2009年10月30日金曜日

第2話「家出少女救出作戦」#3

「で、どうします?」
「彼女の足取りがつかめない分、その男を拉致してしゃべらせるのもリスクが高すぎるし、時間をかけていたらゆかりさんの命が危ないかもしれない。かといって警察を動かすほどの証拠もないし、手詰まり状態なんだよ。で、順平くんに良いアイディアないか聞こうと思って電話したんだ。」
「判りました。ちょっと考えてみます。」
「とりあえず、その男の情報が欲しいですね。」
「そうなんだ。今のところ判っているのは、名前、高須雄一と住所、後は写真による外観と、店員のうわさ話程度だ。年齢は30ぐらい。その他、なんでも良い。彼女につながるヤツの情報が欲しいんだ。」
「所長はずっと見張ってるんですか?」
「ああ、知り合いの探偵事務所に助っ人を頼んだんで、明日の早朝には見張りを交代するが、それまでは逃げられたら困るからずっと見張っているつもりだ。」

「所長。フィッシング詐欺の手口を利用した、いい方法を思いつきましたよ。とりあえず明日の朝、今から言うものを用意してください。」
電話で必要なものを伝えると、
「そんなもの使ってどうするんだ?」
「まあ、詳しいことは明日現物を見せながら説明しますよ。」
と、順平は、電話を切るとノートPCの電源を入れ、早速作業に取りかかった。


最近は詐欺事件が多くなってきましたねえ。
皆さんもお気をつけください。

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所長の今日の装い。
張り込みはこんな服装。


翌朝早朝に、事務所に行くと、所長と江島さんが待っていた。
「さあ、無地の段ボール箱1つとポケットティッシュ50個、手提げの付いたカゴ1つと、キャンペーンガール1名を用意したぞ」
「もう何で私が、キャンペーンガールなんですか?」
「まあまあ、江島くんこれも仕事のうちだよ」
そこには、スリーブレスで、ミニスカの江島さんが立っていた。ぴったりサイズで、ボディラインがはっきりと現れている。胸元も大きく開いていて、胸の谷間がよく見える。
「特別手当たっぷり頂きますからね。もう、こんな格好で、外歩かなくっちゃならないなんて。」
「ばっちりキャンペーンガールですね。完璧です。」

エナメルレースクイーン ブルー A0043BL

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おお!!ちょっと見れない絵島さんのキャンギャル姿は、こんな感じ。

「じゃ、ポケットディッシュにこれ入れてください。」
といって、昨晩作った、ポケットティッシュに入れるのチラシを渡した。
「じゃ段取りを説明します。ターゲットとなる男は、新開地駅のすぐ近くに住んでいます。ネットカフェの店員の話では、昼過ぎから、ほぼ毎日神戸駅の周辺で女の子を物色しているらしいので、新開地の駅前、奴のマンションに一番近い2番出口で、待ちかまえます。そのタイミングは、やつを尾行する所長から指示ください。やつが駅の入り口が見える位置にきたタイミングです。江島さんは所長から指示が来たらティッシュを配りはじめてください。そのときにはこのオレンジ色がバックのティッシュを配ってください。そして奴が来たら、こちらの赤いティッシュを渡してください。赤いティッシュは3つしか用意してないので、他の人に取られないように、奴に渡そうとして不自然にならないように気をつけてください。所長はそのまま尾行を続けて、やつがティッシュの広告につられるか確認をお願いします。」
「なるほど、ティッシュの広告で奴を釣り上げるのか。良い作戦だな。」
所長は納得してくれた。納得してないのは江島さん。
「こんなかっこで外歩けないわ。新開地駅までは、上に着てても良いんでしょ?」と早速、ブルゾンと巻きスカートを着けていた。


タイダイ&刺繍付 インド綿 ラップスカート 墨黒 アジアン エスニック 巻きスカート コットンスカート ロングスカート

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ああ!!せっかくのミニスカートが...。

ドルマンSフード付ワッシャーブルゾン(フード付ドルマンジップブルゾン)

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上に着ちゃったよ。

「じゃ、俺は先に行って助っ人くんと交代してる。二人とも、ヘッドセットを今から着けといてくれよ。」
と言って所長は先に出かけた。

俺と江島さんは、ティッシュに広告を差し入れ、段ボールの中に、100均で買ったような手提げのついたカゴを入れた。





「しかしよく、そんなキャンペーンガールの衣装なんて持ってたね」
「私は、こんなの買いません。所長の趣味よ。こんなのを私に着せて喜んでるのよ。」
「え、そうなの?」
「まったく変態よね。もしかして順平くんもこんなのが良いの?」
「いやいや、いつもの江島さんも可愛いけど、キャンギャルの江島さんも趣があっていいですよ。」
「もう、おだてないでよ。さぁそろそろ行ってスタンバイする時間よ」
「了解です」
俺と江島さんは事務所のワゴン車に荷物を詰め込んで出発した。事務所から30分ほどだろう。
新開地駅の2番出口が見える位置にワゴン車を止め、所長に連絡をとった。
「順平です。今、新開地駅に着きました。そちらの状況はどうですか?」
「滝沢だ。まだやつは部屋にいる。リビングに人影が見えるからそろそろ出かけるかもな?」
「了解です。連絡を待ちます」



