2009年9月15日火曜日

第1話「探偵事務所の機密情報を奪還せよ」#3

結局1晩悩んだ。
トータルで50万は確かに魅力的だ。
だが、本当にネットから侵入できるか自信ないし、違法なことをすることにためらいもある。
だが、相手の方が不正を働いているということだから、事情を聞いてみて納得できれば手伝うと言うことでも良いかもしれない。
もっとも成功できる確証があればの話だが。

会社が終わってから、早速滝沢のオッサンに電話をしてみた。
「おう、今、例のマンションの偵察にきてるんだ。話があればこっちに来いよ。」
それほど遠くもないし、行ってみることにする。


より大きな地図で 順平マップ を表示
恐喝グループのマンションの地図(地図上の現実の場所、建物等とは一切関係ありません)

意外にきれいな、マンションだ。6階建てでエントランスも大きい。
エントランスで滝沢のオッサンに電話するとエントランスの入り口が開いた。
「603号室にいるから、チャイムを鳴らさずに勝手に入ってくれ、入ったら鍵締めてな。俺はリビングにいる」
ポストも名前のないところが多い、できたばかりで入居者が少ないのかな?
6階まであがる。結構大きなマンションなのに、ここまで誰にも出会っていない。ちょっと不気味。
603号室を見つけ、チャイムを鳴らさずに扉を開ける。確かに鍵がかかっていない。
素早く入ると鍵をかけた。ついでにチェーンも。
玄関をあがると左右に扉があるがたぶん寝室だろう、まっすぐリビング方向の扉を開ける。
何もないがらんとしたリビングに滝沢のオッサンが寝転がってモニタを見ている。
「よう、着たな。ちょうどやつらも帰ってきたところだ。見るか?夕べベランダ越しにカメラを設置した。音もとれれば良いけど流石にコンクリートマイクじゃこのマンションは無理みたいだ。」
「ところで、この部屋どうしたの?」
素朴な疑問を口にした。
「ああ、たまたま空いててな。知り合いの不動産屋に鍵借りたんだ。汚すなよ」
汚す心配なのはオッサンの方だろ。
「で、どうだ受けてくれる気になったか?」
「そのことだけど、もう少し事情を聞かせてくれない?下の奴ら不正を働いてるって行ったけど、どんな奴らなの?」
「下 の奴らは、どうやら詐欺グループだな。オレオレ詐欺やオークション詐欺のようなことを日常やっている。他にも恐喝のようなこともしていて、うちの依頼者も 恐喝のターゲットにされていて、その時の金銭の受け渡しで、後をつけてこの隠れ家がわかったんだ。5人グループで主に3人が多く出入りしている。主犯格が こいつだ」
といって、5人の写真を順番に見せてくれた。
バイク便から大量の封筒を受け取ったり、路上で学生から紙袋を受け取っている写真、コインロッカーから包みを取り出している写真などだ。
「銀行から金を引き出すなどの危ない仕事は絶対やらない。そういうことは、その日スカウトしたネットカフェ難民や子飼いの学生にやらせているようだ。」
「ふーん。今ある証拠を警察に出して捕まえさせることはできないの?」
「今ある証拠だけじゃ警察は動いてくれまい。なにより、うちの依頼者は警察沙汰になるのをいやがっているから、警察を使わずに、奴らの動きを止めなくちゃならん。」


会社の業績が悪化したら明日はわが身。
景気よくならんかなあ?


オレオレ詐欺ってすごいバリエーションで、騙されないって思っていてもやれるらしい。

≪#4へ続く≫
この小説はフィクションであり、実在する国、団体や事象、法律など実在の世界にあるものとは、一切関係ありません。
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