2009年11月10日火曜日

第2話「家出少女救出作戦」#6

10分後、もうすぐ事務所に着く手前で所長から連絡が入った。
「俺だ。」
「さっき高速神戸に着いた。地下をJR神戸駅方面に歩いている。電車の中で、携帯に何か熱心に入力していたから、多分アンケートに入力してたんだろう。あ、今携帯をしまった。送るのならば、もう送ったはずだ」
「了解です。もうすぐ事務所に戻るんで、確認します。江島さんも早く帰って着替えたいそうですよ。」
「そうか。でも江島くんのキャンギャル姿、もう少し見ていたいなあ」
隣で聞こえていたのか絵島さんがおれの携帯をひったくる。
「所長、何いってんのよ。こんなかっこじゃ仕事になんないでしょ。」
「かっこなんかより、業務が優先だ!順平くんのフォローを頼むぞ」
「所長!!着替えさせてよ!もう。」
「おっと、見失うところだ。いったん電話切るよ。」

そうこうしていると、ワゴン車は事務所についた。急いで事務所にはいったら、奴からの登録を確認だ。
昨日作ったWebサイトに先ほど送った返信メールで誘導しているはず。
奴はアンケートページに入力し、そこに会員IDとして「PCのメールアドレス」と「パスワード」を入力しているはずだ。その登録内容は用意した別のWebメールへ送られているはずだ。
祈るような気持ちで、ノートPCを立ち上げ、Webメールにアクセスする。静かな事務所にハードディスクのかすかなアクセス音が響く。
「ねえ、どう?」
「もう少し、今Webメールにログインするとこ。」
もどかしく、パスワードを入力すると、受信箱に新着メールが来ていることを表すアイコンが付いていた。
「あった、あった!!」
「登録のお知らせ」というタイトルのメールをクリックすると登録した内容が表示された。
「こいつ案外、マメだね。」
見ると、登録箇所は、しっかりと入力されている。「その他ご意見・ご要望」の欄もしっかり埋められている。
よほど几帳面なのか、元々懸賞マニアなのか。こういうアンケートを作る企業にとっては優秀と思われる答えが書かれている。
その中で注目するのは、メールアドレスとパスワード。
「よし、有名なWebメールのメールアドレスだ。これなら使えるぞ。パスワードもしっかり入ってる。」
「でも、そのパスワードってそのメールアドレス用じゃないでしょ。」
ま、たしかにそのとおりだ。ただ、たくさんのパスワードを覚えるのは誰でも苦手なはず。

まず、このメールアドレスを見ると有名な検索サイトのWebメールサービスで発行されたものとわかる。つまり、このメールアドレスのパスワードが判れば、その検索サイトが持っているその他のサービスにもログインできる可能性があるということだ。
今、奴をだまして入力させた会員登録情報に奴のメールアドレスと、このサービスで使用するパスワードを入力させた。
世の中の6割から7割の人がパスワードを使い回ししている現状がある。つまり、今入力したパスワードが、このメールアドレスのパスワードと一致している可能性があるということだ。
検索サイトのWebメールサービスのページを開き、IDとして奴のメールアドレスを入れる。そして会員登録で使用したパスワードを入力してやる。案の定ログインできた。
「まあ、普通こんなもんだよな」
驚きもしなかった。なぜなら、実際、順平自身も何かの会員登録でWebメールで使用しているパスワードと同じものを入力した経験がある。
パスワードは個別に管理しないと、やっぱり、それってヤバいなと、改めて思った。
メールが見れるのは判った。
他に何が見れるか確認してみた。
ドキュメントは使用していないみたいだ。
カレンダに登録がある。一昨日、にポーアイ倉庫?来週の土曜日に出航?何だ?
「江島さん。奴のスケジュールが覗けたんだけど、一昨日に「ポーアイ倉庫」と来週の金曜日に「出航」って予定が入っている。」
「何かしら?所長に連絡入れるわ。」
「よろしく。こっちももう少し探してみる。」
今度は、メールを調べてみる。
未読のものはダイレクトメールばかりだから無視するとして、他に何か手掛かりになりそうなメールはないかな?

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神戸港に入港している貨物船

ジグソーパズル:950ピース:神戸港の夜景

ジグソーパズル:950ピース:神戸港の夜景

神戸の夜景はきれですね


≪#7へ続く≫
この小説はフィクションであり、実在する国、団体や事象、法律など実在の世界にあるものとは、一切関係ありません。
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