より大きな地図で 順平マップ を表示
新開地駅周辺の地図(地図上の現実の場所、建物等とは一切関係ありません)




≪#4へ続く≫
この小説はフィクションであり、実在する国、団体や事象、法律など実在の世界にあるものとは、一切関係ありません。
バナー広告と小説の出てくる物品が似ている場合もありますが、それが同一のものであることを保障するものではありません。

2009年10月27日火曜日

第2話「家出少女救出作戦」#2

じゃ早速ということでインターネットカフェのPCを立ち上げる。

まずはブラウザの履歴を見て見るかな?
どっか有名どころでも行っててくれればいいけど。
ん、大手ブログサイトの履歴が残っている。
ネットに繋いで、ブラウザを立ち上げてみると、ブラウザのブックマークにそのブログがある。
あれ?もしかして?と思いならそのブログにアクセスして、ログインIDのところで、ダブルクリックしてみる。案の定、いくつかのIDが一覧表示された。
一番上にyukananというIDがある。多分こいつだ。IDをクリックすると、ID入力エリアに「yukanan」が入り、パスワード入力エリアには「*********」が入った。
「ログイン」ボタンをクリックすると「ユカナンの秘密の小部屋」というタイトルが表示された
「よし、これでゆかりさんのブログに入れました。足取りが追えると思います。」
最後の書き込みは2日前、
『やっほーユカナンだよ。今神戸にきてるの。ハーバーランドの夜景がきれいで、ちょー感激』
『2日前に神戸にいたのは間違い無さそうだ。ハーバーランドだから、神戸駅周辺に居るかもね』
「やったな、流石順平くん。仕事が速いなあ。ありがとう。ここからは俺の領分らしいから、引き取るよ。また困ったら頼むな。で、この依頼が片づくまで、携帯をいつも持ち歩いて連絡とれるようにしておいてくれよ。」
「じゃ早速聞き込みに行ってくる。」
と言って出かけてしまった。
後には、俺と江島さんが残された。
「あの、江島さん。この前はどうも」
急にまじめモードになった江島さんが
「じゃ、コーヒー飲んだらさっさと帰ってね。私、所長のバックアップで忙しいから。」
と言う。
「じゃ、この依頼が片づいたら映画見に行かない?ハリー・ポッターの鑑賞券もらったんだ」
「この依頼は片づいてもいないし、映画も見ません」
「ええ、そんなあ」
「もう、所長に渡すための宿泊先リストをつくったり、事前アポをとったり、ブログを調べたりって忙しいの。じゃましないで」
そこまで言われたら、話が続けられない。
しぶしぶ黙ってコーヒーを飲んで「ごちそうさま」とだけ行って事務所を後にした。


神戸らしさを堪能ください。


もう一度最初から見直しませんか?


すごい。全巻セット。何日で読みきれるかな?


ちぇ、江島さん何であんなに急に不機嫌になっただろ。
悩んだところでしょうがない。
帰って寝ることにした。

夜中に所長から電話がかかってきた。
「よかった。順平くん。明日も休みだろ。朝から事務所に来てくれないか?」
「とりあえず彼女の足取りは追えたんだが、当の本人が見つからなくてね。またちょっとお知恵拝借だ。」
「3日前の夜、例のブログを書いた日は神戸駅のすぐ近くにあるネットカフェに泊まったことは判った。だがその後の足取りがつかめない。店員の話では、どうやら男についていったらしいんだ。いま、その男の部屋をさぐりあてたところなんだが、どうやら他の女を連れ込んでいるみたいだ。この辺じゃ軟派で有名らしい。やつの周辺を洗っているが。どうしても彼女が見つからないんだ。」
「それから、もうひとつ困ったネタがあってね。関西方面でこの1ヶ月で30人近い失踪者が出ている。それも若い女性ばかりだ。関西の探偵仲間では、解決できない依頼として有名になっている。どうやら、それらのほとんどが神戸方面に集中して、そこで足取りが途絶えている。今回の依頼もその可能性が高い。と言うことは、組織犯罪である可能性が高くなってきている。つまり、相当やばいってことだ。」
「え、そうなの?」
と気楽に答える俺。
「ああ、単独で悪さしてるんだったら、俺の腕力で押さえつけて吐かせる事もできるんだが、こういう組織に属しているやつらは敏感でね。仲間と連絡がとれなくなったらとたんに地下に潜るんだ。全く探せなくなってしまう。今、奴らは警戒していない。俺たちが奴らを捜していることを奴らが知らないことが一番の有利なところだ。」
「そんなもんですか。」
俺はこの業界のよくわかっていないので、納得するしかなかった。
「普通なら、奴に気づかれないようにして、時間をかけて調査するんだが、今回はどうも時間が無さそうな気がする。なので、尾行しての情報収集はやるんだが、順平くんにも情報を集める手助けをして欲しいんだ。」



