったので、依頼書を見せて強引にブレイク。
「ごめん、今日はこの件なんだ」
「あ、依頼の件ね。ごめんごめん。私も依頼者から一緒だったから説明してあげるわ。」
サバゲー後は恒例でスーパー銭湯につかって汚れを落とし、そこで生ビールで乾杯。
「いやーお疲れさん。久々の夜戦は新鮮だねえ。」
と所長は顔を上気させて楽しそう。
「せっかくだから、今度の夜戦のために暗視鏡を買っておこうかと思って。」
と、サバゲーグッズの話に展開していく。こりゃ話が長くなりそうだなと話題を変えてみる。
「そういえば、所長あれから俺のできそうな仕事はないですかねえ。しばらく暇なんでよ。」
グッズの話ができなくて残念そうだが、こっちの話にのってくれた。
「そうだなあ。今のところ、特にないけど。あ、そうだ昨日来ていた案件、順平くんにお願いしなけりゃと思ってたんだよ。つまんない案件かもしれないけど、明日暇だった事務所においでよ」
「じゃ明日行きますね。どんな案件ですか?」
「この前解決してもらった隠し撮りビデオと同じ依頼者からで、うーん詳しい話は明日と言うことで。そうそう、さっきに話だけど、オークションに暗視スコープの掘り出し物が出品されててさあ。どうやら米軍の放出品らしいんだよね。」
とグッズの話に戻ってしまった。
話は長そうだ。順平は生ビールをクピッと飲んだ。
「机の上に依頼書があるから見ておいてくれ。」
と、所長が机の上を指しながら言った。
サバゲーの翌日、朝から事務所に行くとソファーに所長が寝ていた。
二日酔いなのか気分が悪そうだ。
「Webサイトがらみだから、順平くん担当で良いだろ?報酬はまた相談するから、今はそっとしておいてくれ」
と言って、頭から毛布をかぶってしまった。
しょうがないなあ。と思いながらも、依頼に興味があったので早速、依頼書を見てみる。
「あら、順平くんこんにちは」
奥から江島さんが出てきた。
「ちょっと聞いてよ。昨日大変だったんだから。」
近所の話好きなおばちゃん状態で江島さんが近づいてきた。
「順平くんが帰ってから、私が助っ人してあげた電電探偵事務所の面々がやってきて、本当の決着付けるんだってジガーバーに行って、ウォッカのショット対決だって。で、たった15杯目でこの有様よ。まったくもう。その続きは、私が20杯ほどで、後の全員が倒れたから、うちの事務所の勝ちだけどね。」
で、そんなに飲んで江島さんは、何ともないのか?不死身の肝臓だ。
「その後、帰りはタクシーに連れ込むのをバーテンダーさんに手伝ってもらったり、事務所まで運ぶのをタクシーの運転手さんに手伝ってもらったりで大騒ぎだったのよ。まったく。」
話が止まらなさそうだったので、依頼書を見せて強引にブレイク。
「ごめん、今日はこの件なんだ」
「あ、依頼の件ね。ごめんごめん。私も依頼者から一緒だったから説明してあげるわ。」
2009年12月15日火曜日
第3話「ウェブサイトの恐怖 漏洩情報を排除せよ」#2
俺の頭に、その体に不似合いな6インチのM16を向け。
「さよなら」
というと、引き金を引いた。弾は見事に眉間に当たった。
俺はその場に崩れ倒れた。
「また負けちゃったよ。江島さん強すぎない?」
「なんで、順平くん、あそこで油断しちゃうかなあ。」
所長が不満顔で言う。
「所長を救ってあげたからでしょ。それに、そういう所長だって、江島さんに1対1で負けてるじゃないですか。」
「接近戦だとロングバレルは不利なんだから、仕方ないでしょ」
俺を倒した後、江島さんは、M16を片手に所長の木立に向かってダッシュした。
あわててT所長は江島さんに銃を向けようとするが木立がじゃまになって上手く狙えない。
半歩下がって体制を立て直した頃には江島さんは所長の間際まで近づいていて、所長が江島さんを狙う前に眉間を打ち抜かれていた。
今日は、近隣の探偵事務所対抗でのサバゲー大会。
ホントは事務所単位なんだけど、うちの事務所は、昨年、一昨年と優勝が続き、強すぎるとのクレームがあり、去年最下位だった探偵事務所のメンバーと江島さんが強制的にトレードされて敵方に。
結局、昨年最下位探偵事務所が優勝。結局うちの事務所が強かったのは、江島さんのおかげなのね。
なんとか準優勝できて、面目は躍如した。俺は探偵事務所対抗のサバゲーは初めてだったが、所長とは同じサバゲークラブでチームを組んだことが何回もある。
所長はもっぱら、スナイパー役で、腕が良い。本物のスコープを付けてちょと大人げない。
最近は電動銃が主流だが、俺たちはもっぱらガス銃を好んで使っている。
なぜなら、違法ではあるが、改造して外部のエアタンクにホースで接続して、パワーアップできるからだ。
エアタンクは背中の腰の位置に固定している。
特にスナイパー役の所長は、エアタンクのおかげで弾道が安定するので欠かせない。
「そういえば江島さん何でM16何ですか?」
「え?かっこいいじゃない。リボルバーって最高よね。M16って重厚感があってバランスとれてるって感じじゃない?」
と言いながら、腰のホルスターからM16を抜いて早撃ちのマネをする。
本物だったら、撃った瞬間に手首の骨が砕けだろうなあと思いながら。
「でも、弾数が少ないし、薬きょうの換装も面倒だからサバゲーじゃ不利でしょ」
「それが良いんじゃない。弾の金属質な感じも良いし、換装も手間が良いのよね。それにさっきも1回も換装してないわよた。結局6発つかってないもん」
くそお。俺は50発以上ばらまいたぞ。まあ、牽制の意味でばらまいているから良い悪いはないけど。
滝沢探偵事務所チームの3人とも江島さんにやられた訳だから、1人あたり2発使ってないって驚異だよ。
「換装も早いわよ」
といって、M16を取り出し、シリンダーを外して、上に向けて薬きょうを解放すると、スピードローダーにセットされた弾を装着、シリンダーを戻す。
1アクションにしか見えないスピードで換装が完了した。
この人、生まれる時代を間違ったね。
「さよなら」
というと、引き金を引いた。弾は見事に眉間に当たった。
俺はその場に崩れ倒れた。
「また負けちゃったよ。江島さん強すぎない?」
「なんで、順平くん、あそこで油断しちゃうかなあ。」
所長が不満顔で言う。
「所長を救ってあげたからでしょ。それに、そういう所長だって、江島さんに1対1で負けてるじゃないですか。」
「接近戦だとロングバレルは不利なんだから、仕方ないでしょ」
俺を倒した後、江島さんは、M16を片手に所長の木立に向かってダッシュした。
あわててT所長は江島さんに銃を向けようとするが木立がじゃまになって上手く狙えない。
半歩下がって体制を立て直した頃には江島さんは所長の間際まで近づいていて、所長が江島さんを狙う前に眉間を打ち抜かれていた。
今日は、近隣の探偵事務所対抗でのサバゲー大会。
ホントは事務所単位なんだけど、うちの事務所は、昨年、一昨年と優勝が続き、強すぎるとのクレームがあり、去年最下位だった探偵事務所のメンバーと江島さんが強制的にトレードされて敵方に。
結局、昨年最下位探偵事務所が優勝。結局うちの事務所が強かったのは、江島さんのおかげなのね。
なんとか準優勝できて、面目は躍如した。俺は探偵事務所対抗のサバゲーは初めてだったが、所長とは同じサバゲークラブでチームを組んだことが何回もある。
所長はもっぱら、スナイパー役で、腕が良い。本物のスコープを付けてちょと大人げない。
最近は電動銃が主流だが、俺たちはもっぱらガス銃を好んで使っている。
なぜなら、違法ではあるが、改造して外部のエアタンクにホースで接続して、パワーアップできるからだ。
エアタンクは背中の腰の位置に固定している。
特にスナイパー役の所長は、エアタンクのおかげで弾道が安定するので欠かせない。
「そういえば江島さん何でM16何ですか?」
「え?かっこいいじゃない。リボルバーって最高よね。M16って重厚感があってバランスとれてるって感じじゃない?」
と言いながら、腰のホルスターからM16を抜いて早撃ちのマネをする。
本物だったら、撃った瞬間に手首の骨が砕けだろうなあと思いながら。
「でも、弾数が少ないし、薬きょうの換装も面倒だからサバゲーじゃ不利でしょ」
「それが良いんじゃない。弾の金属質な感じも良いし、換装も手間が良いのよね。それにさっきも1回も換装してないわよた。結局6発つかってないもん」
くそお。俺は50発以上ばらまいたぞ。まあ、牽制の意味でばらまいているから良い悪いはないけど。
滝沢探偵事務所チームの3人とも江島さんにやられた訳だから、1人あたり2発使ってないって驚異だよ。
「換装も早いわよ」
といって、M16を取り出し、シリンダーを外して、上に向けて薬きょうを解放すると、スピードローダーにセットされた弾を装着、シリンダーを戻す。
1アクションにしか見えないスピードで換装が完了した。
この人、生まれる時代を間違ったね。
2009年12月8日火曜日
第3話「ウェブサイトの恐怖 漏洩情報を排除せよ」#1
夜の公園に公園の駐車場からヘッドライトの明かりが漏れ込んで、公園の中は明るい。
木立の影が細長く公園の芝生に伸びる。
街中にあるにしては、木立が多く、公園の外からは、中の様子をうかがうことはできない。
夜も19時を過ぎ、何の施設もないこの公園は普段は静かではあるが、今日は何やら人の気配がある。
「あっ」
という叫び声が聞こえ、順平のすぐ隣の木陰にいた男が倒れた。
「順平くん、助っ人がやられたようだ」
ヘッドセットに所長の声が響く。
「みたいですね。」
肩で息をしながら俺が応える。向かいの木陰を見ると人影らしい動きが見えるが、一瞬で狙えない。
「そろそろ、例の作戦いきますか?」
という俺にヘッドセットから
「大丈夫か?」
と心配そうな所長の声。
「なあに、準備ok!10秒後に作戦開始します。」
と一息ついて、
「5、4、3、2、1、GO」
と言って一気に滑り台のある位置までダッシュする。すると、無数の弾が向かいの林の中から発射されるが、むなしく頭上を通過する。
俺を狙おうと体を乗り出した男がうかつにも車のライトに照らされた。
その瞬間、パシュという音がして、その男の眉間が打ち抜かれる。
滑り台の影に隠れようとする俺を狙って、もう一人の男が動いた。
木陰に隠れてはいるが、背景が明るくシルエットに浮かびだしたとたん、頭部が打ち抜かれた。
俺は、滑り台に当たるカンカンという音が鳴り止むやむのを待たずに、隣の木立に体を隠した。
さらに、もう1人「あ」という短い叫び声を残して敵が倒れた。所長に撃たれたようだ。
「さすが、所長、良い腕してるね。」
「すまんが、順平くん。火線がこっちに集中してきたから援護してくれないか?」
しまったすっかり忘れていた。
「了解。」
俺はM93Rを構えると木立の影から敵の様子をうかがった。
確かに、俺を狙うものがいなくなり、逆に3人を葬った所長の方に着弾の集中している。
見ると、所長のすぐ近くまでハンドガンを持って移動している男がいる。
ハンドガンで長距離射程は厳しいが、狙ってみる。
セミオートからシングルに切り替え、両手で慎重に狙う。
パシュ
コルガバを持った男の背中に当たったらしく、そのまま前につんのめって倒れた。
これで敵は残り1名のはず。楽勝モードで敵を探すと
「バーン」
という声に振り返ると、声の主は後ろにいた。江島さんだ。
≪#2へ続く≫
この小説はフィクションであり、実在する国、団体や事象、法律など実在の世界にあるものとは、一切関係ありません。
バナー広告と小説の出てくる物品が似ている場合もありますが、それが同一のものであることを保障するものではありません。
木立の影が細長く公園の芝生に伸びる。
街中にあるにしては、木立が多く、公園の外からは、中の様子をうかがうことはできない。
夜も19時を過ぎ、何の施設もないこの公園は普段は静かではあるが、今日は何やら人の気配がある。
「あっ」
という叫び声が聞こえ、順平のすぐ隣の木陰にいた男が倒れた。
「順平くん、助っ人がやられたようだ」
ヘッドセットに所長の声が響く。
「みたいですね。」
肩で息をしながら俺が応える。向かいの木陰を見ると人影らしい動きが見えるが、一瞬で狙えない。
「そろそろ、例の作戦いきますか?」
という俺にヘッドセットから
「大丈夫か?」
と心配そうな所長の声。
「なあに、準備ok!10秒後に作戦開始します。」
と一息ついて、
「5、4、3、2、1、GO」
と言って一気に滑り台のある位置までダッシュする。すると、無数の弾が向かいの林の中から発射されるが、むなしく頭上を通過する。
俺を狙おうと体を乗り出した男がうかつにも車のライトに照らされた。
その瞬間、パシュという音がして、その男の眉間が打ち抜かれる。
滑り台の影に隠れようとする俺を狙って、もう一人の男が動いた。
木陰に隠れてはいるが、背景が明るくシルエットに浮かびだしたとたん、頭部が打ち抜かれた。
サバゲー大好きです。 | 俺の相棒 | 夜の公園にこんなのがいたらちょっと怖い。 |
俺は、滑り台に当たるカンカンという音が鳴り止むやむのを待たずに、隣の木立に体を隠した。
さらに、もう1人「あ」という短い叫び声を残して敵が倒れた。所長に撃たれたようだ。
「さすが、所長、良い腕してるね。」
「すまんが、順平くん。火線がこっちに集中してきたから援護してくれないか?」
しまったすっかり忘れていた。
「了解。」
俺はM93Rを構えると木立の影から敵の様子をうかがった。
確かに、俺を狙うものがいなくなり、逆に3人を葬った所長の方に着弾の集中している。
見ると、所長のすぐ近くまでハンドガンを持って移動している男がいる。
ハンドガンで長距離射程は厳しいが、狙ってみる。
セミオートからシングルに切り替え、両手で慎重に狙う。
パシュ
コルガバを持った男の背中に当たったらしく、そのまま前につんのめって倒れた。
これで敵は残り1名のはず。楽勝モードで敵を探すと
「バーン」
という声に振り返ると、声の主は後ろにいた。江島さんだ。
ライフルを持ち運ぶ際は、ケースに入れて。 | 最近は、ガスより電動ですね。 | フルフィンガーだけど、人差し指が出せる優れもの |
≪#2へ続く≫
この小説はフィクションであり、実在する国、団体や事象、法律など実在の世界にあるものとは、一切関係ありません。
バナー広告と小説の出てくる物品が似ている場合もありますが、それが同一のものであることを保障するものではありません。
2009年12月1日火曜日
第2話「家出少女救出作戦」#10
救急車が到着し、3人に女性を搬送した後、警察には後で事情を説明するからと無理やり抜け出した。
江島さんからの連絡で、
「ヘルプの探偵さんがホテルの部屋をマークしておいたところに警察が入って、高須と残りの2人は覚せい剤取締法違反で現行犯逮捕だって」
よかった。こっちは一安心。
そのホテルに3名が監禁されていたらしい。
俺と所長はいったん事務所に戻ってきた。
さっき電話で目暮警部からの連絡で、高須のいたホテル、高須のマンション、倉庫のプレハブ、中国船、いずれも捜索したが、南条さんは見つかっていない。
いったいどこに隠れたんだろうか?
もしかして、元々高須とは一緒に話したぐらいの関係で拉致されていなかったのか?
「そういえば高須のマンションって結構高級そうでしたよね。ていうことは、エレベータとかに監視カメラもあるんじゃないですか?」
「ああ確かに。たぶん警備会社の管理になっていると思うから、この数日のビデオは見れると思う。早速あたってみるか」
なぜだか警備会社にもコネのある所長は早速ビデオデータの入ったハードディスクを借りてきた。
「エレベータは2機あるからデータは2つある。俺と順平くんで手分けして見よう」
幸い、エレベータが停止している時間の画像は撮っていないので、早送りで見ると1日分は1時間もかからず見ることができる。2日目に差し掛かったあたりで、高須と南条さんがエレベータで上の階に行くのが確認できた。
「よし、高須のマンションに行ったところまでは確認できたな」
じゃ、次はマンションから出るときの映像だが、それが見つからない。
「おかしいな。見逃したかな?」
と俺が言うと
「まあ、階段を使えば、エレベータの映像には残んないけど、普通はエレベータ使うよな」
と所長が答える。
「もしかして、まだ高須のマンションのどこかにいるのか?」
と所長が立ち上がったので、俺も続く。
2人で車に乗って、高須のマンションに向かう。その間に所長は目暮警部に捜査現場へ立ち入りの許可を取った」
マンションの外から高須の部屋を見上げて、確認して、高須の部屋にエレベータで上がる。
もう捜査の人はいないが立ち入り禁止のテープが張られ、警官が2名張り付いている。事前に連絡が行っていたせいか、所長の顔を見ても敬礼しただけで何も言わない。
「ふーん」
と思いながらも、高須の部屋に入りリビングから外を眺める。
警察が散々捜した後だから、何も出ようがないと思うが、エレベータのビデオを見る限りは南条ゆかりさんはこの部屋にいる。
寝室と和室、洋間、台所とうろうろしていると何か気持ち悪い。何だろう?この気持ち悪さは?
