2009年10月9日金曜日

第1話「探偵事務所の機密情報を奪還せよ」#9

「ふう、やばかったな。ははは。」
所長と二人で笑い始めた。
「江島くん。もういいよ。帰っておいで」
しばらく待つと、江島さんが帰ってきた。

「所長、とりあえず取れるだけの情報は取ったけど、どうやって依頼者の脅迫を止めさせるの?」
「うん。とりあえず、コピー出来たってことは、消すことも出来るんだろう。脅迫ネタを消してやれば、脅迫できなくなるんだろ?」
「いや、消すだけじゃだめだよ。どこにいくつ脅迫ネタがコピーされてるかわからないんだよ。もしかしたら、ほかのPCにつながっていないハードディスクとか、CD-RとかDVD-Rとかにバックアップが取られていたら消しても復活させることができる。そんな中途半端じゃだめだ。」
ちょっと俺は考え込んだ。
「そうだ、データを消すと同時に、逆に脅したほうが良いよ。」
「この前、所長にもらったやつらのプロフィールと写真、このPCに入れてるから、それと今手に入れた脅迫に使ったネタとメールの文面をつけて、やつらを脅すんだ。たとえば『俺たちのシマを荒らすな』って感じで同業者が縄張りを荒らされて怒って、進入してきたって感じにすれば、大丈夫じゃない?」
「お、いいなあ、そのアイディア。」
所長は乗り気だ。
「で、データを消すと同時に、その脅迫文書をデータの保管場所と、『bobby』のデスクトップに置いてやれば、どうして入られたのか、判んないし顔や身元が割れているってわかるから恐ろしくて手を引くんじゃないかな?データが残っていたとしても使えなくなると思うよ」
と続けると所長が、
「それに加えて、やつらの1人に、ちょっと焼きを入れてやる。で、同じ脅迫文書を渡してやれば、現実ってことがわかるだろう。ここは俺のほうが本職だから任せてくれ。」
マジかい、結構このオッサンヤバイやつだな。


所長は、肉体派ってちょっち意味が  
違う。


どっちかというと所長は
こんなイメージ

さて、じゃ。脅迫文書をパワポで作成する。
やつらのプロフィールを張り込んで、写真もレイアウトする。で、文面は所長に考えてもらい、江島さんに校正してもらう。文字通り3人の共同作業で、4ページほどの文書が完成した。

「あれ?やつらまた出かけたみたいだな。珍しい。」
たまたま監視カメラのモニタを見た所長が言った。
「ちょうど良いから、今のうちにデータ削除して、脅迫文書置いときますね。」
早速、無線LANに接続する。
同じ手順でサーバに入って、フォルダごと全データを消して、その場所にPDF化した脅迫文書を置いておく。
同じく、『bobby』のPCに入り、データを消して、脅迫文書をデスクトップに置いておく。
ついでに、無線LANルータにもアタックしてみた。案の定adminなんて単純なパスワードで入れた。
アクセスログを消しておく。これで完璧。
「さて、これでお終いかな?」
念のため、メモ帳にこれまで判ったパスワードを記録しておく。


パスワード解析はこいつで。  



パスワードハッキングは
キーロガーにも気をつけて

≪#10へ続く≫
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