いやん。科学しないで。


ありましたね。失踪マニュアル


≪#3へ続く≫
この小説はフィクションであり、実在する国、団体や事象、法律など実在の世界にあるものとは、一切関係ありません。
バナー広告と小説の出てくる物品が似ている場合もありますが、それが同一のものであることを保障するものではありません。

2009年10月23日金曜日

第2話「家出少女救出作戦」#1

日曜日の昼下がり、今日も暇を持て余している。
あの事件の後、もしかしたら、江島さんと上手くつき合えるんじゃないかと何度か誘ってはみたものの、軽くいなされている。
自分でも、この前の事件での江島さんの行動があったことが実際にあったことなのか自信が無くなるくらいだったが、さすがに怖くて面と向かって聞けないし、唯一の関係者である所長には、彼女との約束もあるし、相談することすらできない。
本当なら、休みの日には彼女を誘ってドライブにでも行きたいところだけれど、彼女はいつも「ごめん、その日は用事があって、また誘ってね。」という。最初は文字通り忙しいのかなとも思ったが、同じテンションで同じ答えが3回繰り返されると、さすがに避けられているなと思う。
しょうがない、今日は趣味のひとつである漫画に走る。古本屋で安彦良和さんの「ナムジ」を見つけたので、全巻を大人買い。「ガンダム」も良いが「ナムジ」も良い。
ファミレスで昼飯ついでに漫画本を持ち込んで、本を読み込む。ここのファミレスは、ドリンクバーにエスプレッソマシンでつくるカプチーノがあるので、好んで通っている。コーヒー好きの俺には本を読みながら何杯もカプチーノが飲めるのは非常に助かる。同僚の多くは、一人でファミレスにはいるのをいやがる人は多いが、俺にとっては、快適な空間だ。店員からすると、1人で昼ご飯とドリンクバーだけで粘られるいやな客だろうけど、それでも俺はお客だと無視する。


安彦さん大好きです。
ガンダムも良いけどナムジもね。


カプチーノが自宅で作れるのって、憧れです。
ちょっと高いけど、全自動なのでラック楽


漫画もほぼ読み終わった夕方頃、
「よう、順平くん」
滝沢のオッサンだ。
「また今日も暇そうだね」
オッサンに言われたくない。
「実はまた仕事をお願いしたくってね。ここにきた方が早く会えるような気がしてね」
ギクッ。確かに、もう5時間もここで粘っている。
「ああ、そうですかあ」
「で、また後で事務所寄ってくれるかな?」
「どうせ、暇ですから、後でと言わず、今からでも行きますよ。」
と良いながら所長の後をついていった。

「こんにちは、順平くん元気ーっ」
江島さんが妙にハイテンションだ。
「ああ、元気。」
ちょっと気圧されてローテンション。
「江島くん、コーヒー頼むよ。」
「了解です。」
と立ち去った。妙に明るい江島さんの後ろ姿を目で追ってると、
「コホン、仕事の話いいかな?」
「こりゃ失礼。江島さんが気になって。いいですよ。」
「実は、今の依頼人からの仕事なんだが、家出娘を捜している。これが探している女の子の写真とプロフィールだ。」
と、所長はバインダを俺に手渡した。
「南条ゆかり、16歳、高校1年生、身長150cm、中学時代はテニス部だったが、高校に入ってからはもっぱら帰宅部だ。最近の趣味はブログだ」
次のページへめくりながら所長が続ける。
「高知の実家から家出したのが1ヶ月前、最後の連絡が2週間前に実家に届いた手紙だ。これを手がかりに両親が探しに来られ、手がかりが見つからないままうちに依頼があったという訳だ。」
所長は、封筒から葉書を取り出しながら、
「手紙の消印を頼りに調査をして、この3日前までインターネットカフェを渡り歩いているのが判った。ただ、その後の足取りがぱったり消えた。」
その周辺の地図を指し示す。
「そのインターネットカフェのオーナーに頼んで、その娘の使っていたPC借りてきたから、そこから足取りが追えないかなと思ってね。で、順平くんの出番って訳だ。」
「了解です。でも、この前は、本当に運が良かっただけですから、今回は何も分かんないかもしれませんよ」
「了解してるよ。でも、順平くんのことだからきっと最後には何とかしてくれるからなあ。頼りにしてるよ」
全く人の話を聞いていない。
「で、報酬なんだが、すまんが、まだどれくらい依頼者からもらえるか判らないんだ。特に違法な事をする必要もないし、とりあえず2万かな?後は依頼者との交渉次第ってことで勘弁してくれ。」
「報酬は任せますよ、どうせ暇だし」
「さすが、順平くん、ほれぼれするなあ。じゃ2万」
といって所長は俺に現金入りの封筒を渡した。



危険ですねえ。
変なネットにつかまらないでね。


これってドラマやってましたね。
ちょっとだけ見ました。


こうはなりたくない。
明日はわが身?