一旦部屋から出て、1階まで降りてみる、もう一度下から高須の部屋を見上げる。何かが違う。
高須のマンションは、俗に言うデザインマンションで、ちょっと特異なデザインになっている。エントランス側は北向きでベランダはない。代わりに窓が4つついている。あれ、と思い、高須の部屋に上がってみる。北向きの部屋は寝室と洋間、寝室には2つ窓があるが、洋間には窓が1つ。ではもう1つの窓はどこに?
位置から言うと、洋間と隣の部屋との間にもう1つ窓のある空間があるはず。
洋室の壁には何の仕掛けも見れないし、洋室の隣はバスルームがある。後はクローゼットの中ぐらいしか考えられない。
クローゼットの横壁についていた、フックが動く。と、横壁が2つに折れて中の部屋への通路が現れた。
中は薄暗い。1つだけの窓からはいる明るさだ。次第に目がなれると4畳ぐらいのほど長い空間にベッドが置かれ、そこに女性が寝ていた。南条ゆかりさんだ。やせて肌は土気色だが写真で見た彼女に間違いないと思う。
あわてて、所長と入り口の警官を呼んで、救急車を手配した。
その後、所長は夜中になってようやく帰ってきた。
「いやーまいったよ。事情聴取で今までかかちゃったよ」
「ホテルにいた高須と仲間の2人組に職質かけたら麻薬を所持が見つかって、3人とも現行犯逮捕だったてさ」
事務所のソファに寝ころびながら疲れた様子で言った。
「ま、覚醒剤持って無くても、状況証拠は押さえているから、逃げられないけどね。連れていた女の子からも覚醒剤反応が出ていたそうだよ。やっぱり、女の子をホテルに連れ込んで麻薬を打っていた様だ。」
所長は江島さんの入れたコーヒーを飲みながら続けた。
「後は、逮捕監禁までは立証できる。が、人身売買までは、国内法では、追求は難しいかもしれないなあ。」
どうやら奴は、大阪三宮界隈で家出した少女を見つけるとナンパし、ホテルなどで麻薬を覚えさせ、その後、自宅へ連れ込み、麻薬漬けにした後、港近くの倉庫に監禁し、中国船で香港方面に人身売買を行っていようだ。
奴の逮捕を受けて、中国大使館から許可を得た港湾当局が中国船を捜索し、船長と乗組員が逮捕され、中国当局に引き渡された。
香港の売買ルートの追跡を中国当局に依頼し、この事件は収束した。
奴のバックに暴力団組織の影が見えたが、結局証拠がなく、捜査もそれまでとなった。
翌朝、事務所へ行くと、江島さん1人だった。
「おはよう」
と声をかけると、にっこりと笑って、
「順平くん。おはよう。昨日はお疲れ様でした。」
「いやいや、疲れたのは所長でしょ。長かったもんね」
そこに。ちょっと遅れて所長がやってきた。
「おはよう。江島くん。あれ、順平くんも早いねえ」
「おはようございます。昨日の事件が気になって、来てみました」
「昨日は、ありがとう。順平くんのおかげで、彼女を助けることができたようなもんだよ。もう少し遅れてたら、彼女の命にかかわっていたと思うよ。」
「いえいえ、それもこれも江島さんのキャンギャルのおかげです。」
「あそういえば、江島くん今日はキャンギャルじゃないの?」
と所長が反応する。
「当たり前でしょ。」
「あの衣装、制服にしない?」
「しません。」
「ちぇ」
子供みたいにすねてる所長。
所長は、俺を招き寄せると、小声で言った。
「順平くん。また、キャンギャル作戦使おうね。新しい江島さんの衣装を用意しとくから。」
嬉しそうに言う。
「何そこでこそこそ話してるんですか?もう、今月使った分の領収書早く出してくださいよ。」
「そうそう。順平くんの報酬だけど、途中から犯罪捜査に変わっちゃったね。幸い、救出した3名も他の探偵事務所に捜査協力依頼が出ててね。実際に問題を解決したうちに、謝礼の半分を回してくれたよ。その中から順平くんの取り分だ。40万だ!」
所長はお金の入った封筒を渡してくれた。
「いつもニコニコ現金払いだ。また頼んだよ。」
「ええ、良いですけど、今回も運が良かったですからねえ。次は判んないですよ。」
「了解。了解。結果オーライだよ。もし解決できなくても手間賃分はちゃんと払うから安心してくれ」
しかし、いつまでも運に頼るのもどうかと思うし、アングラサイトで何か良いツール無いかさがしてみようかなと思う今日この頃。
第二話 完
≪第三話へ続く≫
この小説はフィクションであり、実在する国、団体や事象、法律など実在の世界にあるものとは、一切関係ありません。
バナー広告と小説の出てくる物品が似ている場合もありますが、それが同一のものであることを保障するものではありません。
江島さんからの連絡で、
「ヘルプの探偵さんがホテルの部屋をマークしておいたところに警察が入って、高須と残りの2人は覚せい剤取締法違反で現行犯逮捕だって」
よかった。こっちは一安心。
そのホテルに3名が監禁されていたらしい。
俺と所長はいったん事務所に戻ってきた。
さっき電話で目暮警部からの連絡で、高須のいたホテル、高須のマンション、倉庫のプレハブ、中国船、いずれも捜索したが、南条さんは見つかっていない。
いったいどこに隠れたんだろうか?
もしかして、元々高須とは一緒に話したぐらいの関係で拉致されていなかったのか?
「そういえば高須のマンションって結構高級そうでしたよね。ていうことは、エレベータとかに監視カメラもあるんじゃないですか?」
「ああ確かに。たぶん警備会社の管理になっていると思うから、この数日のビデオは見れると思う。早速あたってみるか」
なぜだか警備会社にもコネのある所長は早速ビデオデータの入ったハードディスクを借りてきた。
「エレベータは2機あるからデータは2つある。俺と順平くんで手分けして見よう」
幸い、エレベータが停止している時間の画像は撮っていないので、早送りで見ると1日分は1時間もかからず見ることができる。2日目に差し掛かったあたりで、高須と南条さんがエレベータで上の階に行くのが確認できた。
「よし、高須のマンションに行ったところまでは確認できたな」
じゃ、次はマンションから出るときの映像だが、それが見つからない。
「おかしいな。見逃したかな?」
と俺が言うと
「まあ、階段を使えば、エレベータの映像には残んないけど、普通はエレベータ使うよな」
と所長が答える。
「もしかして、まだ高須のマンションのどこかにいるのか?」
と所長が立ち上がったので、俺も続く。
2人で車に乗って、高須のマンションに向かう。その間に所長は目暮警部に捜査現場へ立ち入りの許可を取った」
マンションの外から高須の部屋を見上げて、確認して、高須の部屋にエレベータで上がる。
もう捜査の人はいないが立ち入り禁止のテープが張られ、警官が2名張り付いている。事前に連絡が行っていたせいか、所長の顔を見ても敬礼しただけで何も言わない。
「ふーん」
と思いながらも、高須の部屋に入りリビングから外を眺める。
警察が散々捜した後だから、何も出ようがないと思うが、エレベータのビデオを見る限りは南条ゆかりさんはこの部屋にいる。
寝室と和室、洋間、台所とうろうろしていると何か気持ち悪い。何だろう?この気持ち悪さは?
一旦部屋から出て、1階まで降りてみる、もう一度下から高須の部屋を見上げる。何かが違う。
高須のマンションは、俗に言うデザインマンションで、ちょっと特異なデザインになっている。エントランス側は北向きでベランダはない。代わりに窓が4つついている。あれ、と思い、高須の部屋に上がってみる。北向きの部屋は寝室と洋間、寝室には2つ窓があるが、洋間には窓が1つ。ではもう1つの窓はどこに?
位置から言うと、洋間と隣の部屋との間にもう1つ窓のある空間があるはず。
洋室の壁には何の仕掛けも見れないし、洋室の隣はバスルームがある。後はクローゼットの中ぐらいしか考えられない。
クローゼットの横壁についていた、フックが動く。と、横壁が2つに折れて中の部屋への通路が現れた。
中は薄暗い。1つだけの窓からはいる明るさだ。次第に目がなれると4畳ぐらいのほど長い空間にベッドが置かれ、そこに女性が寝ていた。南条ゆかりさんだ。やせて肌は土気色だが写真で見た彼女に間違いないと思う。
あわてて、所長と入り口の警官を呼んで、救急車を手配した。
デザインマンション | 最近は監視カメラも楽に設置できます | 隠し部屋 |
その後、所長は夜中になってようやく帰ってきた。
「いやーまいったよ。事情聴取で今までかかちゃったよ」
「ホテルにいた高須と仲間の2人組に職質かけたら麻薬を所持が見つかって、3人とも現行犯逮捕だったてさ」
事務所のソファに寝ころびながら疲れた様子で言った。
「ま、覚醒剤持って無くても、状況証拠は押さえているから、逃げられないけどね。連れていた女の子からも覚醒剤反応が出ていたそうだよ。やっぱり、女の子をホテルに連れ込んで麻薬を打っていた様だ。」
所長は江島さんの入れたコーヒーを飲みながら続けた。
「後は、逮捕監禁までは立証できる。が、人身売買までは、国内法では、追求は難しいかもしれないなあ。」
どうやら奴は、大阪三宮界隈で家出した少女を見つけるとナンパし、ホテルなどで麻薬を覚えさせ、その後、自宅へ連れ込み、麻薬漬けにした後、港近くの倉庫に監禁し、中国船で香港方面に人身売買を行っていようだ。
奴の逮捕を受けて、中国大使館から許可を得た港湾当局が中国船を捜索し、船長と乗組員が逮捕され、中国当局に引き渡された。
香港の売買ルートの追跡を中国当局に依頼し、この事件は収束した。
奴のバックに暴力団組織の影が見えたが、結局証拠がなく、捜査もそれまでとなった。
翌朝、事務所へ行くと、江島さん1人だった。
「おはよう」
と声をかけると、にっこりと笑って、
「順平くん。おはよう。昨日はお疲れ様でした。」
「いやいや、疲れたのは所長でしょ。長かったもんね」
そこに。ちょっと遅れて所長がやってきた。
「おはよう。江島くん。あれ、順平くんも早いねえ」
「おはようございます。昨日の事件が気になって、来てみました」
「昨日は、ありがとう。順平くんのおかげで、彼女を助けることができたようなもんだよ。もう少し遅れてたら、彼女の命にかかわっていたと思うよ。」
「いえいえ、それもこれも江島さんのキャンギャルのおかげです。」
「あそういえば、江島くん今日はキャンギャルじゃないの?」
と所長が反応する。
「当たり前でしょ。」
「あの衣装、制服にしない?」
「しません。」
「ちぇ」
子供みたいにすねてる所長。
所長は、俺を招き寄せると、小声で言った。
「順平くん。また、キャンギャル作戦使おうね。新しい江島さんの衣装を用意しとくから。」
嬉しそうに言う。
「何そこでこそこそ話してるんですか?もう、今月使った分の領収書早く出してくださいよ。」
「そうそう。順平くんの報酬だけど、途中から犯罪捜査に変わっちゃったね。幸い、救出した3名も他の探偵事務所に捜査協力依頼が出ててね。実際に問題を解決したうちに、謝礼の半分を回してくれたよ。その中から順平くんの取り分だ。40万だ!」
所長はお金の入った封筒を渡してくれた。
「いつもニコニコ現金払いだ。また頼んだよ。」
「ええ、良いですけど、今回も運が良かったですからねえ。次は判んないですよ。」
「了解。了解。結果オーライだよ。もし解決できなくても手間賃分はちゃんと払うから安心してくれ」
しかし、いつまでも運に頼るのもどうかと思うし、アングラサイトで何か良いツール無いかさがしてみようかなと思う今日この頃。
第二話 完
ドラッグは怖いねえ | アングラサイトを探そう | ハッカーのテクニック |
≪第三話へ続く≫
この小説はフィクションであり、実在する国、団体や事象、法律など実在の世界にあるものとは、一切関係ありません。
バナー広告と小説の出てくる物品が似ている場合もありますが、それが同一のものであることを保障するものではありません。
2009年11月24日火曜日
第2話「家出少女救出作戦」#9
「ああ、俺だ」
入り口側の部屋から男の話し声が聞こえる。
「なんだって、今からか?しょうがないなあ。こっちか?ああ、大人しいもんだよ。この様子なら、2、3時間空けても問題ないだろ。じゃ、マンションでな」
電話が切れたようだ。2人の男の話し声が聞こえる。
「おい、いくぞ。」
「え、俺もか?」
「仕方がないだろ、3人も一気に釣れたんだから、俺と奴だけじゃ手に余るから、手伝えよ」
「いいけど、ここはどうすんだ」
「どうせ、2時間もかかりゃしないし、こいつら大人しいもんだろ。」
「ああ、そうだな。さっきやったばかりだから、2時間は大丈夫だろ。」
という話し声が聞こえたと思ったら、入り口側の部屋から真ん中の部屋に2人の男が入ってきた。茶髪に皮ジャンを着たパンクファッションの学生っぽい男とオールバックにブレザーを着た若い男だ。
茶髪の男がリビングに横たわっている女の顔をのぞき込んだ。
寝ていることを確認すると、左の奥の部屋に入った。
奥の部屋の様子は見えないが、しばらくしたら茶髪の男が出てきて、リビングで待っていたオールバックの男に合図した。
そして、二人一緒に入り口側の部屋に戻って扉を閉めた。
その後、鍵を掛ける音がした。
「オッケーじゃさっさと行くか」とこもった声が聞こえた後入り口のドアが開く音がした。
小声で実況中継していた俺だが、あわてて、コンクリートマイクと、ファイアースコープのセットをはずしてポケットに突っ込むと、音を立てないように慎重に足場を降りた。
「どうやら奴ら、出かけるみたいだよ」
「見つからないように気をつけて、慎重にね」
俺は、倉庫の中が覗ける窓に鏡を向けて奴らの動きを監視した。
2人の男たちは、奥の倉庫の方へ向かった。
「倉庫の仕切りの扉を開けて向こう側に行ったよ」
俺が江島さんに伝えると、
「危ないから、十分距離をとって、やつらの動きを監視してね」
と答える。
俺は、十部に時間をとってから慎重に倉庫の中に入り、奥の倉庫の方に向かった。
シャッター音が聞こえる。
奥の倉庫との境にある扉の窓越しにランクルが見えた。
「車がないと思ってたけど、奥の倉庫にランクルを隠していたよ」
「もし可能なら、やつらの写真を撮っておいて」と江島さん
ちょっと遠いが仕方ない。めいっぱいズームして、扉の窓越しに2人の男を撮った。
しばらくすると前方のシャッターが前回になり、車が走り出した。
なんとかナンバーが見えないかと車を撮ってみた。流石に確実にナンバーを見るために隣の倉庫に移動するリスクを犯すことはできなかった。
倉庫の前で、しばらく停止していたが、シャッターが降りるのを確認すると、車は走り去ってしまった。
「行ちゃったよ。たぶん高須が捕まえた新たな犠牲者のところに行ったかな?」
「そうかもね。新たな犠牲者は気になるけど、どうせ例のマンションに連れ込むんでしょうから、そっちは後で手を打ちましょう」と江島さん。
「今は、ここを片づけるのが先よ。さっき聞いた話では、もう奴らの仲間は残っていないはずよね。一気にプレハブ小屋を捜索しましょ。時間も無いことだし、手荒にいきましょ」
「え、でも鍵はかけてたよ。どうやって開けるの?」
「じゃとりあえず、入り口の扉まで行ってちょだい。作業カバンにドライバがあるはずだから、それを鍵穴に入れてね。その近くに何かドライバのお尻を叩くのにハンマーの変わりになるものないかしら?」
「おもり代わりに使われていような鉄骨の切れ端があるけど、これでいいかな?」
「上等よ。ドライバーを出して入り口の鍵穴に入れて、ドライバーのお知りを目いっぱい鉄骨でたたいて頂戴」
一時期はやっていたバンピングと呼ばれる鍵のクラッキング方法らしい。
閑静な住宅地では近所の目も気になるが、ここは港の巨大倉庫の中。倉庫の周辺もほぼ無人。ちょっとやそっと音を立てても誰も気がつかない。
特にこの手の安直な鍵には有効だってさ。ガン、ガン、ガンと叩いて、ドライバを力任せにねじる。
ちょっと抵抗があったが、
「お、マジ開いたよ」
「ね、言ったでしょ」
「入り口のすぐ中の部屋は事務所のような感じだな」
事務机が2つあり、奥には応接セットがあり、さらにその奥に扉がある。
「ここには誰もいないみたいだ。次の部屋に行ってみる」
扉にはこの部屋から鍵がかけられていた。
解錠して、急いで奥の扉を開けて、中の部屋に入って行った。
まさに、さっきファイバースコープで見た光景だ。
テレビの前に寝転がっているの女性を回り込んでみた。
