2009年12月29日火曜日

第3話「ウェブサイトの恐怖 漏洩情報を排除せよ」#4

「依頼者は、前回ホテルのビデオの隠し撮りされて恐喝されていた人よ。持田兼良52歳。あの事件の被害者の一人よ。で、その人の隠し撮りされたビデオがネットに流出したの。そのビデオがある個人サイトから公開されているので、それを何とかして欲しいっていう依頼なの。ドメインは.toだからトンガ王国?まあサーバはどこにあるか判らないわよね?」

「えーそんなの無理でしょ。」

と言う俺に

「まあ、お得意さまだから、それほどむげにはでしないし。」

とのたまう江島さん。

「多分、個人のサイトを潰すぐらいだったらDos攻撃でつぶれるけど、データセンターに入ってるPCだと、Dos攻撃対策されているかもしれないしなあ。それに潰してもバックアップがあればいくらでもコピーサイトが作れるしね。断れば?」

そう言う俺に、江島さんは、

「流石に、いくら潰しても新しいサイトがいくらでも立つ可能性があるのは理解してたわよ。だから前金で10万、1サイト潰す毎に20万だって。結局潰せなくても、努力するだけで10万なんだからやってみたら?所長はその気で引き受けるつもりみたいよ。」

と江島さんに言われるとその気になってくる。

「じゃあ、やるだけやってみるかなあ?」

「よかった。じゃ、依頼主にオッケーの返事しておくわね。」

「了解、じゃよろしく。とりあえず、当面のターゲットは依頼書に書かれたここのサイトだよね。じゃ、家で調べてみて、何か判ったら連絡するよ。」

先ずは、情報収集だ。

自宅に帰ると、PCを立ち上げて、そのサイトに行ってみる。

確かに素人が作ったっぽいシンプルなデザイン。

報告書にあった映像ファイルのあるURLを入れてみる。ダウンロードを開始した。確かにそこに実体はあるようだ。

念のため、ムービーソフトで再生してみる。

問題なく再生できた。前に見たファイルが編集され、1つのファイルになっていて、自動的に画面が切り替わり、BGMも入っている。誰かが、販売目的で編集したのかもしれない。そうなると完全回収はほぼ不可能だな。

そのサイトを検索して見たが他にムービーファイルは置いていなかった。個人のサイトで、気に入ったムービーファイルを紹介してダウンロードフリーにしていると言った感じか?

用意したUSBメモリに映像ファイルのバックアップを取る。

なんとなく、フリーのCMS使ってそうな臭いがするなあと思って心当たりのあるフリーCMSの管理画面のディレクトリを入れてみる。案の定、ログイン画面が表れた。

これ以上の作業は危険だ。ここから先の作業は、回線が特定されても支障のない場所で続けよう。

表示したログイン画面のハードコピーをとって、画面を閉じた。

念のため、映像ファイルのファイル名で検索してみると、5件ほどヒットした。もう既にこのサイト以外にも漏れているようだ。

一旦ノートPCを閉じて、Dバッグに入れると、Dバッグを背負って近所のネットカフェに向かった。

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