≪#2へ続く≫
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2009年10月20日火曜日

第1話「探偵事務所の機密情報を奪還せよ」#12

「あれ?前、事務所にしてきてませんでしたっけ?」
「あれってね、所長からのプレゼントなの。で、プレゼントしてもらったその日になくしちゃってるの。なのに順平くんが知ってるってどういうこと?」
しまった。昨夜のビデオの印象が強かったせいか、てっきり、事務所でもしているのと勘違いしてた。
「あれ?ごめん。会社の女の子がしてるのと見間違えたのかな?」
俺を椅子に座らせると、その膝の上に乗り、顔を近づけながら言った。
「残念ねえ。あれって、オーダーメイドなの。たぶんルビーとエメラルドをデザインしたネックレスは日本にはないわ。その会社の女の子って、どうやって手に入れたのかしら?」
「そのネックレスをしていたのはどこの誰さん?所長に言って調べてきてもらいましょうか?」
うう、まずい。
「順平くん。事務所の機密情報見たわね?」
目が怖い。
「あたしと所長が映っているビデオ見たでしょう?」
さらに顔を近づけて、言う。
「ホテルの隠し撮りで映っている二人を見たわよね?」
やばい。ここまで言うってことは、もう確信してるなあ。何言っても聞かないだろうなあ。


ホテルで隠し撮りされていないか  
これで確認!!


タイトルは、こうだが、現実は
不況で厳しいらしいよ。

と、ドアをノックして所長が声をかけてきた。
「江島くん、まだかかるかい?用事があるので、もう帰るけど良いかな?」
「すいません。所長。もうちょっとかかりそうなので、後は片づけておきます。お先にどうぞ。」
「そう?じゃ、あまりおそくならないように。後はよろしく。」
と言うと足音が遠ざかっていった。
「さあ、邪魔者はいなくなったからゆっくりと聞けるわね?」
「どうやって、手に入れたの?あの時、データをPCに取ってすぐに所長へPCを渡したはずよね。私と所長の二人が見ていたから間違いないはずだわ。」
しょうがない。観念して話すか。
「実は、USBメモリに自動バックアップを取っていて、帰る時にこっそりと抜いておいたんだ。」
と実物のSDカード入りのUSBカードアダプタを見せた。
「へえ。ちっちゃいわね。気がつかないはずだわ。まったく、いつの間にこんなの仕掛けたのかしら、油断も隙もないわね。」
「とりあえずこれは没収。データを消したら返すわ。他にコピーは?」
「うーん、自宅のPCにバックアップが」
「じゃ、これから一緒に行って、それも消しましょう?その前に、口止めよ。」
といって彼女は俺の唇を自分の唇でふさいだ。
「このことは、二人だけの秘密。所長にも内緒。ペンダント無くしたのも所長知らないんだから言っちゃダメよ。」
「あーあっ、順平くんのこと気に入ってたから、所長とのこと隠しておきたかったんだけどなあ」
「所長とは長いの?」
「え?ああ、所長とはビジネスよ、ビジネス。1年ぐらい前からかな?別に所長のことは好きでもなんでもないけどね。女の子が一人で暮らすのって大変なのよ。」
「ああ、そういうことか。」
「そう。順平くんには嫌われちゃったかな?」
「あ、そんなこと、俺、江島さんのこと大好きだし。」
「ありがとう。とっても嬉しい。」
にこっと微笑んだ顔がちょっと悲しそう。
「まあいいわ。とりあえずあなたの部屋にあるデータを消しに行きましょう?」
と唐突に立ち上がって、USBメモリを握りしめる江島さん。
「ああ、わかった。」
俺も立ち上がって、倉庫の鍵を開けた。

そして、二人は俺の部屋に行ってPCからデータを消した。
「ほんとにこれだけ?他にバックアップは取っていない?」
「他にデータ入れれそうなのないだろ。PCの中も見てくれよ。何ならフォーマットしなおしたってかまわないよ。」
「判ったわよ。信用するわ。」
「じゃ、いい?所長には絶対秘密だからね。ペンダントのことも順平くんがビデオを見たことも。」
「じゃ、も一回口止め」
といってちょっと長めにキスすると
「じゃまた事務所でね。」
と言って、部屋を出て行った。
なんだか嵐が過ぎ去ったみたいな感じだ。