どうやら寝ているようだ。
「残念、真ん中の部屋の女性は南条ゆかりさんではないよ」
「そう。じゃ最後の部屋ね」
「うん。たぶんそうだろ」
と返事しながら奥の部屋に進む。鍵はかかっていなかった。
奥の部屋に入ってみる薄暗いが寝室のようだ。
奥にダブルベッドが2つあり、右側に2人下着姿の女性が寝ている。左に男性が目隠しと猿轡をかまされて縛られている。
「男?所長じゃやない?」
あわてて紐を解こうとするが、硬くて解けない。あきらめて作業バッグからナイフを取り出して切る。
「いやー、助かったよ。順平くん。さすがマジにやばかった」
「なんとか無事でよかった。これだけ監禁の証拠があれば、警察も動くでしょ」
「ああ、被害者の俺もいるから十分だ。ところで南条さんは?」
「この二人うちどっちかでしょ?って、違う、南条さんじゃない。じゃ、彼女はいったいどこに?」
2人の女性を見てみる。
「おい、大丈夫か?」
揺り動かすとかすかに目を開けたが、こちらを見ていない。やばいな。
所長は俺の携帯で唯一気心の知れた水上警察の目暮警部に連絡を入れた。事前に状況は伝えておいたから迅速に動いてくれるだろう。ついでに救急と事務所に連絡を入れた。
先ほどの2人の男たちがランクルで高須のところへ向かったことを所長に伝えると、
「くそ、絶対につかまえてやる」
目暮警部にそのことを伝えた後、高須の尾行をお願いしていたヘルプの尾藤さんに連絡した。
「滝沢だ。尾藤くん、そっちの状況はどうだ?」
「高須が3人の女の子を連れてホテルに入りました。1時間ほど前です。今はそのホテルの前で張っています。」
「了解。いまメールで画像を送る。その画像の2人の男がランクルに乗って間もなく到着するはずだ。水上警察にも連絡を入れたからすぐに到着するはずだから、やつらの居場所を伝えてくれ。」
「了解。」
だが、肝心の依頼者の娘、南条ゆかりさんの姿がどこにも見えない。
≪#10へ続く≫
この小説はフィクションであり、実在する国、団体や事象、法律など実在の世界にあるものとは、一切関係ありません。
バナー広告と小説の出てくる物品が似ている場合もありますが、それが同一のものであることを保障するものではありません。
入り口側の部屋から男の話し声が聞こえる。
「なんだって、今からか?しょうがないなあ。こっちか?ああ、大人しいもんだよ。この様子なら、2、3時間空けても問題ないだろ。じゃ、マンションでな」
電話が切れたようだ。2人の男の話し声が聞こえる。
「おい、いくぞ。」
「え、俺もか?」
「仕方がないだろ、3人も一気に釣れたんだから、俺と奴だけじゃ手に余るから、手伝えよ」
「いいけど、ここはどうすんだ」
「どうせ、2時間もかかりゃしないし、こいつら大人しいもんだろ。」
「ああ、そうだな。さっきやったばかりだから、2時間は大丈夫だろ。」
という話し声が聞こえたと思ったら、入り口側の部屋から真ん中の部屋に2人の男が入ってきた。茶髪に皮ジャンを着たパンクファッションの学生っぽい男とオールバックにブレザーを着た若い男だ。
茶髪の男がリビングに横たわっている女の顔をのぞき込んだ。
寝ていることを確認すると、左の奥の部屋に入った。
奥の部屋の様子は見えないが、しばらくしたら茶髪の男が出てきて、リビングで待っていたオールバックの男に合図した。
そして、二人一緒に入り口側の部屋に戻って扉を閉めた。
その後、鍵を掛ける音がした。
「オッケーじゃさっさと行くか」とこもった声が聞こえた後入り口のドアが開く音がした。
小声で実況中継していた俺だが、あわてて、コンクリートマイクと、ファイアースコープのセットをはずしてポケットに突っ込むと、音を立てないように慎重に足場を降りた。
「どうやら奴ら、出かけるみたいだよ」
「見つからないように気をつけて、慎重にね」
俺は、倉庫の中が覗ける窓に鏡を向けて奴らの動きを監視した。
2人の男たちは、奥の倉庫の方へ向かった。
「倉庫の仕切りの扉を開けて向こう側に行ったよ」
俺が江島さんに伝えると、
「危ないから、十分距離をとって、やつらの動きを監視してね」
と答える。
俺は、十部に時間をとってから慎重に倉庫の中に入り、奥の倉庫の方に向かった。
シャッター音が聞こえる。
奥の倉庫との境にある扉の窓越しにランクルが見えた。
「車がないと思ってたけど、奥の倉庫にランクルを隠していたよ」
「もし可能なら、やつらの写真を撮っておいて」と江島さん
ちょっと遠いが仕方ない。めいっぱいズームして、扉の窓越しに2人の男を撮った。
しばらくすると前方のシャッターが前回になり、車が走り出した。
なんとかナンバーが見えないかと車を撮ってみた。流石に確実にナンバーを見るために隣の倉庫に移動するリスクを犯すことはできなかった。
倉庫の前で、しばらく停止していたが、シャッターが降りるのを確認すると、車は走り去ってしまった。
こだわる人の | でこぼこ道もバリバリ走ります。 | プラモ作りは楽しいねえ。 |
「行ちゃったよ。たぶん高須が捕まえた新たな犠牲者のところに行ったかな?」
「そうかもね。新たな犠牲者は気になるけど、どうせ例のマンションに連れ込むんでしょうから、そっちは後で手を打ちましょう」と江島さん。
「今は、ここを片づけるのが先よ。さっき聞いた話では、もう奴らの仲間は残っていないはずよね。一気にプレハブ小屋を捜索しましょ。時間も無いことだし、手荒にいきましょ」
「え、でも鍵はかけてたよ。どうやって開けるの?」
「じゃとりあえず、入り口の扉まで行ってちょだい。作業カバンにドライバがあるはずだから、それを鍵穴に入れてね。その近くに何かドライバのお尻を叩くのにハンマーの変わりになるものないかしら?」
「おもり代わりに使われていような鉄骨の切れ端があるけど、これでいいかな?」
「上等よ。ドライバーを出して入り口の鍵穴に入れて、ドライバーのお知りを目いっぱい鉄骨でたたいて頂戴」
一時期はやっていたバンピングと呼ばれる鍵のクラッキング方法らしい。
閑静な住宅地では近所の目も気になるが、ここは港の巨大倉庫の中。倉庫の周辺もほぼ無人。ちょっとやそっと音を立てても誰も気がつかない。
特にこの手の安直な鍵には有効だってさ。ガン、ガン、ガンと叩いて、ドライバを力任せにねじる。
ちょっと抵抗があったが、
「お、マジ開いたよ」
「ね、言ったでしょ」
「入り口のすぐ中の部屋は事務所のような感じだな」
事務机が2つあり、奥には応接セットがあり、さらにその奥に扉がある。
「ここには誰もいないみたいだ。次の部屋に行ってみる」
扉にはこの部屋から鍵がかけられていた。
解錠して、急いで奥の扉を開けて、中の部屋に入って行った。
まさに、さっきファイバースコープで見た光景だ。
テレビの前に寝転がっているの女性を回り込んでみた。
どうやら寝ているようだ。
「残念、真ん中の部屋の女性は南条ゆかりさんではないよ」
「そう。じゃ最後の部屋ね」
「うん。たぶんそうだろ」
と返事しながら奥の部屋に進む。鍵はかかっていなかった。
奥の部屋に入ってみる薄暗いが寝室のようだ。
奥にダブルベッドが2つあり、右側に2人下着姿の女性が寝ている。左に男性が目隠しと猿轡をかまされて縛られている。
「男?所長じゃやない?」
あわてて紐を解こうとするが、硬くて解けない。あきらめて作業バッグからナイフを取り出して切る。
「いやー、助かったよ。順平くん。さすがマジにやばかった」
「なんとか無事でよかった。これだけ監禁の証拠があれば、警察も動くでしょ」
「ああ、被害者の俺もいるから十分だ。ところで南条さんは?」
「この二人うちどっちかでしょ?って、違う、南条さんじゃない。じゃ、彼女はいったいどこに?」
2人の女性を見てみる。
「おい、大丈夫か?」
揺り動かすとかすかに目を開けたが、こちらを見ていない。やばいな。
所長は俺の携帯で唯一気心の知れた水上警察の目暮警部に連絡を入れた。事前に状況は伝えておいたから迅速に動いてくれるだろう。ついでに救急と事務所に連絡を入れた。
先ほどの2人の男たちがランクルで高須のところへ向かったことを所長に伝えると、
「くそ、絶対につかまえてやる」
目暮警部にそのことを伝えた後、高須の尾行をお願いしていたヘルプの尾藤さんに連絡した。
「滝沢だ。尾藤くん、そっちの状況はどうだ?」
「高須が3人の女の子を連れてホテルに入りました。1時間ほど前です。今はそのホテルの前で張っています。」
「了解。いまメールで画像を送る。その画像の2人の男がランクルに乗って間もなく到着するはずだ。水上警察にも連絡を入れたからすぐに到着するはずだから、やつらの居場所を伝えてくれ。」
「了解。」
だが、肝心の依頼者の娘、南条ゆかりさんの姿がどこにも見えない。
こんな大きさのダブルベッドが2つ | 作業員の作業バッグはこれ | タフなのは、この電工ナイフです。 |
≪#10へ続く≫
この小説はフィクションであり、実在する国、団体や事象、法律など実在の世界にあるものとは、一切関係ありません。
バナー広告と小説の出てくる物品が似ている場合もありますが、それが同一のものであることを保障するものではありません。
2009年11月17日火曜日
第2話「家出少女救出作戦」#8
「ええ?どういうこと?」
問いかける俺に、首を振る江島さん。
「呼び出し音は鳴るけど、出ないのよ。今、手が離せないのかもしれないわ」
「どうするの?せっかく手がかりが見つかったのに」
という俺に対して、江島さんはにっこりと微笑みながら
「あら、ここに立派なエージェントがいるじゃない」
と、俺の肩を叩いた。
「え、俺?そんな無理だよ」
という俺を無視して、江島さんは
「えっと、港湾なら作業着のほうが目立たないから、紺の作業着一式ね。」
と、倉庫から変装セットを持ってきた。
「帽子も用意したから、太目のフレームのメガネで印象が変わるわ。」
「作業バッグに、道具一式入れといたから。使い方は後で説明するわね。」
「ほら、さっさと着替える。はい、ヘッドセットもして、ウエストポーチに携帯入れて忘れずに」
「え、でも」
とか言いながらも、なんとなく勢いに押されて着替え始める俺。
「じゃ、よろしくね」といって事務所を追い出された俺。
「どうするかなあ。現場なんて怖いしなあ。どっちかというとデスクワークのほうが」
と独り言を言う俺に、ヘッドセットから突込みが入る。
「こらこら、ぶつくさ言ってないでさっさと車でポーアイまで行って。向こうに到着するまでに作戦考えとくから。」
という江島さんの声にしぶしぶ車を走らせる俺であった。
「このブロックのはずだよな。」
倉庫のあるブロックの端で車を止めた。
カーナビの地図で現在位置を確認し、携帯の地図も確認する。
広い大きな倉庫と巨大なクレーン、広く空いた護岸へ通じる空き地が見える。
「そこから先は、車だと見つかるから、歩きでよろしく」と江島さんの声。
「了解」と俺も答える。
どうやらあたりに人気は無さそうだ。
「人影はなさそうだけど」
「じゃさっさと倉庫のほうに向かってね」
慎重に物陰をつたって倉庫あるほうに進んでいく。
「ありゃ、道路から倉庫まで広い駐車スペースで隠れるところがないよ」
「そう、じゃ、あんまりこそこそせずに、堂々と倉庫まで歩いてね」
背中が丸まっていた俺は、背筋を伸ばして、隠れる物陰がないのを気にしながらも怪しまれないように進む。
一番近くの倉庫に近づくと、大きなシャッターの隣に人が出入りするための扉を見つけた。
「北西の角に扉があるよ」
「扉に窓はある?」
「ああ、あるけど」
「じゃ、扉の窓の中から見られないように近くまで進んで、窓の中を鏡を使って確認してね」
江島さんの用意してくれた作業バッグの中に100均で売ってそうな折りたたみの手鏡がある。
「ふーん」
と思いながら、扉の正面を大きく迂回して扉に近づいた。
折りたたみの手鏡を開いて、扉の窓に近づけ、中の様子を探ってみる。
「うん、誰もいないみたいだ」
「そう。念のため、自分お目でも確認してね」
窓の端からそっと確認してみる俺。
「誰もいないみたいだ。何もなくてがらーんとしている」
「じゃ、扉開けてみて。音がしないように気をつけてね」
そっと扉を開けてみる。鍵はかかっていなかった。
「中に入ったよ。倉庫の中はいくつかのブロックに区切られているみたい」
手前のブロックには何もなくフォークリフトで運ぶのに使う木の土台がいくつか積み上がられているだけだ。
「あれ?おかしいな」
「どうしたの?」
「いや、何か人がいる場所があるかと思ったけど、何もないから変だなって」
と何もないことを不振に思いながら、次のブロックに行く。
次のブロックもそこも荷物はほとんどない。
よく見るとこのブロックの奥の壁に何かある。
倉庫の壁にプレハブの小屋のようなものが立っているようだ。
建物の内側に茶色くくすんだ同系色の小屋だからか、すぐには気が付かなかった。
「これか?」
「何か見つけたの?」
と問いかける江島さんに小声で
「プレハブの小屋が倉庫の中にあるのを見つけたんだ」
「あら、目いっぱい怪しいわね。きっとそれよ。まずはプレハブの状況を教えて」
俺は慎重に小屋の方に移動しながら話を続けた。
「倉庫の内側に茶色のプレハブ小屋がたぶん、3棟横に連結された形であるよ。倉庫の向こう側の壁とプレハブの壁はくっついているみたいだ。」
足音が妙に反響して誰かに聞かれないか気になる。
あれ?妙だ
「窓があったみたいだけど、そこが鉄板でふさがれてるみたい。ボルトで固定されてるよ」
「軟禁目的でふさがれたのかもね。プレハブの中から見られないか注意してぐるっと周囲を見てもらえる?入り口とか、窓とか開いている部分を確認してちょうだい」
「了解」
江島さんの指示に従って、プレハブの周囲をぐるっと回ってみる。
どの窓も塞がっているようだ。
プレハブの向こう側の壁は倉庫の壁に接している。
「倉庫の外に出ないと1周できないけどどうする?」
「プレハブの近くに倉庫の扉はあるかしら?」
「ああ、ちょうど倉庫の右側にあるよ」
「じゃ、扉の向こうに気をつけて、倉庫の外側も見てきて頂戴」
「了解」
ここの扉も鍵がかかっていなかった。
扉を開けて倉庫の外側に出る。
「ああ、プレハブと接している部分の倉庫の窓枠がはずれてるよ。そこだけプレハブの外壁が外に出てる。そ換気扇とガスの給湯器がついるよ」
「じゃあ、やっぱり怪しいわね」
「そのすぐ下にはエアコンの室外機も置いてあるよ。ということはお風呂かシャワーもあって、それなりに生活できるってことか」
「そうみたいね」
「どうやら、入り口は、倉庫の内側、左側のプレハブの1カ所のみみたいだよ。」
「じゃ、先ずは中の様子をコンクリートマイクを使って調べてみて。作業バッグにコンクリートマイクとヘッドセットが入っているはずよ」
「了解」
俺は、作業バッグからコンクリートマイクを取り出すと、倉庫の外側からプレハブの壁がむき出しになった部分にコンクリートマイクを当ててみる。そこから伸びたヘッドセットを携帯のヘッドセットとは反対側の耳に架ける。
「あ、テレビテレビの音が聞こえる。他に人の話し声とかは聞こえないよ」
しばらく聞いていたが、変化はなさそうだ。
「変化なさそうだねえ」
と俺が言うと、江島さんは
「じゃ中を覗いてみましょう。換気扇の穴から中が覗けるはずよ」
「え、ちょっと換気扇の穴は高すぎるよ」
「何かそこら辺に足場になりそうなものはないの?」
「フォークリフトの木製パレットがあるから高さだけなら問題なけど、覗くのは難しくない?」
という俺に江島さんは、
「作業バッグにファイバースコープも入れているから大丈夫って。さっさと足場を作ってね。目安は、足場の上に座って、換気扇の穴が目の前に来るぐらいまで積んでね」
「え、結構な高さまでつむんだな」
と俺はしぶしぶ周辺の木製パレットを移動して換気扇の下に積み上げていく。
1.5mほど積み上げて、パレットに座った状態で換気扇に届く高さになった。
「パレットを積み上げたよ。上に座って、換気扇の穴が目の前にある。穴は覗けるけど、この角度だと、天井しか見えないよ。どうしたらいいの?」
という俺に対して、江島さんは
「じゃ、指にハンカチを巻いて、一気に換気扇の羽根を止めて、ハンカチで固定してちょうだい」
「うわー痛そう」
という俺に、江島さんは、
「一気に止めればそれほど痛くないは、覚悟を決めて、一気にね」
まったく、人事だと思って。
俺は、作業かばんの中からハンカチを2枚取り出し、1枚を指に巻いて換気扇の羽根を一気に止める。急に風切音が消えた。
静かになった周囲には、エアコンの運転音とテレビの声が聞こえている。話し声は聞こえない。
気づかれていない様だ。
換気扇の隙間から覗くが人の気配は無い。手早くもう1枚のハンカチで換気扇の羽根を固定した。
「換気扇止めたよ」
「じゃ、作業かばんからファイバースコープを取り出して、カメラとヘッドマウントディスプレイにつないで装着してね」
作業かばんからファイバースコープとカメラを取り出して、接続する。さらにカメラの出力端子に、ヘッドマウントディスプレイに接続する。
このヘッドマウントディスプレイは薄型でかけていても周囲の様子がわかる。
ファイバースコープを慎重に換気扇の隙間に入れて中の様子を伺った。
所長の知り合いの内視鏡を作っているメーカーに特別に作ってもらったファイバーの先の向きが手元で操作できるすぐれものらしい。
内視鏡ほどの解像度はないが、640×400ぐらいの解像度はでる。
「準備ができたら、ファイバースコープの先端を換気扇の穴の隙間に入れて見てちょうだい」
言われたとおりにして見てみると、右奥の部屋の隅にテレビがあり、1人の下着姿の女性が横になっているのが見えた。
「あ、見えたよ、女の人が真ん中の部屋に下着姿で横になっているよ。向こう向きだから誰かわかんないけど。動きもないし、寝てるかも」
「了解。寝てそうでも油断は禁物よ。音を立てないように気をつけて。さっきのコンクリートマイクも壁に固定して聞いてみて」
コンクリートマイクをガムテープで固定するとまた、テレビの音が聞こえてきた。
どうやらこの部屋はリビング兼キッチンのような感じに使われているようだ。
右半分が絨毯の上に両方の部屋との間には扉があるが、入り口側の方は扉が開いている。
「入り口側の扉が開いていて、中がちょっとだけ見えるけど、誰かいるみたいで、床に影が動いているように見えるよ」
しばらく部屋の中を観察していた。
携帯の着信音が鳴った。一瞬自分かと思ってひやっとしたが、どうやら入り口側の部屋から聞こえてくる。
≪#9へ続く≫
この小説はフィクションであり、実在する国、団体や事象、法律など実在の世界にあるものとは、一切関係ありません。
バナー広告と小説の出てくる物品が似ている場合もありますが、それが同一のものであることを保障するものではありません。
問いかける俺に、首を振る江島さん。
「呼び出し音は鳴るけど、出ないのよ。今、手が離せないのかもしれないわ」
「どうするの?せっかく手がかりが見つかったのに」
という俺に対して、江島さんはにっこりと微笑みながら
「あら、ここに立派なエージェントがいるじゃない」
と、俺の肩を叩いた。
「え、俺?そんな無理だよ」
という俺を無視して、江島さんは
「えっと、港湾なら作業着のほうが目立たないから、紺の作業着一式ね。」
と、倉庫から変装セットを持ってきた。
「帽子も用意したから、太目のフレームのメガネで印象が変わるわ。」
「作業バッグに、道具一式入れといたから。使い方は後で説明するわね。」
「ほら、さっさと着替える。はい、ヘッドセットもして、ウエストポーチに携帯入れて忘れずに」
「え、でも」
とか言いながらも、なんとなく勢いに押されて着替え始める俺。
「じゃ、よろしくね」といって事務所を追い出された俺。
「どうするかなあ。現場なんて怖いしなあ。どっちかというとデスクワークのほうが」
と独り言を言う俺に、ヘッドセットから突込みが入る。
「こらこら、ぶつくさ言ってないでさっさと車でポーアイまで行って。向こうに到着するまでに作戦考えとくから。」
という江島さんの声にしぶしぶ車を走らせる俺であった。
「このブロックのはずだよな。」
倉庫のあるブロックの端で車を止めた。
カーナビの地図で現在位置を確認し、携帯の地図も確認する。
広い大きな倉庫と巨大なクレーン、広く空いた護岸へ通じる空き地が見える。
「そこから先は、車だと見つかるから、歩きでよろしく」と江島さんの声。
「了解」と俺も答える。
どうやらあたりに人気は無さそうだ。
「人影はなさそうだけど」
「じゃさっさと倉庫のほうに向かってね」
慎重に物陰をつたって倉庫あるほうに進んでいく。
「ありゃ、道路から倉庫まで広い駐車スペースで隠れるところがないよ」
「そう、じゃ、あんまりこそこそせずに、堂々と倉庫まで歩いてね」
背中が丸まっていた俺は、背筋を伸ばして、隠れる物陰がないのを気にしながらも怪しまれないように進む。
一番近くの倉庫に近づくと、大きなシャッターの隣に人が出入りするための扉を見つけた。
「北西の角に扉があるよ」
「扉に窓はある?」
「ああ、あるけど」
「じゃ、扉の窓の中から見られないように近くまで進んで、窓の中を鏡を使って確認してね」
江島さんの用意してくれた作業バッグの中に100均で売ってそうな折りたたみの手鏡がある。
「ふーん」
と思いながら、扉の正面を大きく迂回して扉に近づいた。
折りたたみの手鏡を開いて、扉の窓に近づけ、中の様子を探ってみる。
「うん、誰もいないみたいだ」
「そう。念のため、自分お目でも確認してね」
窓の端からそっと確認してみる俺。
「誰もいないみたいだ。何もなくてがらーんとしている」
「じゃ、扉開けてみて。音がしないように気をつけてね」
そっと扉を開けてみる。鍵はかかっていなかった。
「中に入ったよ。倉庫の中はいくつかのブロックに区切られているみたい」
手前のブロックには何もなくフォークリフトで運ぶのに使う木の土台がいくつか積み上がられているだけだ。
「あれ?おかしいな」
「どうしたの?」
「いや、何か人がいる場所があるかと思ったけど、何もないから変だなって」
と何もないことを不振に思いながら、次のブロックに行く。
次のブロックもそこも荷物はほとんどない。
よく見るとこのブロックの奥の壁に何かある。
倉庫の壁にプレハブの小屋のようなものが立っているようだ。
建物の内側に茶色くくすんだ同系色の小屋だからか、すぐには気が付かなかった。
「これか?」
「何か見つけたの?」
と問いかける江島さんに小声で
「プレハブの小屋が倉庫の中にあるのを見つけたんだ」
「あら、目いっぱい怪しいわね。きっとそれよ。まずはプレハブの状況を教えて」
俺は慎重に小屋の方に移動しながら話を続けた。
「倉庫の内側に茶色のプレハブ小屋がたぶん、3棟横に連結された形であるよ。倉庫の向こう側の壁とプレハブの壁はくっついているみたいだ。」
足音が妙に反響して誰かに聞かれないか気になる。
あれ?妙だ
「窓があったみたいだけど、そこが鉄板でふさがれてるみたい。ボルトで固定されてるよ」
「軟禁目的でふさがれたのかもね。プレハブの中から見られないか注意してぐるっと周囲を見てもらえる?入り口とか、窓とか開いている部分を確認してちょうだい」
「了解」
江島さんの指示に従って、プレハブの周囲をぐるっと回ってみる。
どの窓も塞がっているようだ。
イナバ物置 ドマール FX-80HDL-2 土間タイプ 一般型 2連棟 ちょっと違うが、倉庫の中に、 プレハブ住宅があるイメージです。 | 【重機ラジコン】超小型リアルフォークリフト■新品 自動車 倉庫にはフォークリフトが つきものです。 |
プレハブの向こう側の壁は倉庫の壁に接している。
「倉庫の外に出ないと1周できないけどどうする?」
「プレハブの近くに倉庫の扉はあるかしら?」
「ああ、ちょうど倉庫の右側にあるよ」
「じゃ、扉の向こうに気をつけて、倉庫の外側も見てきて頂戴」
「了解」
ここの扉も鍵がかかっていなかった。
扉を開けて倉庫の外側に出る。
「ああ、プレハブと接している部分の倉庫の窓枠がはずれてるよ。そこだけプレハブの外壁が外に出てる。そ換気扇とガスの給湯器がついるよ」
「じゃあ、やっぱり怪しいわね」
「そのすぐ下にはエアコンの室外機も置いてあるよ。ということはお風呂かシャワーもあって、それなりに生活できるってことか」
「そうみたいね」
「どうやら、入り口は、倉庫の内側、左側のプレハブの1カ所のみみたいだよ。」
「じゃ、先ずは中の様子をコンクリートマイクを使って調べてみて。作業バッグにコンクリートマイクとヘッドセットが入っているはずよ」
「了解」
俺は、作業バッグからコンクリートマイクを取り出すと、倉庫の外側からプレハブの壁がむき出しになった部分にコンクリートマイクを当ててみる。そこから伸びたヘッドセットを携帯のヘッドセットとは反対側の耳に架ける。
「あ、テレビテレビの音が聞こえる。他に人の話し声とかは聞こえないよ」
しばらく聞いていたが、変化はなさそうだ。
「変化なさそうだねえ」
と俺が言うと、江島さんは
「じゃ中を覗いてみましょう。換気扇の穴から中が覗けるはずよ」
「え、ちょっと換気扇の穴は高すぎるよ」
「何かそこら辺に足場になりそうなものはないの?」
「フォークリフトの木製パレットがあるから高さだけなら問題なけど、覗くのは難しくない?」
という俺に江島さんは、
「作業バッグにファイバースコープも入れているから大丈夫って。さっさと足場を作ってね。目安は、足場の上に座って、換気扇の穴が目の前に来るぐらいまで積んでね」
「え、結構な高さまでつむんだな」
と俺はしぶしぶ周辺の木製パレットを移動して換気扇の下に積み上げていく。
1.5mほど積み上げて、パレットに座った状態で換気扇に届く高さになった。
「パレットを積み上げたよ。上に座って、換気扇の穴が目の前にある。穴は覗けるけど、この角度だと、天井しか見えないよ。どうしたらいいの?」
という俺に対して、江島さんは
「じゃ、指にハンカチを巻いて、一気に換気扇の羽根を止めて、ハンカチで固定してちょうだい」
「うわー痛そう」
という俺に、江島さんは、
「一気に止めればそれほど痛くないは、覚悟を決めて、一気にね」
まったく、人事だと思って。
俺は、作業かばんの中からハンカチを2枚取り出し、1枚を指に巻いて換気扇の羽根を一気に止める。急に風切音が消えた。
静かになった周囲には、エアコンの運転音とテレビの声が聞こえている。話し声は聞こえない。
気づかれていない様だ。
換気扇の隙間から覗くが人の気配は無い。手早くもう1枚のハンカチで換気扇の羽根を固定した。
「換気扇止めたよ」
「じゃ、作業かばんからファイバースコープを取り出して、カメラとヘッドマウントディスプレイにつないで装着してね」
作業かばんからファイバースコープとカメラを取り出して、接続する。さらにカメラの出力端子に、ヘッドマウントディスプレイに接続する。
このヘッドマウントディスプレイは薄型でかけていても周囲の様子がわかる。
ファイバースコープを慎重に換気扇の隙間に入れて中の様子を伺った。
所長の知り合いの内視鏡を作っているメーカーに特別に作ってもらったファイバーの先の向きが手元で操作できるすぐれものらしい。
内視鏡ほどの解像度はないが、640×400ぐらいの解像度はでる。
「準備ができたら、ファイバースコープの先端を換気扇の穴の隙間に入れて見てちょうだい」
言われたとおりにして見てみると、右奥の部屋の隅にテレビがあり、1人の下着姿の女性が横になっているのが見えた。
「あ、見えたよ、女の人が真ん中の部屋に下着姿で横になっているよ。向こう向きだから誰かわかんないけど。動きもないし、寝てるかも」
「了解。寝てそうでも油断は禁物よ。音を立てないように気をつけて。さっきのコンクリートマイクも壁に固定して聞いてみて」
コンクリートマイクをガムテープで固定するとまた、テレビの音が聞こえてきた。
どうやらこの部屋はリビング兼キッチンのような感じに使われているようだ。
右半分が絨毯の上に両方の部屋との間には扉があるが、入り口側の方は扉が開いている。
「入り口側の扉が開いていて、中がちょっとだけ見えるけど、誰かいるみたいで、床に影が動いているように見えるよ」
しばらく部屋の中を観察していた。
携帯の着信音が鳴った。一瞬自分かと思ってひやっとしたが、どうやら入り口側の部屋から聞こえてくる。
フジミ Dup-35 1/32 パレット プラモデル(U9574) 滝沢のおっちゃんは、こいつ(フォークリフトのパレット)をがんばって積み上げました。 |
≪#9へ続く≫
この小説はフィクションであり、実在する国、団体や事象、法律など実在の世界にあるものとは、一切関係ありません。
バナー広告と小説の出てくる物品が似ている場合もありますが、それが同一のものであることを保障するものではありません。
2009年11月13日金曜日
第2話「家出少女救出作戦」#7
この1週間2週間分のメールの受信履歴を見るが見つからない。DMが多すぎる。見逃したかもしれない。
じゃあ、検索してみようと、「出航」で検索するが、該当なし。
「出航」だから、、、船だとして、どこの埠頭から出航するのか知りたいから、「埠頭」で検索してみる。
ビンゴ!!
1週間前に来たメールに含まれていた。タイトルが英文だったのでDMと勘違いして見逃していた。
来週火曜日に第7埠頭に接岸する。
出発は再来週の金曜日の予定だ。
貨物の準備を木曜日中に頼む。
といった簡素な文面だ。
「江島さん、やつら、船を使って何かを運ぶようですね。今週の火曜日に着いた船に何かを載せて、来週の金曜日に出航する予定みたいです。」
「どこの港か判らない?」
「このメールだけでは判んないですね。第7埠頭とだけは判りましたけど。でも、スケジュールにポーアイ倉庫ってあったから、神戸じゃないかな?」
「ありがとう。それだけあれば、判るかもしれない。」
江島さんは港湾事務局に問い合わせて、該当する港は神戸ポートアイランド、船籍は中国、船名「天祥108」で、来週金曜日21:00出航で次の入港先は香港であることが判った。急いで、所長に連絡を入れて調べたことを伝えた。
「江島くん、順平くん、こりゃ大事になってきたな。人身売買かも知れない。警察を動かすにはもう少し証拠が欲しいな。外国船内は捜索が難しいんだ。船に入られる前に何とか押さえたい。」
「江島くん、大沢探偵事務所に連絡して応援を頼んでくれ。第七埠頭の船の監視だ、携帯ヘッドセットを渡して常時通信状態で、船の出入りと状況を漏れなく報告するように依頼してくれ。」
「順平くんにも、もう少し調べてもらってくれ、例の「ポーアイ倉庫」について何か手掛かりがないか?」
「判りました所長。順平君に伝えます。大沢探偵事務所に連絡して、準備が整ったらまた連絡します」
絵島さんは、電話を切り
「順平くん、所長から、もっと例のポーアイ倉庫について調べてって」
「ああ、了解。もう調べ始めてるよ」
もとより「ポーアイ倉庫」は調べるつもりであった。
また、メールを「ポーアイ倉庫」で検索してみる。「ポーアイ倉庫」そのものではヒットはないが「ポートアイランド」「倉庫」で何件かのメールがヒットした。
一番古いメールに詳細情報があった。
ポートアイランドの丸山物産の倉庫の一部を借りることができた。
住所は、港島南町4-○-101だ。空港島に渡る橋の手前を左折し、突きあたりのブロックだ。
元々倉庫の作業員用の宿泊施設で台所、シャワーなどもついているのでそのまま使える。
入口は1箇所だから、窓を潰して空調を入れれば良い。今週中に作業を終えること。
「江島さん、倉庫見つけたよ。港島南町4-○-101南鱈物産の倉庫の一部だって」
「了解。確認して所長に連絡するわ」
「あら、南鱈物産って2年前に倒産してるわね。今は債権者団体の所有物ね。債権者の筆頭は丸肥銀行よ」
「ということは、事実上だれにも使われていない放置状態ってことか。それをやつらが見つけて無断で使ってるって訳か。」
「そうみたいね。あら?所長?携帯に出てくれないわね」
≪#8へ続く≫
この小説はフィクションであり、実在する国、団体や事象、法律など実在の世界にあるものとは、一切関係ありません。
バナー広告と小説の出てくる物品が似ている場合もありますが、それが同一のものであることを保障するものではありません。
じゃあ、検索してみようと、「出航」で検索するが、該当なし。
「出航」だから、、、船だとして、どこの埠頭から出航するのか知りたいから、「埠頭」で検索してみる。
ビンゴ!!