実は、データバックアップはそこだけではない。海外の三か所の無料レンタルサーバに秘密分散法で分割して保存している。
それぞれのデータが漏えいしても何のことかわからないはずだ。
万一、1つのファイルが消失しても残りの2つで復元できるはず。
そしてその保存先を示したURLとID、パスワードは携帯電話のアドレス帳に架空の友人の名前でメモ欄に保存している。
江島さんはともかく、所長への切り札として持っていて損はないだろうから。

第一話 完



データの保存はS3を使いましょう。  
要領制限、バックアップの必要もないはず。  


秘密分散法これに載ってます。


≪第2話へ続く≫
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2009年10月16日金曜日

第1話「探偵事務所の機密情報を奪還せよ」#11

さて、他のファイルは何だろうと思って開けてみたら、どうやら同じホテルの隠し撮りファイルのようだった。こちらはベッドの頭側の起き物か何かに仕込まれているらしく、ベッド全体が画面いっぱいに映っている。
さっきのファイルに人が移り始めたのと同じ時刻まで早送りしてみる。
今度は近すぎてベッドサイドの人が映っていない。かろうじてありらしきものがちらちら見える程度。
あ、腰かけた。上半身がアップになった。あ、やっぱり所長だこっち向いているこのいやらしい顔は所長でしかありえない。
女性は向こう向きだからよくわからない。けど、この後ろ姿、見覚えが。
と思っていたら女性の顔がこっちを向いた。あ、やっぱり、江島さんだ。
なんとなく前のビデオの時からなんとなくそうじゃないかと思いながら、信じたくなかった。
彼女の胸元で、ルビーとエメラルドらしい、ペンダントトップが揺れるのを心ここにあらずといった心境で眺めていた。


ダイヤ1つを残してダイヤが  
エメラルドに代わったそんな
イメージ。


このエメラルドがペンダントに
つく感じ。
リングはリングでいいね。

そうか、二人はこういう関係だったのか。あー、ショック。
この前、事務所に行ったとき、浮き浮きと出かけていったのも所長との待ち合わせだったんだ。
で、結局やつらに盗撮されて、所長自身も脅されてたんだな。
まあ、妻子ある身じゃ、脅されて当たり前だな。まったく社会悪め。事務の女の子に手を出すなんて。
たぶん30は離れているぞ。どうするかなあ。いまさら言ってもファイルを持ち出したことがばれるだけだし。
不倫も江島さんの選択だし。彼氏でもないのにやめろっていうのもおかしな話だしなあ。

まあ、明日報酬が入れば、借金もきれいに返済できて、新しいPC買うぐらいの費用は残るからよしとするか?
さて、じゃ早速コア2プロセッサのマシンが欲しかったんだよね。
昨日特売のメールを見つけて、マークしてある。早速、オプションを確認して、明日は電気屋に現物を見に行こう。
切り替わりの早い順平であった。

Lenovo(レノボ) ThinkPad

Lenovo(レノボ) ThinkPad

ノートPCはやっぱIBMですかねえ。
ビジネスで使うのはパナソニが
多いけどね。


1週間後、所長から残金の支払いの連絡を受けた。その日は、会社が終わってから、アルバイト料の残金を受け取りに事務所に行った。
所長も江島さんも残っていた。
「御苦労さんだったね。順平くん。助かったよ。俺の依頼者にも『これ以上脅迫は来ないだろう』と報告したら喜んでいたよ。」
「そうですか。そりゃよかった。でも、今回は運がよかったですね。あれだけセキュリティが低いのも珍しいですよ。そうでなけりゃ、ずいぶん時間がかかったと思いますよ。」
「いやいや、謙遜しちゃって。」
いやいや、ほんとに謙遜じゃないんだけど。
「さすがにできる人は違うねえ。じゃ、報酬の残金ね。」
といって、所長は俺に現金の入った封筒をを手渡した。
「いまどき現金で申しわけないけど、うちの方針でね。また、そっち方面の仕事があったらよろしく頼むよ。」
「いえいえ。ありがとうございます。これからノートPCを見に行くからちょうどよかったです。」
「順平くん。お疲れ様」
「こんばんわ。絵島さん。相変わらずおきれいで。」
ノートPCが買えることで、ちょっと浮かれているせいか、絵島さんにも気軽に話せる気分。
「あらやだ、ありがとう。」
「今日のネックレスかわいいですね。」
江島さんの胸元の銀のトップがついたネックレスに気がついて言った。
「この前のルビーとエメラルドのネックレスも良かったけど、今日のネックレスもかわいらしい感じで」
バンッ。っと音を立てて絵島さんが立ち上がった。
「ちょっと、 順平くんいい?」
目が怒っている。怖い。なんで?
「ちょと早くおいでって」
俺のシャツの襟をつかむと更衣室兼倉庫に入った。
倉庫の鍵を閉めると一番奥の棚の陰に俺を連れ込んで小さいがドスの効いた低音で聞いた。
「ねえ、どうして順平くんがあのネックレスのこと知ってるの?」


江島さん個人所有の  
ペンダントです。




≪#11へ続く≫
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2009年10月13日火曜日

第1話「探偵事務所の機密情報を奪還せよ」#10

「所長、脅迫ネタのデータ確認しましょう」
というと、所長はあわてて
「いや、それは後でこちらでやるから大丈夫だよ」
「そうは言ってもデータが存在するか確認した方が良くない?」
『脅迫ネタ』フォルダを開けて確認しようとする俺、慌てる所長。
「あ、ここに『滝沢探偵事務所』ってありますね。」
「あー、いいから、ここから先は機密扱いだから勘弁してくれ。えーと、順平くん。よくやってくれた。おかげで、俺の依頼者の脅迫を止めることが出来そうだし、うちの事務所の機密情報も消すことができた。順平くんの仕事は以上でおしまいだ。後始末は私と江島くんでやっておくから、今日はもう帰ってゆっくり休んでくれ。」
「はあ、そうですか。」
「あ、ノートPCはそのままにしておいてくれ。残りの報酬は依頼者から1週間ぐらいかかるかな?また連絡入れるよ。」
「判りました。じゃそろそろ帰ります。」
「すまんなあ。また、そっち系の仕事があれば頼むよ。期待してるから。」
と所長。
「じゃお休み。順平くん。またね。」
と江島さん。フォローもなく、冷たいなあ。

追い出されるようにして、マンションを後にした。
そこまでして隠したい事務所の秘密って何だ?気になるなあ。
とその手には、今日マンションに来る前にセットしたSBマイクロカードのUSBコネクタが握られていた。
所定のフォルダに書き込んだファイルは自動的にSDカードに書き込む様に設定していた。
まさか、こんな事態を想定していた訳でなく、単にバックアップが簡単に出来るからという理由だったけれど。
で、所長が帰るように促してきた時にこっそり抜いて手のひらに隠しておいた。
『ハードウェアの安全な取り外し』を所長と話をしながら何気にしたのだが、たぶん気づかれていないだろう。


SDカードは、試してみて使えれば  
安いメーカーがいいね。



出し入れは不便だけど
ノートPCに着けっぱなしで
使うにはこれが便利。


家に着いた。眠かったがそれ以上に、『滝沢探偵事務所』の機密情報が気になった。
せっかく手に入ったデータだ、どんな情報かじっくり見てみよう。
その前に、念のためPCにバックアップしてと。
『滝沢探偵事務所』っていう名前のフォルダの中身をみると、zipファイルに圧縮されている。
解凍しようとしたら、パスワードがかかっている。うーんしょうがないなあ。
とりあえず、あれ試してみるか?フリーのzipパスワード解析ツールをダウンロードして試してみた。
このぶんだと、今日は見れないかなあと思っていたら、解析が完了した。
数字4ケタのパスワードだった。見覚えがあるたぶんやつらの電話番号の下4桁に違いない。
まったく、セキュリティのなってないやつらだ。
解凍してみるとmpegファイル?
え、機密情報って、映像だったのか?
どれも同じパスワードで解凍できた。
日付はどれも同じで、容量もほぼ同じ。
ファイル名で区別されている。
1つ目のファイルを開けてみた。
ホテルのベッドみたいだ。誰も映っていない。右下に日付と時間が表示されている。
何も変わり映えしないから、早送りしてみる。時間の分が見る間にかカウントアップされていく。
10分ぐらい過ぎたところで、1組のカップルが入ってきた。
なんだ、盗撮ビデオか。なんでこれが機密情報なんだろう?
ちょっと遠くて、顔が特定しにくい。なんとなく男の方が、所長に似ているような気がする。
女性はちょっと小柄で髪をアップにしている。もしかして盗撮ビデオで所長も強請られているのか?
あ、なんかプレゼントを渡してるな。ネックレスみたいだ。
ネックレスを男が付けてあげた後、その延長で首筋を愛撫しながら、キスした。
後はお定まりの情事だ。
ふーんと思って、早送りで流して見終わった。