1週間前に来たメールに含まれていた。タイトルが英文だったのでDMと勘違いして見逃していた。
来週火曜日に第7埠頭に接岸する。
出発は再来週の金曜日の予定だ。
貨物の準備を木曜日中に頼む。
といった簡素な文面だ。
「江島さん、やつら、船を使って何かを運ぶようですね。今週の火曜日に着いた船に何かを載せて、来週の金曜日に出航する予定みたいです。」
「どこの港か判らない?」
「このメールだけでは判んないですね。第7埠頭とだけは判りましたけど。でも、スケジュールにポーアイ倉庫ってあったから、神戸じゃないかな?」
「ありがとう。それだけあれば、判るかもしれない。」
江島さんは港湾事務局に問い合わせて、該当する港は神戸ポートアイランド、船籍は中国、船名「天祥108」で、来週金曜日21:00出航で次の入港先は香港であることが判った。急いで、所長に連絡を入れて調べたことを伝えた。
香港の夜景は綺麗ですねえ。 | これがうわさの香港製iphone。 DocomoのSIMで動くとの噂が!! |
「江島くん、順平くん、こりゃ大事になってきたな。人身売買かも知れない。警察を動かすにはもう少し証拠が欲しいな。外国船内は捜索が難しいんだ。船に入られる前に何とか押さえたい。」
「江島くん、大沢探偵事務所に連絡して応援を頼んでくれ。第七埠頭の船の監視だ、携帯ヘッドセットを渡して常時通信状態で、船の出入りと状況を漏れなく報告するように依頼してくれ。」
「順平くんにも、もう少し調べてもらってくれ、例の「ポーアイ倉庫」について何か手掛かりがないか?」
「判りました所長。順平君に伝えます。大沢探偵事務所に連絡して、準備が整ったらまた連絡します」
絵島さんは、電話を切り
「順平くん、所長から、もっと例のポーアイ倉庫について調べてって」
「ああ、了解。もう調べ始めてるよ」
もとより「ポーアイ倉庫」は調べるつもりであった。
また、メールを「ポーアイ倉庫」で検索してみる。「ポーアイ倉庫」そのものではヒットはないが「ポートアイランド」「倉庫」で何件かのメールがヒットした。
一番古いメールに詳細情報があった。
ポートアイランドの丸山物産の倉庫の一部を借りることができた。
住所は、港島南町4-○-101だ。空港島に渡る橋の手前を左折し、突きあたりのブロックだ。
元々倉庫の作業員用の宿泊施設で台所、シャワーなどもついているのでそのまま使える。
入口は1箇所だから、窓を潰して空調を入れれば良い。今週中に作業を終えること。
「江島さん、倉庫見つけたよ。港島南町4-○-101南鱈物産の倉庫の一部だって」
「了解。確認して所長に連絡するわ」
「あら、南鱈物産って2年前に倒産してるわね。今は債権者団体の所有物ね。債権者の筆頭は丸肥銀行よ」
「ということは、事実上だれにも使われていない放置状態ってことか。それをやつらが見つけて無断で使ってるって訳か。」
「そうみたいね。あら?所長?携帯に出てくれないわね」
ポーアイには、IKEAがあります。 広いですよ。 | 建築設計資料 77 工場・倉庫 2 [本] 港の倉庫はあまりにも大きい。 |
≪#8へ続く≫
この小説はフィクションであり、実在する国、団体や事象、法律など実在の世界にあるものとは、一切関係ありません。
バナー広告と小説の出てくる物品が似ている場合もありますが、それが同一のものであることを保障するものではありません。
2009年11月10日火曜日
第2話「家出少女救出作戦」#6
10分後、もうすぐ事務所に着く手前で所長から連絡が入った。
「俺だ。」
「さっき高速神戸に着いた。地下をJR神戸駅方面に歩いている。電車の中で、携帯に何か熱心に入力していたから、多分アンケートに入力してたんだろう。あ、今携帯をしまった。送るのならば、もう送ったはずだ」
「了解です。もうすぐ事務所に戻るんで、確認します。江島さんも早く帰って着替えたいそうですよ。」
「そうか。でも江島くんのキャンギャル姿、もう少し見ていたいなあ」
隣で聞こえていたのか絵島さんがおれの携帯をひったくる。
「所長、何いってんのよ。こんなかっこじゃ仕事になんないでしょ。」
「かっこなんかより、業務が優先だ!順平くんのフォローを頼むぞ」
「所長!!着替えさせてよ!もう。」
「おっと、見失うところだ。いったん電話切るよ。」
そうこうしていると、ワゴン車は事務所についた。急いで事務所にはいったら、奴からの登録を確認だ。
昨日作ったWebサイトに先ほど送った返信メールで誘導しているはず。
奴はアンケートページに入力し、そこに会員IDとして「PCのメールアドレス」と「パスワード」を入力しているはずだ。その登録内容は用意した別のWebメールへ送られているはずだ。
祈るような気持ちで、ノートPCを立ち上げ、Webメールにアクセスする。静かな事務所にハードディスクのかすかなアクセス音が響く。
「ねえ、どう?」
「もう少し、今Webメールにログインするとこ。」
もどかしく、パスワードを入力すると、受信箱に新着メールが来ていることを表すアイコンが付いていた。
「あった、あった!!」
「登録のお知らせ」というタイトルのメールをクリックすると登録した内容が表示された。
「こいつ案外、マメだね。」
見ると、登録箇所は、しっかりと入力されている。「その他ご意見・ご要望」の欄もしっかり埋められている。
よほど几帳面なのか、元々懸賞マニアなのか。こういうアンケートを作る企業にとっては優秀と思われる答えが書かれている。
その中で注目するのは、メールアドレスとパスワード。
「よし、有名なWebメールのメールアドレスだ。これなら使えるぞ。パスワードもしっかり入ってる。」
「でも、そのパスワードってそのメールアドレス用じゃないでしょ。」
ま、たしかにそのとおりだ。ただ、たくさんのパスワードを覚えるのは誰でも苦手なはず。
まず、このメールアドレスを見ると有名な検索サイトのWebメールサービスで発行されたものとわかる。つまり、このメールアドレスのパスワードが判れば、その検索サイトが持っているその他のサービスにもログインできる可能性があるということだ。
今、奴をだまして入力させた会員登録情報に奴のメールアドレスと、このサービスで使用するパスワードを入力させた。
世の中の6割から7割の人がパスワードを使い回ししている現状がある。つまり、今入力したパスワードが、このメールアドレスのパスワードと一致している可能性があるということだ。
検索サイトのWebメールサービスのページを開き、IDとして奴のメールアドレスを入れる。そして会員登録で使用したパスワードを入力してやる。案の定ログインできた。
「まあ、普通こんなもんだよな」
驚きもしなかった。なぜなら、実際、順平自身も何かの会員登録でWebメールで使用しているパスワードと同じものを入力した経験がある。
パスワードは個別に管理しないと、やっぱり、それってヤバいなと、改めて思った。
メールが見れるのは判った。
他に何が見れるか確認してみた。
ドキュメントは使用していないみたいだ。
カレンダに登録がある。一昨日、にポーアイ倉庫?来週の土曜日に出航?何だ?
「江島さん。奴のスケジュールが覗けたんだけど、一昨日に「ポーアイ倉庫」と来週の金曜日に「出航」って予定が入っている。」
「何かしら?所長に連絡入れるわ。」
「よろしく。こっちももう少し探してみる。」
今度は、メールを調べてみる。
未読のものはダイレクトメールばかりだから無視するとして、他に何か手掛かりになりそうなメールはないかな?
≪#7へ続く≫
この小説はフィクションであり、実在する国、団体や事象、法律など実在の世界にあるものとは、一切関係ありません。
バナー広告と小説の出てくる物品が似ている場合もありますが、それが同一のものであることを保障するものではありません。
「俺だ。」
「さっき高速神戸に着いた。地下をJR神戸駅方面に歩いている。電車の中で、携帯に何か熱心に入力していたから、多分アンケートに入力してたんだろう。あ、今携帯をしまった。送るのならば、もう送ったはずだ」
「了解です。もうすぐ事務所に戻るんで、確認します。江島さんも早く帰って着替えたいそうですよ。」
「そうか。でも江島くんのキャンギャル姿、もう少し見ていたいなあ」
隣で聞こえていたのか絵島さんがおれの携帯をひったくる。
「所長、何いってんのよ。こんなかっこじゃ仕事になんないでしょ。」
「かっこなんかより、業務が優先だ!順平くんのフォローを頼むぞ」
「所長!!着替えさせてよ!もう。」
「おっと、見失うところだ。いったん電話切るよ。」
そうこうしていると、ワゴン車は事務所についた。急いで事務所にはいったら、奴からの登録を確認だ。
昨日作ったWebサイトに先ほど送った返信メールで誘導しているはず。
奴はアンケートページに入力し、そこに会員IDとして「PCのメールアドレス」と「パスワード」を入力しているはずだ。その登録内容は用意した別のWebメールへ送られているはずだ。
祈るような気持ちで、ノートPCを立ち上げ、Webメールにアクセスする。静かな事務所にハードディスクのかすかなアクセス音が響く。
「ねえ、どう?」
「もう少し、今Webメールにログインするとこ。」
もどかしく、パスワードを入力すると、受信箱に新着メールが来ていることを表すアイコンが付いていた。
「あった、あった!!」
「登録のお知らせ」というタイトルのメールをクリックすると登録した内容が表示された。
「こいつ案外、マメだね。」
見ると、登録箇所は、しっかりと入力されている。「その他ご意見・ご要望」の欄もしっかり埋められている。
よほど几帳面なのか、元々懸賞マニアなのか。こういうアンケートを作る企業にとっては優秀と思われる答えが書かれている。
その中で注目するのは、メールアドレスとパスワード。
「よし、有名なWebメールのメールアドレスだ。これなら使えるぞ。パスワードもしっかり入ってる。」
「でも、そのパスワードってそのメールアドレス用じゃないでしょ。」
ま、たしかにそのとおりだ。ただ、たくさんのパスワードを覚えるのは誰でも苦手なはず。
まず、このメールアドレスを見ると有名な検索サイトのWebメールサービスで発行されたものとわかる。つまり、このメールアドレスのパスワードが判れば、その検索サイトが持っているその他のサービスにもログインできる可能性があるということだ。
今、奴をだまして入力させた会員登録情報に奴のメールアドレスと、このサービスで使用するパスワードを入力させた。
世の中の6割から7割の人がパスワードを使い回ししている現状がある。つまり、今入力したパスワードが、このメールアドレスのパスワードと一致している可能性があるということだ。
検索サイトのWebメールサービスのページを開き、IDとして奴のメールアドレスを入れる。そして会員登録で使用したパスワードを入力してやる。案の定ログインできた。
「まあ、普通こんなもんだよな」
驚きもしなかった。なぜなら、実際、順平自身も何かの会員登録でWebメールで使用しているパスワードと同じものを入力した経験がある。
パスワードは個別に管理しないと、やっぱり、それってヤバいなと、改めて思った。
メールが見れるのは判った。
他に何が見れるか確認してみた。
ドキュメントは使用していないみたいだ。
カレンダに登録がある。一昨日、にポーアイ倉庫?来週の土曜日に出航?何だ?
「江島さん。奴のスケジュールが覗けたんだけど、一昨日に「ポーアイ倉庫」と来週の金曜日に「出航」って予定が入っている。」
「何かしら?所長に連絡入れるわ。」
「よろしく。こっちももう少し探してみる。」
今度は、メールを調べてみる。
未読のものはダイレクトメールばかりだから無視するとして、他に何か手掛かりになりそうなメールはないかな?
■SLEEPWAY■電動RCスケール貨物船キット 1/50 10-ハッチ沿岸貿易船 【ラジコン ボート】 神戸港に入港している貨物船 | ジグソーパズル:950ピース:神戸港の夜景 神戸の夜景はきれですね |
≪#7へ続く≫
この小説はフィクションであり、実在する国、団体や事象、法律など実在の世界にあるものとは、一切関係ありません。
バナー広告と小説の出てくる物品が似ている場合もありますが、それが同一のものであることを保障するものではありません。
2009年11月6日金曜日
第2話「家出少女救出作戦」#5
「OK!うまく行ったね」
江島さんは、
「はあ、疲れた。もう今日だけだからねこんなかっこするの。」
と言いながらジャンパーを羽織った。眉間の皺が戻っている。
「えー、可愛いのにもったいない」
「何言ってるのよ。順平くんも所長と一緒ね。まったく男って」
その頃、ティッシュを受け取った高須は、
「なんか、すげえきれいな姉ちゃんだったな。用事がなけりゃ、絶対ナンパするんだけどな」
「そういえば、何の宣伝だ?缶コーヒーと、映画のコラボ企画か?おう、アンケートでもれなく1000円の商品券で、抽選で旅行券か。当ったら換金できそうだな。今月厳しいし、ちょっとまじめにやってみるかな?」
とポケットから携帯を取り出し、バーコードを読み込む。
メールアドレスが登録されていたので、指示通りに空メールを送った。
「俺だ」
所長からの連絡だ。
「今駅のホームだ。幸いまだティッシュは持っている。お、携帯を取り出した。」
「ティッシュの広告に携帯のカメラを向けている。多分アクセス行くぞ。」
「了解。返信の準備します」
俺は急いで、近くのコインパーキングにワゴン車を入れ、助手席の足下に隠した鞄からノートPCを取り出して立ち上げた。データアクセスカードでダイアルアップし、あらかじめ用意したWebメーラーにアクセスすると、案の定、メールが届いていた。
「あ、メール来てます。今返信しますね。」
急いで、あらかじめ用意したメールを返信した。
「今、返信しました。」
と返事すると、
「お、奴が携帯を取り出した。メールを受信したようだ。くそ、電車が来たぞ、しばらくは電波がとぎれる。一旦切るぞ。また電車を降りたら連絡する」
と言って電話が切れた。
高須は、携帯を開けてメールを確認した。
「お、返信が来たぞ、えーと、このリンクかな。あ、そうみたい。ティッシュのチラシと同じ感じのアンケートページが出た。」
「携帯の割に凝った画面だな。映画は金のかけ方が違うねえ。」
「ありゃ、電車がきたか。ま、ちょうどいいや電車で移動してる間に入力するか。」
高須は電車のシートに座ると、黙々と携帯電話のアンケートページに打ち込みを行った。
順平は、携帯を切ると、ワゴン車のエンジンをかけた。
今頃奴は俺が夕べ用意したキャンペーンサイトにアクセスしているはずだ。
今は、電車の中だから、アンケートに入力しているはずだ、実際にアクセスするのは、駅に着いてからだ。まだ時間があるから、コインパーキングを出て事務所に行った方が良さそうだ。
ノートPCをスリープして助手席に投げると、
「一旦事務所に戻るよ」
「ええ、早く着替えたいから、その方が良いわ」
「じゃさっさと帰ります。」
≪#6へ続く≫
この小説はフィクションであり、実在する国、団体や事象、法律など実在の世界にあるものとは、一切関係ありません。
バナー広告と小説の出てくる物品が似ている場合もありますが、それが同一のものであることを保障するものではありません。
江島さんは、
「はあ、疲れた。もう今日だけだからねこんなかっこするの。」
と言いながらジャンパーを羽織った。眉間の皺が戻っている。
「えー、可愛いのにもったいない」
「何言ってるのよ。順平くんも所長と一緒ね。まったく男って」
その頃、ティッシュを受け取った高須は、
「なんか、すげえきれいな姉ちゃんだったな。用事がなけりゃ、絶対ナンパするんだけどな」
「そういえば、何の宣伝だ?缶コーヒーと、映画のコラボ企画か?おう、アンケートでもれなく1000円の商品券で、抽選で旅行券か。当ったら換金できそうだな。今月厳しいし、ちょっとまじめにやってみるかな?」
とポケットから携帯を取り出し、バーコードを読み込む。
メールアドレスが登録されていたので、指示通りに空メールを送った。
今、一番ほしいギフトカードはiTunesのカードですね。 | お掃除が、ギフトカードであるんですねえ。 これもらったら、結構うれしいかも。 |
「俺だ」
所長からの連絡だ。
「今駅のホームだ。幸いまだティッシュは持っている。お、携帯を取り出した。」
「ティッシュの広告に携帯のカメラを向けている。多分アクセス行くぞ。」
「了解。返信の準備します」
俺は急いで、近くのコインパーキングにワゴン車を入れ、助手席の足下に隠した鞄からノートPCを取り出して立ち上げた。データアクセスカードでダイアルアップし、あらかじめ用意したWebメーラーにアクセスすると、案の定、メールが届いていた。
「あ、メール来てます。今返信しますね。」
急いで、あらかじめ用意したメールを返信した。
「今、返信しました。」
と返事すると、
「お、奴が携帯を取り出した。メールを受信したようだ。くそ、電車が来たぞ、しばらくは電波がとぎれる。一旦切るぞ。また電車を降りたら連絡する」
と言って電話が切れた。
高須は、携帯を開けてメールを確認した。
「お、返信が来たぞ、えーと、このリンクかな。あ、そうみたい。ティッシュのチラシと同じ感じのアンケートページが出た。」
「携帯の割に凝った画面だな。映画は金のかけ方が違うねえ。」
「ありゃ、電車がきたか。ま、ちょうどいいや電車で移動してる間に入力するか。」
高須は電車のシートに座ると、黙々と携帯電話のアンケートページに打ち込みを行った。
順平は、携帯を切ると、ワゴン車のエンジンをかけた。
今頃奴は俺が夕べ用意したキャンペーンサイトにアクセスしているはずだ。
今は、電車の中だから、アンケートに入力しているはずだ、実際にアクセスするのは、駅に着いてからだ。まだ時間があるから、コインパーキングを出て事務所に行った方が良さそうだ。
ノートPCをスリープして助手席に投げると、
「一旦事務所に戻るよ」
「ええ、早く着替えたいから、その方が良いわ」
「じゃさっさと帰ります。」
新開地ダウンタウン物語 Go to the down town [本] 新開地は神戸でもちょっと異色な感じのする街です。 | わいらの新開地 /林喜芳/著 [本] 昔の新開地は知らないけど、なんか懐かしい感じがする。 | 実践コインパーキング事業 事業の魅力、経営の実態と法的諸問題の解決 [本] 最近、空き地がのみなみコインパーキングになってますね。 儲かっているんですかね? |
≪#6へ続く≫
この小説はフィクションであり、実在する国、団体や事象、法律など実在の世界にあるものとは、一切関係ありません。
バナー広告と小説の出てくる物品が似ている場合もありますが、それが同一のものであることを保障するものではありません。
2009年11月3日火曜日
第2話「家出少女救出作戦」#4
しばし車での待機。隣には江島さん。緊張する。
「江島さん、やつの顔は覚えたかい?」
「ええ、ばっちりよ。所長から動画も見せてもらったから間違えないと思うわ。」
「そういえば、昨日はずいぶん機嫌が悪かったね。」
「そういう日もあるわよ」
「今日は普通そうで安心した。」
「そう?そうでもないわよ。こんなかっこしてるから、そっちに気になってるだけよ。さて、念のためメイクを再チェックと。」
隣でコンパクトを開けてチェックする江島さんを珍しそうに見ていた。
「順平くん、奴が動き出した。たぶん5分ぐらいでそっちに行くぞ。」
「了解。準備に入ります。」
「江島さん。聞いての通りだ。行くよ。」
江島さんは軽くうなずくと、ジャンパーと巻きスカートを取って、キャンギャルに戻った。
俺は段ボール箱、江島さんはティッシュの入った手提げ付きのカゴを持って、2番出口に向かった。
出口の脇に段ボール箱を置いて、ティッシュの入ったカゴを持ったキャンギャルがその横に立てば、どこから見てもティッシュ配りに見える。
「やつは、紺のポロシャツに濃い茶色の綿パンだ、靴は茶色の皮のスニーカー、手には茶色の手提げ鞄を持っている」
所長からの続報が入る。
「了解」
江島さんがスタンバイしてると物欲しそうな男たちが近づくが、俺がブロックして彼女には無視してもらう。
ちょっと移動しながらの方が逃げやすいかもと、江島さんに動くように指示すると男たちもつられて動く。それを俺がブロックしていく。ようやくあきらめたらしいが、新たな男が江島さんに群がってくる。またもやブロック。
たしかに、君たちの気持ちは良く判る。キャンギャル姿の江島さんはとっても可愛い。だが、仕事のじゃまだ!退いてくれ!
そうこうしてると所長から連絡。
「江島くん、もうすぐ駅だ、次の角を回ったら駅が見えるはずだ。角をまわるまで後10秒、5、4、3、2、1、回った。」
すると、今まで眉間に皺を寄せていた江島さんが、一転して天使のような笑顔に変わった。
「はい、ただいま、新製品のキャンペーンです。今すぐ、アンケートにお答えください。商品券をはじめとした素敵なプレゼントを実施中です。」
普段より1オクターブ高い、声優似の声に切り替わった。
「こいつ女優だな。」ぼそっと順平はつぶやいた。
俺は江島さんの背後に何気なく立って江島さん越しに奴の姿を探した。
紺のポロシャツが見えた。俺は視線をはずしながら、
「前方20mぐらいに紺のポロシャツが見える」
と江島さんに伝えた。
江島さんは、聞こえていないかのごとく、返事もせずに、ティッシュ配りに集中している。
「あと、10m」
あとは、江島さんに任せるだけだ。
江島さんは一瞬手を止めて、左手に赤いティッシュを持ち替えた。
他からティッシュを要求される手には右手のカゴをぶら下げた方の手を使って、
「はいどうぞ。アンケートお願いします」
器用にオレンジ色のティッシュを配っている。
紺のポロシャツを着た高須が近づいた時、満面の笑みを浮かべて、
「はい、携帯アンケートでもれなくプレゼントですよ。どうぞ」
と、高須は、顔を上げて江島さんの顔を見た。一瞬動きが止まり、江島さんを見つめて、ようやくティッシュを受け取った。
やった!思わず俺はガッツポーズ。
高須は、名残惜しげに、後ろを振り返りながら地下鉄の階段に消えていった。
所長がその後ろをついて行く。
1タイミングおいて、
「江島さん長居は無用だ。急いで撤収。」
引き返してくる可能性を考えるともう少し粘った方が良いが、長居すると最初の頃に配ったティッシュの2次元バーコードにアクセスした人からの苦情が来かねないので、早々に退散だ。
俺は段ボールを抱えると、江島さんの前を駆け出した。
ワゴン車に飛び込むと、エンジンをかけるやいなや急発進した。
≪#5へ続く≫
この小説はフィクションであり、実在する国、団体や事象、法律など実在の世界にあるものとは、一切関係ありません。
バナー広告と小説の出てくる物品が似ている場合もありますが、それが同一のものであることを保障するものではありません。
「江島さん、やつの顔は覚えたかい?」
「ええ、ばっちりよ。所長から動画も見せてもらったから間違えないと思うわ。」
「そういえば、昨日はずいぶん機嫌が悪かったね。」
「そういう日もあるわよ」
「今日は普通そうで安心した。」
「そう?そうでもないわよ。こんなかっこしてるから、そっちに気になってるだけよ。さて、念のためメイクを再チェックと。」
隣でコンパクトを開けてチェックする江島さんを珍しそうに見ていた。
「順平くん、奴が動き出した。たぶん5分ぐらいでそっちに行くぞ。」
「了解。準備に入ります。」
「江島さん。聞いての通りだ。行くよ。」
江島さんは軽くうなずくと、ジャンパーと巻きスカートを取って、キャンギャルに戻った。
俺は段ボール箱、江島さんはティッシュの入った手提げ付きのカゴを持って、2番出口に向かった。
出口の脇に段ボール箱を置いて、ティッシュの入ったカゴを持ったキャンギャルがその横に立てば、どこから見てもティッシュ配りに見える。
「やつは、紺のポロシャツに濃い茶色の綿パンだ、靴は茶色の皮のスニーカー、手には茶色の手提げ鞄を持っている」
トタンテレコスキッパーポロシャツ★メンズキレイめお兄系マスト! 奴の服装はこんな感じ | 吉田カバン ポーター/ヒート・トート(ヨコ型) こんな鞄を持っている |
所長からの続報が入る。
「了解」
江島さんがスタンバイしてると物欲しそうな男たちが近づくが、俺がブロックして彼女には無視してもらう。
ちょっと移動しながらの方が逃げやすいかもと、江島さんに動くように指示すると男たちもつられて動く。それを俺がブロックしていく。ようやくあきらめたらしいが、新たな男が江島さんに群がってくる。またもやブロック。
たしかに、君たちの気持ちは良く判る。キャンギャル姿の江島さんはとっても可愛い。だが、仕事のじゃまだ!退いてくれ!
そうこうしてると所長から連絡。
「江島くん、もうすぐ駅だ、次の角を回ったら駅が見えるはずだ。角をまわるまで後10秒、5、4、3、2、1、回った。」
すると、今まで眉間に皺を寄せていた江島さんが、一転して天使のような笑顔に変わった。
「はい、ただいま、新製品のキャンペーンです。今すぐ、アンケートにお答えください。商品券をはじめとした素敵なプレゼントを実施中です。」
普段より1オクターブ高い、声優似の声に切り替わった。
「こいつ女優だな。」ぼそっと順平はつぶやいた。
俺は江島さんの背後に何気なく立って江島さん越しに奴の姿を探した。
紺のポロシャツが見えた。俺は視線をはずしながら、
「前方20mぐらいに紺のポロシャツが見える」
と江島さんに伝えた。
江島さんは、聞こえていないかのごとく、返事もせずに、ティッシュ配りに集中している。
「あと、10m」
あとは、江島さんに任せるだけだ。
江島さんは一瞬手を止めて、左手に赤いティッシュを持ち替えた。
他からティッシュを要求される手には右手のカゴをぶら下げた方の手を使って、
「はいどうぞ。アンケートお願いします」
器用にオレンジ色のティッシュを配っている。
紺のポロシャツを着た高須が近づいた時、満面の笑みを浮かべて、
「はい、携帯アンケートでもれなくプレゼントですよ。どうぞ」
と、高須は、顔を上げて江島さんの顔を見た。一瞬動きが止まり、江島さんを見つめて、ようやくティッシュを受け取った。
やった!思わず俺はガッツポーズ。
高須は、名残惜しげに、後ろを振り返りながら地下鉄の階段に消えていった。
所長がその後ろをついて行く。
1タイミングおいて、
「江島さん長居は無用だ。急いで撤収。」
引き返してくる可能性を考えるともう少し粘った方が良いが、長居すると最初の頃に配ったティッシュの2次元バーコードにアクセスした人からの苦情が来かねないので、早々に退散だ。
俺は段ボールを抱えると、江島さんの前を駆け出した。
ワゴン車に飛び込むと、エンジンをかけるやいなや急発進した。
ステップワゴンって意外に大きい。 路上の長時間張り込みはこいつを使う。 ようやく慣れてきたよ。 |
≪#5へ続く≫
この小説はフィクションであり、実在する国、団体や事象、法律など実在の世界にあるものとは、一切関係ありません。
バナー広告と小説の出てくる物品が似ている場合もありますが、それが同一のものであることを保障するものではありません。
2009年10月30日金曜日
第2話「家出少女救出作戦」#3
「で、どうします?」
「彼女の足取りがつかめない分、その男を拉致してしゃべらせるのもリスクが高すぎるし、時間をかけていたらゆかりさんの命が危ないかもしれない。かといって警察を動かすほどの証拠もないし、手詰まり状態なんだよ。で、順平くんに良いアイディアないか聞こうと思って電話したんだ。」
「判りました。ちょっと考えてみます。」
「とりあえず、その男の情報が欲しいですね。」
「そうなんだ。今のところ判っているのは、名前、高須雄一と住所、後は写真による外観と、店員のうわさ話程度だ。年齢は30ぐらい。その他、なんでも良い。彼女につながるヤツの情報が欲しいんだ。」
「所長はずっと見張ってるんですか?」
「ああ、知り合いの探偵事務所に助っ人を頼んだんで、明日の早朝には見張りを交代するが、それまでは逃げられたら困るからずっと見張っているつもりだ。」
「所長。フィッシング詐欺の手口を利用した、いい方法を思いつきましたよ。とりあえず明日の朝、今から言うものを用意してください。」
電話で必要なものを伝えると、
「そんなもの使ってどうするんだ?」
「まあ、詳しいことは明日現物を見せながら説明しますよ。」
と、順平は、電話を切るとノートPCの電源を入れ、早速作業に取りかかった。
翌朝早朝に、事務所に行くと、所長と江島さんが待っていた。
「さあ、無地の段ボール箱1つとポケットティッシュ50個、手提げの付いたカゴ1つと、キャンペーンガール1名を用意したぞ」
「もう何で私が、キャンペーンガールなんですか?」
「まあまあ、江島くんこれも仕事のうちだよ」
そこには、スリーブレスで、ミニスカの江島さんが立っていた。ぴったりサイズで、ボディラインがはっきりと現れている。胸元も大きく開いていて、胸の谷間がよく見える。
「特別手当たっぷり頂きますからね。もう、こんな格好で、外歩かなくっちゃならないなんて。」
「ばっちりキャンペーンガールですね。完璧です。」

エナメルレースクイーン ブルー A0043BL
おお!!ちょっと見れない絵島さんのキャンギャル姿は、こんな感じ。
「じゃ、ポケットディッシュにこれ入れてください。」
といって、昨晩作った、ポケットティッシュに入れるのチラシを渡した。