万一の為にバックアップは  
怠りなく。


VISTAのバックアップは
こんな感じで。

≪#11へ続く≫
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2009年10月9日金曜日

第1話「探偵事務所の機密情報を奪還せよ」#9

「ふう、やばかったな。ははは。」
所長と二人で笑い始めた。
「江島くん。もういいよ。帰っておいで」
しばらく待つと、江島さんが帰ってきた。

「所長、とりあえず取れるだけの情報は取ったけど、どうやって依頼者の脅迫を止めさせるの?」
「うん。とりあえず、コピー出来たってことは、消すことも出来るんだろう。脅迫ネタを消してやれば、脅迫できなくなるんだろ?」
「いや、消すだけじゃだめだよ。どこにいくつ脅迫ネタがコピーされてるかわからないんだよ。もしかしたら、ほかのPCにつながっていないハードディスクとか、CD-RとかDVD-Rとかにバックアップが取られていたら消しても復活させることができる。そんな中途半端じゃだめだ。」
ちょっと俺は考え込んだ。
「そうだ、データを消すと同時に、逆に脅したほうが良いよ。」
「この前、所長にもらったやつらのプロフィールと写真、このPCに入れてるから、それと今手に入れた脅迫に使ったネタとメールの文面をつけて、やつらを脅すんだ。たとえば『俺たちのシマを荒らすな』って感じで同業者が縄張りを荒らされて怒って、進入してきたって感じにすれば、大丈夫じゃない?」
「お、いいなあ、そのアイディア。」
所長は乗り気だ。
「で、データを消すと同時に、その脅迫文書をデータの保管場所と、『bobby』のデスクトップに置いてやれば、どうして入られたのか、判んないし顔や身元が割れているってわかるから恐ろしくて手を引くんじゃないかな?データが残っていたとしても使えなくなると思うよ」
と続けると所長が、
「それに加えて、やつらの1人に、ちょっと焼きを入れてやる。で、同じ脅迫文書を渡してやれば、現実ってことがわかるだろう。ここは俺のほうが本職だから任せてくれ。」
マジかい、結構このオッサンヤバイやつだな。


所長は、肉体派ってちょっち意味が  
違う。


どっちかというと所長は
こんなイメージ

さて、じゃ。脅迫文書をパワポで作成する。
やつらのプロフィールを張り込んで、写真もレイアウトする。で、文面は所長に考えてもらい、江島さんに校正してもらう。文字通り3人の共同作業で、4ページほどの文書が完成した。

「あれ?やつらまた出かけたみたいだな。珍しい。」
たまたま監視カメラのモニタを見た所長が言った。
「ちょうど良いから、今のうちにデータ削除して、脅迫文書置いときますね。」
早速、無線LANに接続する。
同じ手順でサーバに入って、フォルダごと全データを消して、その場所にPDF化した脅迫文書を置いておく。
同じく、『bobby』のPCに入り、データを消して、脅迫文書をデスクトップに置いておく。
ついでに、無線LANルータにもアタックしてみた。案の定adminなんて単純なパスワードで入れた。
アクセスログを消しておく。これで完璧。
「さて、これでお終いかな?」
念のため、メモ帳にこれまで判ったパスワードを記録しておく。


パスワード解析はこいつで。  



パスワードハッキングは
キーロガーにも気をつけて

≪#10へ続く≫
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バナー広告と小説の出てくる物品が似ている場合もありますが、それが同一のものであることを保障するものではありません。

2009年10月6日火曜日

第1話「探偵事務所の機密情報を奪還せよ」#8

「所長。奴らが帰ってくるまで、まだ時間はあるかな?」
「ああ、まあ1時間ぐらいは大丈夫なはずだ。」
「念のため、監視カメラでやつらが帰ってくるのを見張って欲しいんだけど。やつらのデータを丸ごとコピーするのにアクセスランプが目立ってばれるかもしれないから。」
「おう判った。だが、それじゃ時間が稼げないから、江島くん、向かいのファミレスから玄関を監視してやつらが帰ってきたら教えてくれ。ヘッドセットつけて携帯つなぎっぱなしで頼むよ。」
「はい。所長。じゃ、いってきます。」
「じゃさっそくコピー始めます。帰ってきたら途中でも中断しますので、即連絡お願いします」
「おう」
と返事すると所長は監視カメラのモニタに向かった。
俺は、コピーを開始した。ボーと待ってるのも何なので、『bobby』にアタックしてみる。
まずは、bobby/bobbyかな?ビンゴ、Cドライブが見えちゃった。セキュリティぬるすぎ。
こっちもデータ抜かなきゃ。
とりあえず、メールのデータと、デスクトップとマイドキュメントと他はなさそうだな。
あ、Webブラウザのブックマークとアクセス履歴もとっておこう。
よし、『Server』のバックアップ終了。
『bobby』のメールデータ、ブラウザのデータ、デスクトップ、マイドキュメントとコピー開始。
「え、もう帰ってきた?」
所長が突然大きな声を上げた。
「順平くん、奴らが帰ってきたらしい。」
くそ。もう少しなんだけど。メールデータ、ブラウザのデータがコピー完了した。デスクトップのコピーを開始した。


お手軽な家庭内ファイルサーバはこれ。  
REGZA対応で、DTCP/IP対応。


市販のNASサーバで容量が足らない人は
自分で大容量のNASサーバを作ろう。


「もうすぐコピー終わりなんで、ぎりぎりまで中断したくないんで、部屋に入るぎりぎりのタイミングを教えてください。」
「そうだな。今玄関ホールに入ったばかりだから、後2、3分は大丈夫だと思う。」
「江島くん。奴らがエレベータに乗ったら、エレベータの階数を読んでくれ。」
しばらくして、所長が言った。
「今、エレベータに入ったそうだ」
「了解です」
俺が答える。
デスクトップのコピーが完了し、マイドキュメントのコピーを開始した。
まずいなあ。途中で止めるか?
と思っていると所長が江島さんが読み上げたエレベータの階数を反芻して読み上げ始めた。
「2階、3階、4階、限界だぞ順平くん」
「了解。コピーを中断します。」
コピーを中断しようとした瞬間に、コピーが終了した。
「はぁ、コピー終了。ぎりぎり間に合いました。念のため無線LANも終了します。」
監視カメラのモニタを覗くと、リビングに入ってきた3人組が見える。
進入した痕跡は消せなかったけど、まあ、あれだけセキュリティのぬるいやつらだからすぐに見つかることはないだろう。万一見つかっても誰が侵入したのかを特定するのは難しいだろう。


コンパクトで無線で使いやすい  
監視カメラはこれだ!
モニタつきで便利。


強力な赤外線なら薄手のカーテン
ぐらいなら透けて見える。危険。


≪#9へ続く≫
この小説はフィクションであり、実在する国、団体や事象、法律など実在の世界にあるものとは、一切関係ありません。
バナー広告と小説の出てくる物品が似ている場合もありますが、それが同一のものであることを保障するものではありません。

2009年10月2日金曜日

第1話「探偵事務所の機密情報を奪還せよ」#7

鍵は江島さんが持っていて開けてくれた。
「こんばんは。差し入れです」
「やー助かるよ。ちょうどお腹がすいたところだった。」
「どうです?やつら」
「ああ、さっきみんな出て行ったよ。たぶん食事だから2時間は帰ってこないと思う。結局今日のところも収穫はなさそうだなあ」
と、江島さんの渡したコーヒーを開けながら所長が答えた。
「で、順平くんの方はどうだい?」
「いや、まだこれからなんですけどね。ようやくノートPCのセットアップが終わった感じで。」
「そうか。じゃ頼んだぞ。」
さて、江島さんから無糖のカフェオレを受け取りながらノートPCを開いた。
さてと、まずは、無線LANを調べてみるか?
無線局は、4箇所。一番電波が強いのは1つで後は微弱だ。
やつらが無線LANを使用しているのならばたぶんこの一番電波が強いやつだ。
「ん?これセキュリティかかってないぞ」


テレビをインターネットにつなぐには  
これがいいねえ。



これだよ。俺の欲しかったカフェオレ。
ノンシュガーで500ml。
出張の時、新幹線にはこれだね。


「どうした、順平くん?」
「いや、無線LANを調べてるんですけど、一番強い電波を出しているところのセキュリティがかかっていないみたいなんです。セキュリティかかってたら、いつまでかかったことやら。」
「で、どうなんだ、やつらのパソコンがみれるのか?」
「まだわかんないですけど、調べてみます。」
とりあえず、接続してみる。
接続に、認証に時間がかかったが、無事接続できたみたいだ。
IPは、192.168.0.12か。無線LANのルータは192.168.0.1か。
やつらがWindowsユーザと期待して、Windowsネットワークを見てみるか。
「お、ビンゴ。Server、akira、nagatsuka、bobbyの4台のPCが見える。」
「ボビーってやつらの1人がそんな名前で呼ばれてたな。こいつだ田中一志24歳ガタイのでかいやつだ」
所長が写真とプロフィールを見せてくれた。
「じゃあ、ここがやつらの環境かも」
「『Server』が共有ファイル置き場っぽいな。他は、クライアント使いで、空のプリンタアイコンしか見えない。あれ?『bobby』のPCはCドライブに共有がかかってるぞ。後で探ってみよう。先に『Server』の方だな」
『Server』にアクセスすると、ID、パスワードを聞いてきた。
だよなあ。パスワードクラックするツール探さないと無理かなあ。
とりあえず、IDはAdministratorだよな。パスワードは何だろう?
Administrator/Administrator?だめだ。
Administrator/Admin?これもだめ。
Administrator/Admin1234?あれ?反応遅い。お、入れた。
「やったー、入れたよ。フォルダが『脅しネタ』、『動画編集用』、『お客リスト』っていうのがある」
所長と江島さんがモニタの前に集まってきた。


「無線LANは危険」って思う人はPCLを使う手も。  
意外と速度が出るので、お勧め。
でも、まだ普及しないのか値段は下がらない。


無線LAN大好きな人向けの
1冊です。


≪#8へ続く≫
この小説はフィクションであり、実在する国、団体や事象、法律など実在の世界にあるものとは、一切関係ありません。
バナー広告と小説の出てくる物品が似ている場合もありますが、それが同一のものであることを保障するものではありません。