「じゃ段取りを説明します。ターゲットとなる男は、新開地駅のすぐ近くに住んでいます。ネットカフェの店員の話では、昼過ぎから、ほぼ毎日神戸駅の周辺で女の子を物色しているらしいので、新開地の駅前、奴のマンションに一番近い2番出口で、待ちかまえます。そのタイミングは、やつを尾行する所長から指示ください。やつが駅の入り口が見える位置にきたタイミングです。江島さんは所長から指示が来たらティッシュを配りはじめてください。そのときにはこのオレンジ色がバックのティッシュを配ってください。そして奴が来たら、こちらの赤いティッシュを渡してください。赤いティッシュは3つしか用意してないので、他の人に取られないように、奴に渡そうとして不自然にならないように気をつけてください。所長はそのまま尾行を続けて、やつがティッシュの広告につられるか確認をお願いします。」
「なるほど、ティッシュの広告で奴を釣り上げるのか。良い作戦だな。」
所長は納得してくれた。納得してないのは江島さん。
「こんなかっこで外歩けないわ。新開地駅までは、上に着てても良いんでしょ?」と早速、ブルゾンと巻きスカートを着けていた。
「じゃ、俺は先に行って助っ人くんと交代してる。二人とも、ヘッドセットを今から着けといてくれよ。」
と言って所長は先に出かけた。
俺と江島さんは、ティッシュに広告を差し入れ、段ボールの中に、100均で買ったような手提げのついたカゴを入れた。
「しかしよく、そんなキャンペーンガールの衣装なんて持ってたね」
「私は、こんなの買いません。所長の趣味よ。こんなのを私に着せて喜んでるのよ。」
「え、そうなの?」
「まったく変態よね。もしかして順平くんもこんなのが良いの?」
「いやいや、いつもの江島さんも可愛いけど、キャンギャルの江島さんも趣があっていいですよ。」
「もう、おだてないでよ。さぁそろそろ行ってスタンバイする時間よ」
「了解です」
俺と江島さんは事務所のワゴン車に荷物を詰め込んで出発した。事務所から30分ほどだろう。
新開地駅の2番出口が見える位置にワゴン車を止め、所長に連絡をとった。
「順平です。今、新開地駅に着きました。そちらの状況はどうですか?」
「滝沢だ。まだやつは部屋にいる。リビングに人影が見えるからそろそろ出かけるかもな?」
「了解です。連絡を待ちます」
≪#4へ続く≫
この小説はフィクションであり、実在する国、団体や事象、法律など実在の世界にあるものとは、一切関係ありません。
バナー広告と小説の出てくる物品が似ている場合もありますが、それが同一のものであることを保障するものではありません。
「彼女の足取りがつかめない分、その男を拉致してしゃべらせるのもリスクが高すぎるし、時間をかけていたらゆかりさんの命が危ないかもしれない。かといって警察を動かすほどの証拠もないし、手詰まり状態なんだよ。で、順平くんに良いアイディアないか聞こうと思って電話したんだ。」
「判りました。ちょっと考えてみます。」
「とりあえず、その男の情報が欲しいですね。」
「そうなんだ。今のところ判っているのは、名前、高須雄一と住所、後は写真による外観と、店員のうわさ話程度だ。年齢は30ぐらい。その他、なんでも良い。彼女につながるヤツの情報が欲しいんだ。」
「所長はずっと見張ってるんですか?」
「ああ、知り合いの探偵事務所に助っ人を頼んだんで、明日の早朝には見張りを交代するが、それまでは逃げられたら困るからずっと見張っているつもりだ。」
「所長。フィッシング詐欺の手口を利用した、いい方法を思いつきましたよ。とりあえず明日の朝、今から言うものを用意してください。」
電話で必要なものを伝えると、
「そんなもの使ってどうするんだ?」
「まあ、詳しいことは明日現物を見せながら説明しますよ。」
と、順平は、電話を切るとノートPCの電源を入れ、早速作業に取りかかった。
最近は詐欺事件が多くなってきましたねえ。 皆さんもお気をつけください。 | 【MEN'S BIGI|メンズビギ】BEN THE RODEO TAILOR ゴートスキンブルゾン/93LJM721*LE#MB 所長の今日の装い。 張り込みはこんな服装。 |
翌朝早朝に、事務所に行くと、所長と江島さんが待っていた。
「さあ、無地の段ボール箱1つとポケットティッシュ50個、手提げの付いたカゴ1つと、キャンペーンガール1名を用意したぞ」
「もう何で私が、キャンペーンガールなんですか?」
「まあまあ、江島くんこれも仕事のうちだよ」
そこには、スリーブレスで、ミニスカの江島さんが立っていた。ぴったりサイズで、ボディラインがはっきりと現れている。胸元も大きく開いていて、胸の谷間がよく見える。
「特別手当たっぷり頂きますからね。もう、こんな格好で、外歩かなくっちゃならないなんて。」
「ばっちりキャンペーンガールですね。完璧です。」
エナメルレースクイーン ブルー A0043BL
おお!!ちょっと見れない絵島さんのキャンギャル姿は、こんな感じ。
「じゃ、ポケットディッシュにこれ入れてください。」
といって、昨晩作った、ポケットティッシュに入れるのチラシを渡した。
「じゃ段取りを説明します。ターゲットとなる男は、新開地駅のすぐ近くに住んでいます。ネットカフェの店員の話では、昼過ぎから、ほぼ毎日神戸駅の周辺で女の子を物色しているらしいので、新開地の駅前、奴のマンションに一番近い2番出口で、待ちかまえます。そのタイミングは、やつを尾行する所長から指示ください。やつが駅の入り口が見える位置にきたタイミングです。江島さんは所長から指示が来たらティッシュを配りはじめてください。そのときにはこのオレンジ色がバックのティッシュを配ってください。そして奴が来たら、こちらの赤いティッシュを渡してください。赤いティッシュは3つしか用意してないので、他の人に取られないように、奴に渡そうとして不自然にならないように気をつけてください。所長はそのまま尾行を続けて、やつがティッシュの広告につられるか確認をお願いします。」
「なるほど、ティッシュの広告で奴を釣り上げるのか。良い作戦だな。」
所長は納得してくれた。納得してないのは江島さん。
「こんなかっこで外歩けないわ。新開地駅までは、上に着てても良いんでしょ?」と早速、ブルゾンと巻きスカートを着けていた。
タイダイ&刺繍付 インド綿 ラップスカート 墨黒 アジアン エスニック 巻きスカート コットンスカート ロングスカート ああ!!せっかくのミニスカートが...。 | ドルマンSフード付ワッシャーブルゾン(フード付ドルマンジップブルゾン) 上に着ちゃったよ。 |
「じゃ、俺は先に行って助っ人くんと交代してる。二人とも、ヘッドセットを今から着けといてくれよ。」
と言って所長は先に出かけた。
俺と江島さんは、ティッシュに広告を差し入れ、段ボールの中に、100均で買ったような手提げのついたカゴを入れた。
「しかしよく、そんなキャンペーンガールの衣装なんて持ってたね」
「私は、こんなの買いません。所長の趣味よ。こんなのを私に着せて喜んでるのよ。」
「え、そうなの?」
「まったく変態よね。もしかして順平くんもこんなのが良いの?」
「いやいや、いつもの江島さんも可愛いけど、キャンギャルの江島さんも趣があっていいですよ。」
「もう、おだてないでよ。さぁそろそろ行ってスタンバイする時間よ」
「了解です」
俺と江島さんは事務所のワゴン車に荷物を詰め込んで出発した。事務所から30分ほどだろう。
新開地駅の2番出口が見える位置にワゴン車を止め、所長に連絡をとった。
「順平です。今、新開地駅に着きました。そちらの状況はどうですか?」
「滝沢だ。まだやつは部屋にいる。リビングに人影が見えるからそろそろ出かけるかもな?」
「了解です。連絡を待ちます」
より大きな地図で 順平マップ を表示 新開地駅周辺の地図(地図上の現実の場所、建物等とは一切関係ありません) |
≪#4へ続く≫
この小説はフィクションであり、実在する国、団体や事象、法律など実在の世界にあるものとは、一切関係ありません。
バナー広告と小説の出てくる物品が似ている場合もありますが、それが同一のものであることを保障するものではありません。
2009年10月27日火曜日
第2話「家出少女救出作戦」#2
じゃ早速ということでインターネットカフェのPCを立ち上げる。
まずはブラウザの履歴を見て見るかな?
どっか有名どころでも行っててくれればいいけど。
ん、大手ブログサイトの履歴が残っている。
ネットに繋いで、ブラウザを立ち上げてみると、ブラウザのブックマークにそのブログがある。
あれ?もしかして?と思いならそのブログにアクセスして、ログインIDのところで、ダブルクリックしてみる。案の定、いくつかのIDが一覧表示された。
一番上にyukananというIDがある。多分こいつだ。IDをクリックすると、ID入力エリアに「yukanan」が入り、パスワード入力エリアには「*********」が入った。
「ログイン」ボタンをクリックすると「ユカナンの秘密の小部屋」というタイトルが表示された
「よし、これでゆかりさんのブログに入れました。足取りが追えると思います。」
最後の書き込みは2日前、
『やっほーユカナンだよ。今神戸にきてるの。ハーバーランドの夜景がきれいで、ちょー感激』
『2日前に神戸にいたのは間違い無さそうだ。ハーバーランドだから、神戸駅周辺に居るかもね』
「やったな、流石順平くん。仕事が速いなあ。ありがとう。ここからは俺の領分らしいから、引き取るよ。また困ったら頼むな。で、この依頼が片づくまで、携帯をいつも持ち歩いて連絡とれるようにしておいてくれよ。」
「じゃ早速聞き込みに行ってくる。」
と言って出かけてしまった。
後には、俺と江島さんが残された。
「あの、江島さん。この前はどうも」
急にまじめモードになった江島さんが
「じゃ、コーヒー飲んだらさっさと帰ってね。私、所長のバックアップで忙しいから。」
と言う。
「じゃ、この依頼が片づいたら映画見に行かない?ハリー・ポッターの鑑賞券もらったんだ」
「この依頼は片づいてもいないし、映画も見ません」
「ええ、そんなあ」
「もう、所長に渡すための宿泊先リストをつくったり、事前アポをとったり、ブログを調べたりって忙しいの。じゃましないで」
そこまで言われたら、話が続けられない。
しぶしぶ黙ってコーヒーを飲んで「ごちそうさま」とだけ行って事務所を後にした。
ちぇ、江島さん何であんなに急に不機嫌になっただろ。
悩んだところでしょうがない。
帰って寝ることにした。
夜中に所長から電話がかかってきた。
「よかった。順平くん。明日も休みだろ。朝から事務所に来てくれないか?」
「とりあえず彼女の足取りは追えたんだが、当の本人が見つからなくてね。またちょっとお知恵拝借だ。」
「3日前の夜、例のブログを書いた日は神戸駅のすぐ近くにあるネットカフェに泊まったことは判った。だがその後の足取りがつかめない。店員の話では、どうやら男についていったらしいんだ。いま、その男の部屋をさぐりあてたところなんだが、どうやら他の女を連れ込んでいるみたいだ。この辺じゃ軟派で有名らしい。やつの周辺を洗っているが。どうしても彼女が見つからないんだ。」
「それから、もうひとつ困ったネタがあってね。関西方面でこの1ヶ月で30人近い失踪者が出ている。それも若い女性ばかりだ。関西の探偵仲間では、解決できない依頼として有名になっている。どうやら、それらのほとんどが神戸方面に集中して、そこで足取りが途絶えている。今回の依頼もその可能性が高い。と言うことは、組織犯罪である可能性が高くなってきている。つまり、相当やばいってことだ。」
「え、そうなの?」
と気楽に答える俺。
「ああ、単独で悪さしてるんだったら、俺の腕力で押さえつけて吐かせる事もできるんだが、こういう組織に属しているやつらは敏感でね。仲間と連絡がとれなくなったらとたんに地下に潜るんだ。全く探せなくなってしまう。今、奴らは警戒していない。俺たちが奴らを捜していることを奴らが知らないことが一番の有利なところだ。」
「そんなもんですか。」
俺はこの業界のよくわかっていないので、納得するしかなかった。
「普通なら、奴に気づかれないようにして、時間をかけて調査するんだが、今回はどうも時間が無さそうな気がする。なので、尾行しての情報収集はやるんだが、順平くんにも情報を集める手助けをして欲しいんだ。」
≪#3へ続く≫
この小説はフィクションであり、実在する国、団体や事象、法律など実在の世界にあるものとは、一切関係ありません。
バナー広告と小説の出てくる物品が似ている場合もありますが、それが同一のものであることを保障するものではありません。
まずはブラウザの履歴を見て見るかな?
どっか有名どころでも行っててくれればいいけど。
ん、大手ブログサイトの履歴が残っている。
ネットに繋いで、ブラウザを立ち上げてみると、ブラウザのブックマークにそのブログがある。
あれ?もしかして?と思いならそのブログにアクセスして、ログインIDのところで、ダブルクリックしてみる。案の定、いくつかのIDが一覧表示された。
一番上にyukananというIDがある。多分こいつだ。IDをクリックすると、ID入力エリアに「yukanan」が入り、パスワード入力エリアには「*********」が入った。
「ログイン」ボタンをクリックすると「ユカナンの秘密の小部屋」というタイトルが表示された
「よし、これでゆかりさんのブログに入れました。足取りが追えると思います。」
最後の書き込みは2日前、
『やっほーユカナンだよ。今神戸にきてるの。ハーバーランドの夜景がきれいで、ちょー感激』
『2日前に神戸にいたのは間違い無さそうだ。ハーバーランドだから、神戸駅周辺に居るかもね』
「やったな、流石順平くん。仕事が速いなあ。ありがとう。ここからは俺の領分らしいから、引き取るよ。また困ったら頼むな。で、この依頼が片づくまで、携帯をいつも持ち歩いて連絡とれるようにしておいてくれよ。」
「じゃ早速聞き込みに行ってくる。」
と言って出かけてしまった。
後には、俺と江島さんが残された。
「あの、江島さん。この前はどうも」
急にまじめモードになった江島さんが
「じゃ、コーヒー飲んだらさっさと帰ってね。私、所長のバックアップで忙しいから。」
と言う。
「じゃ、この依頼が片づいたら映画見に行かない?ハリー・ポッターの鑑賞券もらったんだ」
「この依頼は片づいてもいないし、映画も見ません」
「ええ、そんなあ」
「もう、所長に渡すための宿泊先リストをつくったり、事前アポをとったり、ブログを調べたりって忙しいの。じゃましないで」
そこまで言われたら、話が続けられない。
しぶしぶ黙ってコーヒーを飲んで「ごちそうさま」とだけ行って事務所を後にした。
神戸らしさを堪能ください。 | もう一度最初から見直しませんか? | すごい。全巻セット。何日で読みきれるかな? |
ちぇ、江島さん何であんなに急に不機嫌になっただろ。
悩んだところでしょうがない。
帰って寝ることにした。
夜中に所長から電話がかかってきた。
「よかった。順平くん。明日も休みだろ。朝から事務所に来てくれないか?」
「とりあえず彼女の足取りは追えたんだが、当の本人が見つからなくてね。またちょっとお知恵拝借だ。」
「3日前の夜、例のブログを書いた日は神戸駅のすぐ近くにあるネットカフェに泊まったことは判った。だがその後の足取りがつかめない。店員の話では、どうやら男についていったらしいんだ。いま、その男の部屋をさぐりあてたところなんだが、どうやら他の女を連れ込んでいるみたいだ。この辺じゃ軟派で有名らしい。やつの周辺を洗っているが。どうしても彼女が見つからないんだ。」
「それから、もうひとつ困ったネタがあってね。関西方面でこの1ヶ月で30人近い失踪者が出ている。それも若い女性ばかりだ。関西の探偵仲間では、解決できない依頼として有名になっている。どうやら、それらのほとんどが神戸方面に集中して、そこで足取りが途絶えている。今回の依頼もその可能性が高い。と言うことは、組織犯罪である可能性が高くなってきている。つまり、相当やばいってことだ。」
「え、そうなの?」
と気楽に答える俺。
「ああ、単独で悪さしてるんだったら、俺の腕力で押さえつけて吐かせる事もできるんだが、こういう組織に属しているやつらは敏感でね。仲間と連絡がとれなくなったらとたんに地下に潜るんだ。全く探せなくなってしまう。今、奴らは警戒していない。俺たちが奴らを捜していることを奴らが知らないことが一番の有利なところだ。」
「そんなもんですか。」
俺はこの業界のよくわかっていないので、納得するしかなかった。
「普通なら、奴に気づかれないようにして、時間をかけて調査するんだが、今回はどうも時間が無さそうな気がする。なので、尾行しての情報収集はやるんだが、順平くんにも情報を集める手助けをして欲しいんだ。」
いやん。科学しないで。 | ありましたね。失踪マニュアル |
≪#3へ続く≫
この小説はフィクションであり、実在する国、団体や事象、法律など実在の世界にあるものとは、一切関係ありません。
バナー広告と小説の出てくる物品が似ている場合もありますが、それが同一のものであることを保障するものではありません。
2009年10月23日金曜日
第2話「家出少女救出作戦」#1
日曜日の昼下がり、今日も暇を持て余している。
あの事件の後、もしかしたら、江島さんと上手くつき合えるんじゃないかと何度か誘ってはみたものの、軽くいなされている。
自分でも、この前の事件での江島さんの行動があったことが実際にあったことなのか自信が無くなるくらいだったが、さすがに怖くて面と向かって聞けないし、唯一の関係者である所長には、彼女との約束もあるし、相談することすらできない。
本当なら、休みの日には彼女を誘ってドライブにでも行きたいところだけれど、彼女はいつも「ごめん、その日は用事があって、また誘ってね。」という。最初は文字通り忙しいのかなとも思ったが、同じテンションで同じ答えが3回繰り返されると、さすがに避けられているなと思う。
しょうがない、今日は趣味のひとつである漫画に走る。古本屋で安彦良和さんの「ナムジ」を見つけたので、全巻を大人買い。「ガンダム」も良いが「ナムジ」も良い。
ファミレスで昼飯ついでに漫画本を持ち込んで、本を読み込む。ここのファミレスは、ドリンクバーにエスプレッソマシンでつくるカプチーノがあるので、好んで通っている。コーヒー好きの俺には本を読みながら何杯もカプチーノが飲めるのは非常に助かる。同僚の多くは、一人でファミレスにはいるのをいやがる人は多いが、俺にとっては、快適な空間だ。店員からすると、1人で昼ご飯とドリンクバーだけで粘られるいやな客だろうけど、それでも俺はお客だと無視する。
漫画もほぼ読み終わった夕方頃、
「よう、順平くん」
滝沢のオッサンだ。
「また今日も暇そうだね」
オッサンに言われたくない。
「実はまた仕事をお願いしたくってね。ここにきた方が早く会えるような気がしてね」
ギクッ。確かに、もう5時間もここで粘っている。
「ああ、そうですかあ」
「で、また後で事務所寄ってくれるかな?」
「どうせ、暇ですから、後でと言わず、今からでも行きますよ。」
と良いながら所長の後をついていった。
「こんにちは、順平くん元気ーっ」
江島さんが妙にハイテンションだ。
「ああ、元気。」
ちょっと気圧されてローテンション。
「江島くん、コーヒー頼むよ。」
「了解です。」
と立ち去った。妙に明るい江島さんの後ろ姿を目で追ってると、
「コホン、仕事の話いいかな?」
「こりゃ失礼。江島さんが気になって。いいですよ。」
「実は、今の依頼人からの仕事なんだが、家出娘を捜している。これが探している女の子の写真とプロフィールだ。」
と、所長はバインダを俺に手渡した。
「南条ゆかり、16歳、高校1年生、身長150cm、中学時代はテニス部だったが、高校に入ってからはもっぱら帰宅部だ。最近の趣味はブログだ」
次のページへめくりながら所長が続ける。
「高知の実家から家出したのが1ヶ月前、最後の連絡が2週間前に実家に届いた手紙だ。これを手がかりに両親が探しに来られ、手がかりが見つからないままうちに依頼があったという訳だ。」
所長は、封筒から葉書を取り出しながら、
「手紙の消印を頼りに調査をして、この3日前までインターネットカフェを渡り歩いているのが判った。ただ、その後の足取りがぱったり消えた。」
その周辺の地図を指し示す。
「そのインターネットカフェのオーナーに頼んで、その娘の使っていたPC借りてきたから、そこから足取りが追えないかなと思ってね。で、順平くんの出番って訳だ。」
「了解です。でも、この前は、本当に運が良かっただけですから、今回は何も分かんないかもしれませんよ」
「了解してるよ。でも、順平くんのことだからきっと最後には何とかしてくれるからなあ。頼りにしてるよ」
全く人の話を聞いていない。
「で、報酬なんだが、すまんが、まだどれくらい依頼者からもらえるか判らないんだ。特に違法な事をする必要もないし、とりあえず2万かな?後は依頼者との交渉次第ってことで勘弁してくれ。」
「報酬は任せますよ、どうせ暇だし」
「さすが、順平くん、ほれぼれするなあ。じゃ2万」
といって所長は俺に現金入りの封筒を渡した。
≪#2へ続く≫
この小説はフィクションであり、実在する国、団体や事象、法律など実在の世界にあるものとは、一切関係ありません。
バナー広告と小説の出てくる物品が似ている場合もありますが、それが同一のものであることを保障するものではありません。
あの事件の後、もしかしたら、江島さんと上手くつき合えるんじゃないかと何度か誘ってはみたものの、軽くいなされている。
自分でも、この前の事件での江島さんの行動があったことが実際にあったことなのか自信が無くなるくらいだったが、さすがに怖くて面と向かって聞けないし、唯一の関係者である所長には、彼女との約束もあるし、相談することすらできない。
本当なら、休みの日には彼女を誘ってドライブにでも行きたいところだけれど、彼女はいつも「ごめん、その日は用事があって、また誘ってね。」という。最初は文字通り忙しいのかなとも思ったが、同じテンションで同じ答えが3回繰り返されると、さすがに避けられているなと思う。
しょうがない、今日は趣味のひとつである漫画に走る。古本屋で安彦良和さんの「ナムジ」を見つけたので、全巻を大人買い。「ガンダム」も良いが「ナムジ」も良い。
ファミレスで昼飯ついでに漫画本を持ち込んで、本を読み込む。ここのファミレスは、ドリンクバーにエスプレッソマシンでつくるカプチーノがあるので、好んで通っている。コーヒー好きの俺には本を読みながら何杯もカプチーノが飲めるのは非常に助かる。同僚の多くは、一人でファミレスにはいるのをいやがる人は多いが、俺にとっては、快適な空間だ。店員からすると、1人で昼ご飯とドリンクバーだけで粘られるいやな客だろうけど、それでも俺はお客だと無視する。
安彦さん大好きです。 ガンダムも良いけどナムジもね。 | カプチーノが自宅で作れるのって、憧れです。 ちょっと高いけど、全自動なのでラック楽 |
漫画もほぼ読み終わった夕方頃、
「よう、順平くん」
滝沢のオッサンだ。
「また今日も暇そうだね」
オッサンに言われたくない。
「実はまた仕事をお願いしたくってね。ここにきた方が早く会えるような気がしてね」
ギクッ。確かに、もう5時間もここで粘っている。
「ああ、そうですかあ」
「で、また後で事務所寄ってくれるかな?」
「どうせ、暇ですから、後でと言わず、今からでも行きますよ。」
と良いながら所長の後をついていった。
「こんにちは、順平くん元気ーっ」
江島さんが妙にハイテンションだ。
「ああ、元気。」
ちょっと気圧されてローテンション。
「江島くん、コーヒー頼むよ。」
「了解です。」
と立ち去った。妙に明るい江島さんの後ろ姿を目で追ってると、
「コホン、仕事の話いいかな?」
「こりゃ失礼。江島さんが気になって。いいですよ。」
「実は、今の依頼人からの仕事なんだが、家出娘を捜している。これが探している女の子の写真とプロフィールだ。」
と、所長はバインダを俺に手渡した。
「南条ゆかり、16歳、高校1年生、身長150cm、中学時代はテニス部だったが、高校に入ってからはもっぱら帰宅部だ。最近の趣味はブログだ」
次のページへめくりながら所長が続ける。
「高知の実家から家出したのが1ヶ月前、最後の連絡が2週間前に実家に届いた手紙だ。これを手がかりに両親が探しに来られ、手がかりが見つからないままうちに依頼があったという訳だ。」
所長は、封筒から葉書を取り出しながら、
「手紙の消印を頼りに調査をして、この3日前までインターネットカフェを渡り歩いているのが判った。ただ、その後の足取りがぱったり消えた。」
その周辺の地図を指し示す。
「そのインターネットカフェのオーナーに頼んで、その娘の使っていたPC借りてきたから、そこから足取りが追えないかなと思ってね。で、順平くんの出番って訳だ。」
「了解です。でも、この前は、本当に運が良かっただけですから、今回は何も分かんないかもしれませんよ」
「了解してるよ。でも、順平くんのことだからきっと最後には何とかしてくれるからなあ。頼りにしてるよ」
全く人の話を聞いていない。
「で、報酬なんだが、すまんが、まだどれくらい依頼者からもらえるか判らないんだ。特に違法な事をする必要もないし、とりあえず2万かな?後は依頼者との交渉次第ってことで勘弁してくれ。」
「報酬は任せますよ、どうせ暇だし」
「さすが、順平くん、ほれぼれするなあ。じゃ2万」
といって所長は俺に現金入りの封筒を渡した。
危険ですねえ。 変なネットにつかまらないでね。 | これってドラマやってましたね。 ちょっとだけ見ました。 | こうはなりたくない。 明日はわが身? |
≪#2へ続く≫
この小説はフィクションであり、実在する国、団体や事象、法律など実在の世界にあるものとは、一切関係ありません。
バナー広告と小説の出てくる物品が似ている場合もありますが、それが同一のものであることを保障するものではありません。
2009年10月20日火曜日
第1話「探偵事務所の機密情報を奪還せよ」#12
「あれ?前、事務所にしてきてませんでしたっけ?」
「あれってね、所長からのプレゼントなの。で、プレゼントしてもらったその日になくしちゃってるの。なのに順平くんが知ってるってどういうこと?」
しまった。昨夜のビデオの印象が強かったせいか、てっきり、事務所でもしているのと勘違いしてた。
「あれ?ごめん。会社の女の子がしてるのと見間違えたのかな?」
俺を椅子に座らせると、その膝の上に乗り、顔を近づけながら言った。
「残念ねえ。あれって、オーダーメイドなの。たぶんルビーとエメラルドをデザインしたネックレスは日本にはないわ。その会社の女の子って、どうやって手に入れたのかしら?」
「そのネックレスをしていたのはどこの誰さん?所長に言って調べてきてもらいましょうか?」
うう、まずい。
「順平くん。事務所の機密情報見たわね?」
目が怖い。
「あたしと所長が映っているビデオ見たでしょう?」
さらに顔を近づけて、言う。
「ホテルの隠し撮りで映っている二人を見たわよね?」
やばい。ここまで言うってことは、もう確信してるなあ。何言っても聞かないだろうなあ。
と、ドアをノックして所長が声をかけてきた。
「江島くん、まだかかるかい?用事があるので、もう帰るけど良いかな?」
「すいません。所長。もうちょっとかかりそうなので、後は片づけておきます。お先にどうぞ。」
「そう?じゃ、あまりおそくならないように。後はよろしく。」
と言うと足音が遠ざかっていった。
「さあ、邪魔者はいなくなったからゆっくりと聞けるわね?」
「どうやって、手に入れたの?あの時、データをPCに取ってすぐに所長へPCを渡したはずよね。私と所長の二人が見ていたから間違いないはずだわ。」
しょうがない。観念して話すか。
「実は、USBメモリに自動バックアップを取っていて、帰る時にこっそりと抜いておいたんだ。」
と実物のSDカード入りのUSBカードアダプタを見せた。
「へえ。ちっちゃいわね。気がつかないはずだわ。まったく、いつの間にこんなの仕掛けたのかしら、油断も隙もないわね。」
「とりあえずこれは没収。データを消したら返すわ。他にコピーは?」
「うーん、自宅のPCにバックアップが」
「じゃ、これから一緒に行って、それも消しましょう?その前に、口止めよ。」
といって彼女は俺の唇を自分の唇でふさいだ。
「このことは、二人だけの秘密。所長にも内緒。ペンダント無くしたのも所長知らないんだから言っちゃダメよ。」
「あーあっ、順平くんのこと気に入ってたから、所長とのこと隠しておきたかったんだけどなあ」
「所長とは長いの?」
「え?ああ、所長とはビジネスよ、ビジネス。1年ぐらい前からかな?別に所長のことは好きでもなんでもないけどね。女の子が一人で暮らすのって大変なのよ。」
「ああ、そういうことか。」
「そう。順平くんには嫌われちゃったかな?」
「あ、そんなこと、俺、江島さんのこと大好きだし。」
「ありがとう。とっても嬉しい。」
にこっと微笑んだ顔がちょっと悲しそう。
「まあいいわ。とりあえずあなたの部屋にあるデータを消しに行きましょう?」
と唐突に立ち上がって、USBメモリを握りしめる江島さん。
「ああ、わかった。」
俺も立ち上がって、倉庫の鍵を開けた。
そして、二人は俺の部屋に行ってPCからデータを消した。
「ほんとにこれだけ?他にバックアップは取っていない?」
「他にデータ入れれそうなのないだろ。PCの中も見てくれよ。何ならフォーマットしなおしたってかまわないよ。」
「判ったわよ。信用するわ。」
「じゃ、いい?所長には絶対秘密だからね。ペンダントのことも順平くんがビデオを見たことも。」
「じゃ、も一回口止め」
といってちょっと長めにキスすると
「じゃまた事務所でね。」
と言って、部屋を出て行った。
なんだか嵐が過ぎ去ったみたいな感じだ。
実は、データバックアップはそこだけではない。海外の三か所の無料レンタルサーバに秘密分散法で分割して保存している。
それぞれのデータが漏えいしても何のことかわからないはずだ。
万一、1つのファイルが消失しても残りの2つで復元できるはず。
そしてその保存先を示したURLとID、パスワードは携帯電話のアドレス帳に架空の友人の名前でメモ欄に保存している。
江島さんはともかく、所長への切り札として持っていて損はないだろうから。
第一話 完
≪第2話へ続く≫
この小説はフィクションであり、実在する国、団体や事象、法律など実在の世界にあるものとは、一切関係ありません。
バナー広告と小説の出てくる物品が似ている場合もありますが、それが同一のものであることを保障するものではありません。
「あれってね、所長からのプレゼントなの。で、プレゼントしてもらったその日になくしちゃってるの。なのに順平くんが知ってるってどういうこと?」
しまった。昨夜のビデオの印象が強かったせいか、てっきり、事務所でもしているのと勘違いしてた。
「あれ?ごめん。会社の女の子がしてるのと見間違えたのかな?」
俺を椅子に座らせると、その膝の上に乗り、顔を近づけながら言った。
「残念ねえ。あれって、オーダーメイドなの。たぶんルビーとエメラルドをデザインしたネックレスは日本にはないわ。その会社の女の子って、どうやって手に入れたのかしら?」
「そのネックレスをしていたのはどこの誰さん?所長に言って調べてきてもらいましょうか?」
うう、まずい。
「順平くん。事務所の機密情報見たわね?」
目が怖い。
「あたしと所長が映っているビデオ見たでしょう?」
さらに顔を近づけて、言う。
「ホテルの隠し撮りで映っている二人を見たわよね?」
やばい。ここまで言うってことは、もう確信してるなあ。何言っても聞かないだろうなあ。
ホテルで隠し撮りされていないか これで確認!! | タイトルは、こうだが、現実は 不況で厳しいらしいよ。 |
と、ドアをノックして所長が声をかけてきた。
「江島くん、まだかかるかい?用事があるので、もう帰るけど良いかな?」
「すいません。所長。もうちょっとかかりそうなので、後は片づけておきます。お先にどうぞ。」
「そう?じゃ、あまりおそくならないように。後はよろしく。」
と言うと足音が遠ざかっていった。
「さあ、邪魔者はいなくなったからゆっくりと聞けるわね?」
「どうやって、手に入れたの?あの時、データをPCに取ってすぐに所長へPCを渡したはずよね。私と所長の二人が見ていたから間違いないはずだわ。」
しょうがない。観念して話すか。
「実は、USBメモリに自動バックアップを取っていて、帰る時にこっそりと抜いておいたんだ。」
と実物のSDカード入りのUSBカードアダプタを見せた。
「へえ。ちっちゃいわね。気がつかないはずだわ。まったく、いつの間にこんなの仕掛けたのかしら、油断も隙もないわね。」
「とりあえずこれは没収。データを消したら返すわ。他にコピーは?」
「うーん、自宅のPCにバックアップが」
「じゃ、これから一緒に行って、それも消しましょう?その前に、口止めよ。」
といって彼女は俺の唇を自分の唇でふさいだ。
「このことは、二人だけの秘密。所長にも内緒。ペンダント無くしたのも所長知らないんだから言っちゃダメよ。」
「あーあっ、順平くんのこと気に入ってたから、所長とのこと隠しておきたかったんだけどなあ」
「所長とは長いの?」
「え?ああ、所長とはビジネスよ、ビジネス。1年ぐらい前からかな?別に所長のことは好きでもなんでもないけどね。女の子が一人で暮らすのって大変なのよ。」
「ああ、そういうことか。」
「そう。順平くんには嫌われちゃったかな?」
「あ、そんなこと、俺、江島さんのこと大好きだし。」
「ありがとう。とっても嬉しい。」
にこっと微笑んだ顔がちょっと悲しそう。
「まあいいわ。とりあえずあなたの部屋にあるデータを消しに行きましょう?」
と唐突に立ち上がって、USBメモリを握りしめる江島さん。
「ああ、わかった。」
俺も立ち上がって、倉庫の鍵を開けた。
そして、二人は俺の部屋に行ってPCからデータを消した。
「ほんとにこれだけ?他にバックアップは取っていない?」
「他にデータ入れれそうなのないだろ。PCの中も見てくれよ。何ならフォーマットしなおしたってかまわないよ。」
「判ったわよ。信用するわ。」
「じゃ、いい?所長には絶対秘密だからね。ペンダントのことも順平くんがビデオを見たことも。」
「じゃ、も一回口止め」
といってちょっと長めにキスすると
「じゃまた事務所でね。」
と言って、部屋を出て行った。
なんだか嵐が過ぎ去ったみたいな感じだ。
実は、データバックアップはそこだけではない。海外の三か所の無料レンタルサーバに秘密分散法で分割して保存している。
それぞれのデータが漏えいしても何のことかわからないはずだ。
万一、1つのファイルが消失しても残りの2つで復元できるはず。
そしてその保存先を示したURLとID、パスワードは携帯電話のアドレス帳に架空の友人の名前でメモ欄に保存している。
江島さんはともかく、所長への切り札として持っていて損はないだろうから。
第一話 完
データの保存はS3を使いましょう。 要領制限、バックアップの必要もないはず。 | 秘密分散法これに載ってます。 |
≪第2話へ続く≫
この小説はフィクションであり、実在する国、団体や事象、法律など実在の世界にあるものとは、一切関係ありません。
バナー広告と小説の出てくる物品が似ている場合もありますが、それが同一のものであることを保障するものではありません。
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